【沖縄の相続】銀行口座はいつ、どのように凍結される?5つの手続き

2022/12/28

【沖縄の相続】銀行口座はいつ、どのように凍結される?5つの手続き
相続発生時、被相続人(故人)の銀行口座が凍結してしまい「現金を引き出せなくなった!」などの話をよく聞きますよね。

被相続人(故人)が亡くなり銀行口座が凍結されると、被相続人(故人)の財産から支払うべき病院の清算葬儀費用の引き出しができずに困る遺族は多いです。

・口座が凍結されるのはいつ?
・故人の口座の手続きは放置するとどうなる?
・口座が凍結された時の手続きはどうするの?

今回は被相続人(故人)亡き後、銀行口座が凍結されるタイミングや、凍結時に行う手続きなどについて解説します。
 

 

相続で銀行口座が凍結するタイミング

相続で銀行口座が凍結するタイミング
●相続で銀行口座が凍結されるタイミングは、銀行側が名義人の死亡を確認した時です

「被相続人(故人)の銀行口座が凍結された!」との体験談は良く聞きますが、実際には銀行口座がすぐに凍結されることはありません。

名義人である被相続人(故人)の死亡を、銀行側が確認した時に凍結されるので、なかには葬儀費用をATMで引き出した体験談も多くあるのです。
 

<沖縄の相続:銀行口座が凍結するタイミング>
遺族が銀行に被相続人(故人)の死亡を届け出る
・銀行側が訃報欄などで被相続人(故人)の死亡を知る

 
被相続人(故人)が亡くなり銀行口座が凍結される理由は、それぞれの相続人に相続配分が決まる前に、誰かが被相続人(故人)の遺産を引き出し、相続トラブルが起きないためでもあります。

そのため被相続人(故人)の銀行口座が凍結されても、相続人同士で遺産配分を決定する「遺産分割協議書」を済ませると、次へ進むことが可能です。
※詳しくは後程お伝えします。
 

死亡届を出しても凍結されない

●市区町村役場から金融機関へ、個人情報を伝えることはありません

しばしば「死亡届を提出すると、被相続人(故人)の銀行口座は凍結されるの?」との質問がありますが、行政手続きと金融機関は別です。
 

<沖縄の相続:行政機関と金融機関>
●行政では個人情報保護の観点から、金融機関に死亡した事実を伝えません。

…居住地の市区町村役場に死亡届けを提出しても、被相続人(故人)の銀行口座は凍結されず、いままで通り普通に使えます。

 
ただし、前述したように新聞の訃報欄などから銀行側が被相続人(故人)の死亡を確認した場合、遺族が銀行へ届け出なくても口座が凍結される可能性はあるでしょう。

ちなみに家族が亡くなったら、遺族は7日以内居住地の市区町村役場に「死亡届」を提出します。
 

※家族が亡くなってから行う手続きについては、下記をご参照ください。
遺産相続手続きには期限がある!一年以内に行う12の手続き

 

銀行口座を放置するとどうなるの?

銀行口座を放置するとどうなるの?
●被相続人(故人)の銀行口座を放置しても、特別な罰則はありません

「被相続人(故人)の銀行口座を放置してしまった!」「金融機関に手続きの依頼をしなくてもいいの?」との相談も多いです。

けれども相続に預貯金財産が入るため、いずれは何らかの手続きが必要ですが、放置しても特別な罰則がある訳ではありません。
 

<沖縄の相続:銀行口座の手続きは必要?>
●必ずしも必要ではない手続き
・銀行口座の凍結手続き
(金融機関へ名義人の死亡を報告すること)

●後々必要になってくる手続き
・相続に関する手続き

 
前述したように相続トラブルを回避するため、銀行口座の凍結手続きを行いますが、預貯金口座にそれほど残高がなかったり、相続トラブルの可能性が限りなく低いケースでは、そのまま放置している事例もありました。

ただ、いずれにしても相続手続きでは銀行口座から遺産を移動する、閉じる手続きは出てくるでしょう。
 

目的は相続トラブルの回避

●被相続人(故人)の銀行口座を凍結するのは、相続トラブルを防ぐためです

被相続人(故人)が亡くなった時、銀行口座の凍結で困る遺族は少なくありません。
被相続人(故人)が入院していた場合、病院の清算もありますし、葬儀費用の支払いもあるでしょう。
 

<沖縄の相続:口座の凍結で困った事例>
・病院の清算
・葬儀費用の支払い
生計を共にしていた家族の生活費
口座からの引き落としが止まる
・仕事などに関するやり取りが滞る

 
特に生計を共にしていた家族の場合、名義人である被相続人(故人)の銀行口座が凍結されてしまうことで、生活に困る事例も多いです。

そのなかで敢えて被相続人(故人)の銀行口座が凍結して、相続前に預貯金財産が相続人全員の同意なく引き落とされる・使用されることで、相続トラブルが起きる可能性を回避します。
 

相続トラブルの事例

●相続人の一人が勝手に被相続人(故人)の預貯金財産を引き出したとして、トラブルに発展する事例は多いです

一例として高齢の父親を亡くした兄弟、AさんとBさんの相続トラブルがあります。

長男Aさんが喪主として葬儀などを取り仕切り、被相続人(故人)の銀行口座の預貯金財産も葬儀費用として利用していましたが、葬儀社の見積もりと計算が合いません。
 

長男Aさんの主張…世話役やお布施は実費だった
次男Bさんの主張…領収書などの証拠がない

 
まず兄弟で話し合い、兄弟で出し合って立て替えておけば、長男Aさんもあらぬ疑惑を持たれずに済みました。

このような事態で不必要に親族間の仲を悪くするよりも、被相続人(故人)が亡くなったら直ちに銀行に凍結した方が良いのかもしれません。
 

※相続トラブルで遺産分割協議が完了しなかった場合については、下記に詳しいです。
遺産分割まとまらないまま未了!放置したら起きる、3つのトラブル

 

故人の銀行口座から現金を引き出すのは犯罪?

●遺族が故人の銀行口座から現金を引き出しても、犯罪には問われません

このように被相続人(故人)の銀行口座が凍結されるのは、あくまでも相続トラブルの回避が目的です。

そのため「故人の銀行口座から、現金を勝手に引き出すと犯罪にならない?」との質問も多いですが、故人の銀行口座からお金を出し入れするだけでは、犯罪ではありません
 

被相続人(故人)の銀行口座が凍結したら?

被相続人(故人)の銀行口座が凍結したら?
●一度凍結した被相続人(故人)の銀行口座を解約するには、手続きが必要です

被相続人(故人)の銀行口座が凍結したからと言って、一定期間過ぎると自動解約される訳ではありません。

凍結された被相続人(故人)の銀行口座は、相続人が手続きすることによって初めて解約されます。
 

<沖縄の相続:口座の解約>
●被相続人(故人)の銀行口座、相続手続きは?
(1)被相続人(故人)の銀行口座を解約
(2)指定の別口座にお金を移す

 
「指定の別口座」とは、相続人それぞれの銀行口座です。
遺産の分配が決まった時、被相続人(故人)の銀行口座から、相続人へ遺産を移動します。

そのため①遺言がある場合と、②遺言がない場合(遺産分割協議書がある)場合で、手続きの方法も変わるでしょう。
 

遺言の手続きについては、下記をご参照ください。
【沖縄の相続対策】生前に遺言執行者を指定する☆ 執行者3つの役割

 

相続手続き前に、現金を引き出したい!

相続手続き前に、現金を引き出したい!
●凍結した銀行口座でも、適切な手続きを取れば現金の引き出しは可能です

生計を共にしていた遺族など、被相続人(故人)の銀行口座が凍結されたことで困るケースも少なくありません。

本来は遺言書遺産分割協議書がなければ相続手続きができません。
けれども相続手続きをしていない場合でも、銀行口座から引き出す方法が3つあります。
 

<沖縄の相続:凍結中の口座から引き出す方法>
(1)相続人全員が同意書を提出
(2)相続人が単独で銀行に申請
(3)家庭裁判所に申し出る

 
ただ、どの方法も手続きが必要です。

例えば高齢の配偶者とその子どもなど、相続人同士で理解し合える関係性であれば、被相続人(故人)の銀行口座を凍結せずに、相続人全員の同意の元、ATMから引き出す遺族も少なくはありません。
 

(1)相続人全員が同意書を提出

●相続人全員の同意書を金融機関へ提出し、上限なく現金を引き出す方法です

ただ相続人が多い場合、全員分の同意書を集めるのにかなりの時間が掛かる点が、デメリットになるでしょう。
 

<(1)相続人全員が同意書を提出>
●メリット
・引き出す現金に上限がない
・相続トラブルになりにくい

●デメリット
・相続人全員の同意が必要
・同意書を集めるのに時間が掛かる

 
相続人全員と話し合いをして決めるので、トラブルにもなりにくいです。
 

(2)相続人が単独で銀行に申請

●適切な目的の出金であれば、相続人が単独で金融機関へ手続きできます

相続人の1人が単独で銀行に申請を行い出金する方法も、目的によっては可能です。
ただし目的が適切であること、一定金額の範囲内での出金になります。
 

<(2)相続人が単独で銀行に申請>
●メリット
・相続人が単独で手続き可能
・急な出金に対応

●デメリット
・適切な目的でなければならない
・出金額に上限がある
・相続トラブルの可能性もあり

 
ここで言う「適切な目的」は、①被相続人(故人)の入院費用、②被相続人(故人)の葬儀費用などです。

このような目的であれば遺産分割協議が完了する前でも、他の相続人に許可なしで単独での出金ができます。
 

(3)家庭裁判所に申し出る

●家庭裁判所に申し出ることで、上限を超える金額でも出金できます

ただし自分のために使う目的や、不当な理由の場合、家庭裁判所からの許可が降りない可能性もあるので注意しましょう。
 

 

最後に

以上が被相続人(故人)の銀行口座が凍結されるタイミングや目的、凍結された時、現金を引き出したい場合の手続き方法を解説しました。

本文中でお伝えしたように、行政機関と金融機関が連携している訳ではないので、実は被相続人(故人)の銀行口座がすぐに凍結さる訳ではありません。

けれども、相続人が銀行に被相続人(故人)の死亡を報告しなくても、何らかの形で亡くなった事実を銀行側が知った時には凍結されてしまうでしょう。

実際問題として被相続人(故人)の銀行口座を凍結せずに放置しても問題はありません。
ただ相続トラブルが起きやすい側面もありますので、早めの対処をおすすめします。
 
 
まとめ

被相続人(故人)の銀行口座は凍結する?
●金融機関が名義人の死亡を確認した時
・遺族が窓口で申請
・銀行側が訃報欄などで知る場合
・行政機関は金融機関と連携していない
 
●銀行口座が凍結する目的
・相続トラブルの回避
・口座を放置しても犯罪にはならない
 
●銀行口座の相続手続きは?
・遺言、もしくは遺産分割協議書の完了後
・被相続人(故人)の銀行口座を解約
・指定の別口座にお金を移す
 
●相続手続き前に出金したい時は?
・相続人全員が同意書を金融機関へ提出
・相続人1人が単独で銀行に申請
・家庭裁判所に申し出る

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