沖縄の相続トラブルとは?「家は大丈夫!」でも対策したい5つの理由

2023/2/8

沖縄の相続トラブルとは?「家は大丈夫!」でも対策したい5つの理由
沖縄では「家は相続トラブルが起きる心配はないから、対策もいらない!」と話す人々が少なくありませんよね。

沖縄の相続トラブルって、資産家や軍用地を持つ家だけでは?」「家の子ども達は兄弟間で仲が良いから大丈夫!」などの声を聞きますが、必ずしも大丈夫とは限りません。

・沖縄で相続トラブルの起きやすいタイミングは?
・仲が良い兄弟でも沖縄で相続トラブルが起きる理由は?
・沖縄で相続トラブルが起きた事例とは?

今回は、沖縄の仲良し兄弟間で起きた相続トラブルを事例に、相続トラブルが起きやすいタイミングやその理由をお伝えします。
 

 

沖縄で相続トラブルの多いタイミング

沖縄で相続トラブルの多いタイミング
●沖縄で相続トラブルが起きやすいタイミングは、二次相続です

祖霊信仰があり両親を中心に先祖代々位牌であるトートーメーへ、お盆や旧正月など、毎年年中行事で団結してきた沖縄では、相続トラブルが起きやすいのは、両親共になくなる二次相続のタイミングです。

二次相続とは、夫婦共に亡くなった後、残された子ども達が財産を引き継ぐ相続となります。
 

<沖縄の相続トラブル:二次相続>
●沖縄では両親が亡くなったことで、家内の求心力のバランスが崩れやすい傾向があるためです。

・今までの介護ストレスや不満
先送りしていた問題が表面化する
・本家、分家意識のズレ

 
現代では随分和らぎましたが、昔ながらの沖縄の家ではトートーメー継承の考え方から、昔ながらの家督相続を良しとする高齢の人々も少なくはありません。

もともと高齢の両親の元、同居をしてきた長男などで家督相続を良しとしてきた場合、両親が賛同していたり、まだ相続問題に直面していなかったことで先送りしてきた意識のズレが表面化することもあります。
 

※現代の本家・分家意識円満相続を進める対策は、下記コラムに詳しいです。
【沖縄の家督相続】本家・分家意識とは?もめる・もめない違いは?

 

高齢化により関係者が増える

高齢化により関係者が増える
●現代の沖縄で相続トラブルが起きやすいのは、高齢化により配偶者や子どもなど、相続における関係者が増えていることも背景にあります

家は兄弟関係が良好だから大丈夫!」と沖縄でも相続トラブルへの対策をしない両親は多いですが、本人同士は仲良しでも、配偶者や子どもが増えると、仲の良い沖縄の家でも、相続トラブルは起こりやすい傾向です。
 

<沖縄の相続トラブル:関係者が増える>
●現在子どもが独身でも、20年後・30年後を想定すると…
それぞれにパートナーがいる
先に亡くなった子どもがいる可能性
・孫(子どもの子ども)による代襲相続

 
兄弟間で仲が良く、沖縄で相続が発生した時に穏やかに遺産分割を進められたとしても、パートナーの意見が強くなると、スムーズに遺産分割協議が進まない事例もありました。

また高齢になると、子どもが先立っている事例も多く、この場合には孫(子どもの子ども)が代襲相続人として相続人に加えられるため、より相続人同士の関係性が複雑になりがちです。
 

相続人の範囲については、下記をご参照ください。
【沖縄の終活】相続人になる人はどこまで?民法による範囲と優先順位

 

分けにくい相続財産

空き家を更地にする時に不安なこと?
●両親が高齢になってから起きる、沖縄の相続では、築年数の古い実家と預貯金など、分けにくい相続財産がトラブルに発展することも多いです

両親が高齢になってから発生する沖縄の相続では、両親の年齢とともに築年数が30年、40年と古い実家が残されるケースも多いです。
 

<沖縄の相続トラブル:実家相続の事例>
●両親が亡くなり40代の兄妹2人が相続人の事例をご紹介します。

[相続財産]
・不動産財産…空き家になった築40年の戸建て
・預貯金財産…500万円
・投資信託…100万円

[相続人]
・兄…48歳独身、沖縄県内でひとり暮らし
・妹…43歳既婚、沖縄県外へ移住

[相続トラブルの原因]
・不動産財産(実家)が売れない
・親族から「長男が住むのではないのか?」と売れない

 
この場合、バブル期のように実家を売却して売却益を分ける結論にはなりにくく、とは言え実家がある限り維持費は掛かるためです。

☆空き家になった実家の相続では、まず不動産会社へ査定依頼をすると、解決の糸口も見えるでしょう

沖縄では押し付け合いの相続トラブルが起きる事例も多々あります。
(古い空き家は相続放棄をしても、子どもに管理責任が残るためです。)
 

築年数の古い実家(空き家)をどうするか…、5つの対策は下記に詳しいです。
【沖縄の実家相続問題】空き家をどうする?5つの対策方法

 

家族関係が複雑

家族関係が複雑
●故人が再婚をしている場合、前妻の子どもも交えて遺産分割協議をしなければなりません

故人(被相続人)が再婚をしていて、前妻との間に子どもがいた場合、前妻には相続権はありませんが、前妻の子どもには相続権があります。

前妻の家庭と後妻の家庭で交流があり、仲良くしていた場合は問題がありません。
けれども沖縄の相続トラブルでは、「前妻の子どもと会ったことがない」「どこにいるか分からない」などの事例も多いです。
 

<沖縄の相続トラブル:家族関係が複雑>
(1)前妻の子どもも、法定相続人
・前妻の子どもの了承が必要
・遺産分割協議書に署名と捺印が必要

(2)遺産分割協議が進まない
・連絡先が分からない
・海外など遠方に住んでいる
・かつての感情的な問題から同意が進まない

 
遺言書のない相続では、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、全員が了承し署名・捺印をした遺産分割協議書を完了させなければ、相続が終わりません。

そもそも「前妻の子どもの連絡先が分からない」と言った場合は、連絡先を探す作業から入りますし、連絡できても県外や海外にいるなど、相続手続きがスムーズに進まない環境だった事例なども見受けます。
 

子どもの人数が多い

相続人とは?
●子どもの人数が多い故人(被相続人)に相続が発生すると、相続に関わる人数が多く、関係性も手続きもより煩雑になります

沖縄は全国的にも子どもが多い傾向にありますが、子どもが多く相続の関係者が増えるほど、相続の手続きや分割協議の話し合いも複雑になりがちです。

特に故人が高齢者だった場合「子ども+配偶者+孫」が相続に関わり、代襲相続も起きるため、遺産分割協議を必要としない遺言書で対策すると良いでしょう。
 

<沖縄の相続トラブル:関係者が多い>
仲が良かった兄弟姉妹でも、沖縄で相続トラブルは起き得ます。

ライフイベントにより関係性が変化する
・両親は子ども達と会う機会が減る
(兄弟姉妹関係の変化に気付きにくい)
県外に移住した子どもは、関係性が薄れがち
特定の子どものみ、介護など負担が掛かった場合
親族が話し合いに参入してくる

 
相続人それぞれにパートナーがいる場合に、沖縄ではより相続トラブルリスクが高くなりますが、この場合のひとつの対策として、「遺産分割会議に配偶者も参加させる」と言うものがあります。

遺産分割協議に参加することで、配偶者は相続人同士の関係性を身近に感じることができるため、後々のトラブルになりにくいためです。
 

兄弟姉妹の人数が多いことでリスクが高くなる、沖縄の相続トラブルについては、下記コラムにより詳しいです。
沖縄で相続時にトラブルが多発する家族☆5つの共通点

 

 

最後に

以上が沖縄で起きやすい相続トラブルと、その原因や対策です。
また冒頭でお伝えしたように、沖縄では相続財産に、運用に利益率の高い軍用地が含まれていたり、トートーメー問題などもあるでしょう。

基本的に築年数が古い実家でも、そうでなくても、沖縄の相続トラブルリスクの目安として、相続財産で不動産財産の割合があります。

相続財産で不動産財産の割合が50%を越えたら、沖縄では相続トラブルも起きやすくなるため、生前に沖縄で相続トラブルを回避するなら、予め査定をしたり、遺言書などの対策を取ると安心です。
 
 

まとめ

沖縄でリスクの高い5つの相続トラブルとは
・二次相続でのトラブルが多い
・高齢化により相続関係者が増える
・不動産財産が全体の50%を越えた相続
(高齢化により築年数の古い実家が残る)
・前妻の子など、家族関係が複雑
・子どもが多いほど、リスクも高い

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