【沖縄の相続】相続税申告期限10ヶ月とは?相続人のスケジュールとやる事
2023/1/7
相続税の申告期限は、相続人が家族(被相続人)の死亡を知ってから10ヶ月です。
「10ヶ月もあれば余裕がある!」と感じるかもしれませんが、その間に遺族は、さまざまな決定や手続きを行わなければなりません。
・相続税の申告期限10ヶ月以内にやる事は?
・相続税の申告期限までのスケジュールは?
・遺言書がある・なしで手順は変わる?
今回は相続税の申告期限10ヶ月以内に、相続人がやる事やスケジュール、申告期限以外の相続手続きの期限を、一般的な手続きの流れとともにお伝えします。
相続税の申告期限10ヶ月以内にやる事
●相続税の申告期限まで10ヶ月以内にやる事は、遺言書のある・なしの確認から始まります
相続が発生したら、まず遺言書の確認をしましょう。
遺言書があれば遺言書の執行がメインになりますし、遺言書がなければ相続人同士で「遺産分割協議」に入ります。
●相続発生後2か月は忙しい!
・通夜や葬儀
・四十九日法要など
・健康保険や年金など、各種手続き
…相続税の申告期限は10ヶ月でも、相続発生後最初の2か月は、多くの相続人が各種法要や手続きなどで忙しいのが現状です。
実際には四十九日法要、百か日法要などが終わり、納骨を無事済ませた2か月を終えた頃から、本格的に相続税申告へ向けた手続きに入るでしょう。
遺言書がある場合
●遺言書がある場合、遺言内容の執行を行います
遺言書が発見されて遺産相続分が指定されており、相続人が納得するのであれば、遺言内容の執行に進むでしょう。
遺言書には長男など、主に遺言の執行を行う人物「遺言執行人」が指定されているものもあります。
●相続発生3ヶ月まで
①相続の発生
②遺言書がある
③遺言内容の執行(遺言執行人)
④相続放棄・限定承認の決定、手続き
●相続発生4か月まで
⑤被相続人の準確定申告
●相続発生10ヶ月まで
⑥遺産調査(債務も含む)
⑦相続税額の調査(計算)
⑧相続申告書の作成
⑨相続税の申告
⑩相続税の納付
「相続放棄」とは、債務などマイナスの遺産が多く、相続自体を放棄することです。
また「限定承認」とは、遺産から債務などを返済し、残ればその遺産を相続します。
今回は遺産調査を相続発生4か月以降と設定しましたが、相続発生時に被相続人に多額の負債の可能性があるなど、不安要素がある場合には、具体的な数字を出して、3ヶ月以内に相続放棄/限定承認を決定しなければなりません。
・【沖縄の相続】借金に役立つ限定承認とは?相続放棄の期限3か月が勝負
遺言書がない場合
●遺言書がない場合、相続税申告期限まで、主にやる事は遺産分割協議です
遺言書がない場合、相続人同士で遺産分割協議を行います。
まず相続人調査から入りますが、一般的には税理士に相談するでしょう。
税理士に相談する注意点や手順は後程お伝えするとして、遺産分割協議に入る際、相続税申告期限まで10ヶ月のスケジュールは以下です。
●相続発生3ヶ月まで
①相続の発生
②遺言書がない
③相続放棄・限定承認の決定、手続き
●相続発生4か月まで
⑤被相続人の準確定申告
●相続発生10ヶ月まで
⑥遺産調査(債務も含む)
⑦相続税額の調査(計算)
⑧遺産分割協議
⑨遺産分割協議書の作成
⑩相続税の申告
⑪相続税の納付
遺言書のある・なしを確認するにあたり、公証役場で正式に保管をしている公正証書遺言や秘密証書遺言、一部自筆証書遺言(法務省で保管した場合)については、相続人が存在を認識しやすいです。
けれども被相続人が自宅で自筆証書遺言を保管していた場合、しばしば相続税申告期限の直前で見つかることもありますので、注意をしてください。
・【沖縄の実家相続】遺言書で安心できる種類は?状況で選ぶ3種の方法
税理士に相談する流れ
●遺言書がない場合、税理士に遺産調査を依頼して、財産目録を作成してもらいます
遺言書がない場合、遺産分割協議で相続人同士が遺産の分割を話し合いますが、それに先だって遺産調査を税理士に依頼する流れが一般的です。
●財産目録の作成を依頼
①相続財産の評価
②相続税の説明
「相続財産の評価」で税理士が行う事柄は、被相続人の遺産を全て調査し、明細(財産目録)を作成します。
ただし税理士の役割は、あくまでも遺産の調査や財産目録の作成ですので注意をしてください。
・【沖縄の終活】財産目録の書き方☆役立つ項目や注意点まで
税理士に依頼する時の注意点
●税理士は遺産の調査や相続税の説明は行いますが、それ以上の役目を果たすことができません
例えば、遺産分割協議において「どのように相続すれば得なのか?」だったり、相続人同士の揉め事・トラブルを解決する依頼は避けてください。
相続人同士のトラブルであれば、弁護士に依頼すると良いでしょう。
●以下の事柄は、弁護士法違反にあたります。
・どのように相続するか
・相続人同士のトラブルの解決
遺産分割協議さえ完了すれば、後は遺産分割協議書を作成して相続税を計算する段階です。
相続税申告期限は、相続税納付と同じ10ヶ月が期限なので注意をしてください。
①相続発生後2か月
・葬儀・法要など
②相続発生後3ヶ月~
・税理士に依頼
・遺産分割協議
・遺産分割協議書
③相続発生後7か月~
・相続税の計算
・相続税申告書を作成
・税務署へ申告
・相続税の納付
遺産分割協議でトラブルがなさそうでしたら、税理士に依頼すると良いでしょう。
※遺産分割協議の進め方に関しては、下記ごご参照ください。
・【沖縄の相続】遺産分割協議のスムーズな進め方とは?相続人以外の関係者?
相続税の申告期限を過ぎたらどうなるの?
●相続税の申告期限10ヶ月を過ぎたら、①無申告加算税、②延滞税、などが掛かります
相続税の申告期限を過ぎた内容により異なりますが、単純に10ヶ月を過ぎてしまった場合、相続税の申告期限が過ぎたことに対する加算税が掛かるでしょう。
①無申告加算税…申告が遅れたことへの課税
●50万円以下
・自主申告(税務署調査前)…5%
・税務署調査の事前通知後…10%
・税務著調査後…15%
●50万円以上
・自主申告(税務署調査前)…5%
・税務署調査の事前通知後…15%
・税務著調査後…20%~40%
②延滞税…納付が遅れたことへの課税
●2か月以内の延滞
・年7.3%
・延滞税特例基準割合+1%
…のいずれかの低い方
●2か月以上の延滞
・年14.6%
・延滞税特例基準割合+7.3%
…のいずれかの低い方
「延滞税特例基準割合」とは、前々年の9月~前年の8月までの新規短期貸出約定平均金利の合計(金融機関)を12で割った数です。
毎年、前年の11月30日までに財務大臣が告示し、年1パーセントの割合を加算します。
いずれにしても相続税の申告期限が過ぎると必然的に納付期限も遅れるため、「無申告加算税+延滞税」が両方ともかかるでしょう。
・【沖縄の相続】「無申告加算税」とは?相続税申請の期限後申告は加算される!
最後に
以上が、沖縄の相続で相談の多い、相続税申告期限10ヶ月のスケジュールと、相続人がやるべき事柄です。
最後に相続税の申告期限を過ぎた時の課税請求についてお伝えしましたが、本文中で出てきた事例のように、申告期限の直前に遺言書が発見され、それにより申告が遅れたケースなどでは、無申告加算税が請求されなかった事例もあります。
例えば、遺言書の内容から新たな相続人が分かったケースなどです。
相続税の申告期限10ヶ月以内に、ムリなく済ませるためにも、遺言書は作成しておくと便利でしょう。
・【沖縄の実家相続】遺言書で遺留分を侵害したら無効?生前にできる対策
まとめ
相続税の申告期限10ヶ月のスケジュール
<相続税申告期限:遺言書がある場合>
●相続発生3ヶ月まで
①相続の発生
②遺言書がある
③遺言内容の執行(遺言執行人)
④相続放棄・限定承認の決定、手続き●相続発生4か月まで
⑤被相続人の準確定申告●相続発生10ヶ月まで
⑥遺産調査(債務も含む)
⑦相続税額の調査(計算)
⑧相続申告書の作成
⑨相続税の申告
⑩相続税の納付<相続税申告期限:遺言書がない場合>
●相続発生3ヶ月まで
①相続の発生
②遺言書がない
③相続放棄・限定承認の決定、手続き●相続発生4か月まで
⑤被相続人の準確定申告●相続発生10ヶ月まで
⑥遺産調査(債務も含む)
⑦相続税額の調査(計算)
⑧遺産分割協議
⑨遺産分割協議書の作成
⑩相続税の申告
⑪相続税の納付<税理士に依頼する>
①相続発生後2か月
・葬儀・法要など②相続発生後3ヶ月~
・税理士に依頼
・遺産分割協議
・遺産分割協議書③相続発生後7か月~
・相続税の計算
・相続税申告書を作成
・税務署へ申告
・相続税の納付