住宅ローンを残した離婚はどうなる?住み続ける選択5つのリスクとは?
2023/4/4
・住宅ローンを残した離婚は、どうする?
・住宅ローンを離婚後も返済する方法は?
・住宅ローンを離婚後も返済するリスクは?
住宅ローンを残したまま離婚をする時、「今後の返済をどうするか?」は重要な協議ポイントですよね。
住宅ローンが離婚時点でどれほど残っているか…、どちらかが家に住み続けるのか…、などの状況によっても選択は変わります。
本記事を読むことで、住宅ローンを残した離婚について理解を深め、適切な選択をすることができますので、どうぞ最後までお読みください。
住宅ローンを残した離婚の選択肢とは
◇住宅ローンを残して離婚する場合、家の売却か、残すかで選択肢が変わります
住宅ローンを残した離婚では、まず残債の状況を具体的な数字で確認した後、「家を売却するか・残すか」を夫婦で相談すると良いでしょう。
・住宅ローンの残債を確認する
・家の価値を査定で確認する
・家の売却か、残すかを協議する
住宅ローンを残した離婚の場合、まずは家を売却すると残債を完済できるのか、売却しても残債に満たないのかを確認しなければなりません。
オーバーローン・アンダーローン
住宅ローンの残債と家の価値が分かることで、オーバーローンかアンダーローンかが分かります。
・アンダーローン…家の価値>住宅ローンの残債
アンダーローンであれば、最悪の場合、家を売却すれば離婚時に住宅ローンの完済ができ、余ったお金は折半など自由です。
けれどもオーバーローンの場合、家を売却しても離婚時に住宅ローンの完済はできません。他の預貯金財産があれば補填もできますが、他の財産が充分にない場合、借金は残ります。
・離婚で住宅ローンはどうなる?誰が払うの?離婚前に確認しておきたい3つのこと
住宅ローンを離婚後も返済するのは誰?
◇住宅ローンの名義人(契約者)へ請求がきます
ここで注意をしたいポイントは、住宅ローンの名義人と、登記簿上の家の名義人が違うことがある点です。
・家の名義人…登記簿で記載された家の所有者
基本的には家を購入した住宅ローンの名義人が、家の名義人になりますが、住宅ローンを残した離婚の場合、離婚時に家の名義人が変わることがあります。
例えば、夫が住宅ローンを契約して家を購入したものの、離婚時に財産分与により妻が家の所有者になり、登記簿の名義変更を済ませた場合などです。
住宅ローンを離婚後に返済する責任者は?
◇住宅ローンを離婚後も請求されるのは、住宅ローンの名義人です
登記簿上の家の名義人が変更しても、住宅ローンの返済義務に変更はありません。
特に手続きを取らないまま、住宅ローンを残して離婚をした場合、住宅ローンは名義人である契約者へ請求がきます。
住宅ローンを離婚後も返済する方法は?
◇住宅ローンを離婚後も返済する場合、一般的に夫婦のいずれかが住み続けます
充分な財産がある夫婦のなかには、家を空き家にしたり、賃貸として貸し出す選択肢もあるでしょう。
ただ一般的には、夫婦のいずれかが家に住み続けて、住宅ローンを離婚後も返済するケースが多いです。
夫が住み続けるのはノーリスク
住宅ローンの名義人が住み続ける場合、返済状況が自分で確認できるため、特別なリスクはありません。
家の名義人と住宅ローンの名義人、そして実生活も一致しています。
詳しくは「住宅ローンを残した離婚で、行うべきことは?」で後述するので、どうぞ最後までお読みください。
住宅ローンを離婚後も返済するリスクは?
◇妻が住み続ける場合、さまざまなリスクが伴います
子どもとともに妻が住み続け、家を出た元夫が住宅ローンを離婚後も返済するパターンは少なくありません。
・妻が住宅ローンの半分を、賃貸として出す
など、住宅ローンを残した離婚時の協議では折衷案が出ますが、問題は家に住んでいる妻が、住宅ローンの返済状況を把握していない点です。
住宅ローンの返済が、離婚後に滞る
住宅ローンの返済を離婚時に約束をしていても、住宅ローンの名義人である元夫は、その家に住んでいません。
元夫が住宅ローンの返済を滞納した時、実際に困るのは元妻と子どもです。
・新しい家族ができて出費が増えた
さまざまな事情で住まない家の住宅ローン返済が滞った事例があります。
元妻としては、督促状が届き初めて滞納の事態を知ることになり、ひいては家の差し押さえで、家を追い出されることにもなり兼ねません。
突然、家が売却される
住宅ローンを残した離婚事例では、住宅ローンの返済が苦しくなり、元夫が突然、家を売却したケースがいくつかあります。
現実的に家に住んでいても、家の売却を決めるのは家の名義人ですので、元妻は家の売却を止める権限がありません。
ただし突然家が売却されるリスクは、離婚時に家の名義人を変更することで、対策ができます。
また「突然」と言っても家の内覧があるため、現実的に売却されるまでには、話し合いの機会も設けることができるでしょう。
住宅ローンの長期返済が残った離婚
◇住宅ローンを長期で残した離婚の場合、元夫が返済を続けることで、贈与税の対象になるリスクがあります
離婚時に財産分与を行ていれば、離婚による財産分与になるので、贈与を受けたとされません。当然贈与税も掛かることはないでしょう。
けれども離婚から長い年数が経ってから住宅ローンを完済した場合、その名義人が元妻になると、完済年に贈与したとみなされる可能性が高いです。
住宅ローンを残した離婚で、行うべきことは?
◇住宅ローンを残した離婚では、できるだけリスクの少ない方法を選びます
結婚生活を送る夫婦であれば、住宅ローンの返済状況も逐一把握できますが、離婚をした元夫婦は、経済状況や住宅ローンの返済状況を把握できません。
最も安心できる方法は、下記3点を統一することです。
・家の名義人
・居住者
この3点を統一することで、突然の事態が起こらず、問題に備えることができます。
また、将来的に起こり得るリスクは、住宅ローンを残す離婚を選択した時点で摘んでおくことです。
住宅ローンの借り換え
◇住宅ローンの名義変更はできませんが、借り換えが可能です
審査により決定する住宅ローンは離婚の有無に関係なく、完済しなければ基本的に名義変更はできません。
相手が住宅ローンの返済を離婚後も続けてくれるか、不安があれば、相手を連帯保証人に立てる、連帯債務者として組み直すなどの方法もあるでしょう。
連帯保証人から外れる
◇今まで連帯保証人だった場合、連帯保証人から外れます
住宅ローンの返済状況が分からない状況で、連帯保証人であり続ける選択は危険です。連帯保証人は金融機関にとって最終的な砦です。
住宅ローンの連帯保証人に印を押しているならば、離婚時点で連帯保証人から外れましょう。
銀行に暮らしの変化を報告する
◇住宅ローンは対象の家に住むことが条件です
そのため住宅ローンの名義人が、対象の家に住んでいない時点で契約違反と判断する金融機関も少なくありません。
この報告があるのとないのとでは、金融機関の対応も変わりますので、家庭内の事情は極力話したくないプライベートなものですが、報告を済ませておきましょう。
住宅ローンを残した離婚は、リスクも伴います
35年・50年と長期間に渡り返済を続ける住宅ローンは、返済期間に離婚に至る夫婦がいてもおかしくはありません。
むしろ離婚をする多くの夫婦が、住宅ローンの問題を抱えているでしょう。
婚姻生活をしていた時代に契約した住宅ローンを、離婚後も残すことは、生活の変化をお互いに知らないまま返済義務が続くため、リスクがついてまわります。
夫婦間で充分なコミュニケーションを取れない離婚であれば、家を売却して、そのお金で住宅ローンを完済してしまうのも、ひとつの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。