相続とは?相続人や相続順位とは?相続税が掛かる遺産はいくらから?
2023/2/1
「相続(そうぞく)」とは、個人が亡くなった時にその人の全ての権利や義務に当たる「財産」を、特定の人「相続人」が引き継ぐことです。
相続とは民法の相続制度により定められていますが、民法ではその時々の状況により細かな決まり事があり、複雑な相続もあります。
・相続とは?すべての人に起こるの?
・被相続人や相続人とは?
・相続税とは?どれくらいの遺産額から掛かるの?
今回は初めてで戸惑う人に役立つ「相続とは?」、その概要とともに、誰しもが相続トラブルになり得る理由を、解説します。
相続とは?財産の権利義務の継承
●相続とは、亡くなった人「被相続人」の財産を、「相続人」が引き継ぐことです
相続が発生するのは人が亡くなった時点と定められ(民法882条)、被相続人から相続人へと引き継ぐ財産を「相続財産」と言います。
・相続…故人の財産を相続人が引き継ぐこと
・被相続人…亡くなった人
・相続人…故人の遺産を継承する人
・相続財産…継承する財産、遺産
・遺産分割…相続人で相続財産を分割すること
・遺留分…民法で定められた、相続人が最低限相続する権利
「遺産相続(いさんそうぞく)」とも呼ばれますが、遺産とは相続財産のことです。
そして相続において相続人が注意したい民法で定められたポイントは、「全ての権利や義務」を継承する、と言う点です。
☆相続とは、結婚やマイホーム購入などのライフイベントとは違い本人に選択肢はなく、誰にでも起こるものと言えるでしょう
相続とは、マイナス財産も継承する
●相続とは、預貯金や株券・不動産などのプラスの財産ばかりではなく、債務や借金などのマイナス財産も継承します
相続とは預貯金財産や株券などの財産ばかりではありません。築年数が古く売却できずに維持費が掛かる「負の不動産」や、借金や売掛金などの債務も継承します。
(1)現金や証券
・現金、預貯金
・株券
・小切手
・貸付金
…など。
(2)動産や不動産
・住宅、土地
・自動車、船舶
・建物、店舗
・家財、宝石、貴金属
…など。
(3)権利
・ゴルフ会員権
・著作権
・慰謝料請求権
・電話加入権
…など。
(4)債務
・借金
・各種ローン(住宅ローンなど)
・買掛金
[未払い関係]
・未払いの税金(所得税、住民税など)
・未払いの地代や家賃
・未払いの医療費
…など。
そのため「相続してから債務が発覚し、借金の返済義務が発生した!」と言うトラブルのないよう、相続が発生したらすぐに相続財産を調査しなければなりません。
相続財産を調査し「マイナス財産」の存在が分かった時には、相続放棄や限定相続を検討できますが、3ヶ月の期限が決められています。
・【沖縄の相続】借金に役立つ限定承認とは?相続放棄の期限3か月が勝負
相続人とは?
●相続人とは、亡くなった人から相続財産を継承する権利がある人です
相続人とは相続財産を継承する権利がある人で、民法で定められているため「法定相続人」とも呼ばれます。
一方で法定相続人の範囲内でない限り、相続できないのが原則です。その人の家族や状況によって、相続人は大きく変わるでしょう。
●相続人となり得る人々は、
・配偶者
・直系卑属(子ども、孫)
・直系尊属(両親、祖父母)
・兄弟姉妹とその血族
(兄弟姉妹に遺留分はない)
被相続人(故人)に配偶者と子どもがいれば、配偶者及び子どもが相続人です。
配偶者や子どもがいない独身の場合、両親や祖父母、兄弟姉妹へと相続の権利が移ります。
・【沖縄の終活】相続人になる人はどこまで?民法による範囲と優先順位
婿養子や養子縁組では、相続人になる?
●相続とは、婿養子や養子縁組であっても、戸籍上の子どもであれば法定相続人に該当します
相続人として相続財産を継承する権利のある者は、配偶者の他、子どもが第1順位になりますが、血縁関係のない婿養子や養子縁組であっても戸籍上の子どもであれば、相続人です。
(1)婿養子
…義理の両親(婚家)・実家(生家)、両方で相続権を持ちます。
(2)養子縁組
…養子縁組をした家で、子どもとして相続権を持ちます。
そのため沖縄の相続トラブルでは「婿養子になった兄は、実家で相続人になるのですか?」などの相談を受けますが、実家でも子どもとして、兄弟と同等の相続人です。
・婿養子とは?婿入りや養子との違いは?義実家と実家で相続できる?
相続とは、相続税が掛かるばかりではない
●相続とは基礎控除があり、必ずしも全ての相続に相続税が掛かる訳ではありません
「相続=相続税が掛かる」イメージが強い人が多いです。けれども相続に掛かる相続税には「基礎控除」があり、基礎控除の範囲内での相続であれば、相続税も掛からない仕組みです。
●実際には細かな控除など複雑ですが、大まかに下記のようになります。
・相続税の基礎控除=(3,000万円)+(600万円×法定相続人の数)
ですので、例えば親の財産を子ども3人で相続するとして、基礎控除は3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円までが基礎控除の範囲内です。
一方、配偶者が亡くなった人には、最低でも1億6,000万円までの控除が期待でき、実際には相続税が発生しない家族も多いでしょう。
・【沖縄の相続税】基礎控除とは?いくらから相続税がどれほど掛かる?
一次相続、二次相続とは?
●一次相続は一方の配偶者が残っている相続、二次相続は夫婦ともに亡くなった時の相続です
子どもの立場から見ると、両親のいずれかが残っている相続とは「一次相続」、両親ともに亡くなり、子ども達で相続財産を分ける相続とは「二次相続」です。
(1)一次相続
・配偶者が残っている
(2)二次相続
・夫婦がともに亡くなった
・子ども達のみでの相続
ここで相続トラブルが起きやすいのは、両親が共に亡くなり、残された子ども達で相続財産を分割する二次相続です。
「家は兄弟関係も円満だから大丈夫!」「そんなに相続財産も残されていないから、家とは関係ない!」と言う人も多いですが、安心できるとも限りません。
二次相続とは、トラブルが起きやすい
●「相続=争族」と呼ばれるように、今まで何十年と円満に続いていた家族関係にある人々も、争いに巻き込まれやすい傾向です
二次相続が発生するとは、両親が亡くなったタイミングですよね。
そこで中心となる家族が亡くなったことをきっかけに、家族間で人間関係のバランス、求心力が崩れたまま、遺産分割協議になることも、原因のひとつでしょう。
・求心力のバランスが崩れる
・今までの介護ストレス
・先送りしてきた問題の表面化
・介護や生前贈与などでヒビが入る
・パートナーの存在
二次相続では、今まで兄弟間のバランスを保ってきた両親がいなくなり、代わりにそれぞれにパートナーがいるタイミングが多いです。
兄弟姉妹3人だったとしても、この相続に関わる人々はパートナーを含めて6人、人が増えれば増えるほど、相続トラブルも発生しやすくなります。
・沖縄の相続トラブルとは?「家は大丈夫!」でも対策したい5つの理由
最後に
以上、実際に相続とはどのようなものか、相続人や相続順位、相続税が掛かる金額などを分かりやすくお伝えしました。
結婚や出産、マイホーム購入なども人生のなかで大きなライフイベントですが、よくよく考えると、これらは自分で取捨選択ができます。現代は独身で一生を終える人もいますし、子どものいない夫婦も多いです。
けれども相続とは、自分の選択に関係なく、家族が亡くなると否応なくやってくるものでしょう。老後もしかりです。
相続とは現実的にどのようなもので、何をすれば良いのか…、また、残された子ども達へ相続しやすい環境を作る終活も増えています。
・【沖縄の相続】相続税申告期限10ヶ月とは?相続人のスケジュールとやる事
まとめ
相続とは?相続人や順位、相続税とは?
●相続とは?
・故人の財産を相続人が引き継ぐこと
・プラス財産もマイナス財産もある
・限定承認や相続放棄の選択もある●相続人とは
・配偶者や子どもなど(第1順位)
・両親や祖父母など(第2順位)
・兄弟姉妹(第3順位)
※兄弟姉妹に遺留分はない●養子縁組、婿養子も相続人
・婿養子は実家の相続もできる●相続税はいくらから掛かる?
・3,000万円+600万円×法定相続人の人数●一次相続、二次相続とは?
・一次相続…配偶者がいる
・二次相続…夫婦ともに亡くなった●相続トラブルが起きやすいのは?
・二次相続