贈与税とは?いくらから、誰が払う?税率や計算まで分かりやすく解説!

2023/3/1

贈与税とは?いくらから、誰が払う?税率や計算方法まで分かりやすく解説!
贈与税とは、特定の個人から年間110万円以上の財産をもらった時、貰った人が支払う税金です。贈与税には1月1日~12月31日までの年間で、累計110万円までの基礎控除があります。

・贈与税とは?
・贈与税の計算方法とは?
・贈与税が掛からない方法はある?

また現金で手渡しをしたり、タンス預金をしても生前贈与は税務署に分かるとされますが「なぜ分かるの?」と不思議ですよね。

今回は贈与税とは?いくらから、どれくらいの贈与税か掛かるのか?その税率や計算方法を、法的に贈与税が掛からない2つの生前贈与を解説します。
 

 

贈与税とは?

贈与税とは?
●「贈与税(ぞうよぜい)」とは、特定の個人から年間110万円以上の財産をもらった人が支払う税金です

贈与税には年間110万円までの基礎控除がありますから、反対に言えば年間110万円までの贈与であれば、贈与税は掛からないことになります。
贈与税の「年間」の期間とは、毎年1月1日~12月31日までの累計です。
 

<贈与税とは?>
●贈与税は財産をもらった人「受贈者」が払う税金
贈与者…財産をあげた人
受贈者…財産をもらった人

 
このように生前贈与をして相続税を節税しようとしても、むしろ贈与税の基礎控除はたった110万円、税率も高いため隠れて贈与をする人もいました。

・現金の手渡しによる財産贈与
・タンス預金による財産贈与

けれども相続発生時に相続税申告をせず、もしくは過少申告によって税務署から税務調査が入り、追徴課税を支払う憂き目にあった人も少なくはありません。

税務署は相続発生時に役所や金融機関から故人や相続人の資産情報を受け、過去10年に遡り資産や履歴を調べることができます。
 

税務調査や追徴課税について、詳しくは下記をご参照ください。
相続税の税務調査とは?いつ頃?時効や何年前まで遡って調査するの?

 

贈与税の計算方法とは?

贈与税の計算方法とは?
●贈与税の税率や控除額は、特例贈与財産と一般贈与財産の2種類です

贈与税はもらった財産の全額から基礎控除110万円を引いた額に、相当の税率を掛けて算出されます。
 

<贈与税の税率が変わる2つの種類>
特例贈与財産用…両親や祖父母から子や孫への生前贈与
一般贈与財産用…一般的な財産の移動

 
そして両親や祖父母から子や孫へ譲る生前贈与と、一般の財産贈与では贈与税の税率が変わるので注意をしてください。
 

特例贈与財産用の税率と計算事例

●「特例贈与財産用」とは、両親や祖父母から子や孫への生前贈与に対する贈与税の税率です

将来的に相続人「推定相続人」である、両親や祖父母から、成人した18歳以上の子や孫への生前贈与に関しては、一般的な贈与税の税率よりも低くなります。
 

「特例贈与財産用」の速算表
基礎控除後(-110万円)の贈与額 特例税率 控除額
(1) 200万円以下 10% 0円
(2) 400万円以下 15% 10万円
(3) 600万円以下 20% 30万円
(4) 1,000万円以下 30% 90万円
(5) 1,500万円以下 40% 190万円
(6) 3,000万円以下 45% 265万円
(7) 4,500万円以下 50% 415万円
(8) 4,500万円超え 55% 640万円

 

…とは言え、相続税の基礎控除額が「3,000万円+(法定相続人の人数×600万円)」であるのに対して、贈与税の基礎控除額は110万円、税率もかなり高いです。
 

<贈与税とは:生前贈与の具体例>
父親から子どもへ1,610万円の生前贈与があった場合の贈与税を計算します。

(贈与額-基礎控除110万円)×税率-控除額=贈与税額
→(1,610万円-110万円)×40%-190万円=410万円

 
一方、相続発生時の相続財産が1,110万円のみだった場合、相続税は掛かりません。このように、特例で非課税枠の少ない生前贈与に関しては、まず検討する必要はあるでしょう。
 

一般贈与財産用の税率と計算事例

●一般的な財産贈与の贈与税では、税率は高く・控除額も少なくなります

一方で一般的な財産贈与になると推定相続人である子や孫への生前贈与と比べて、税率や控除額はより厳しくなるでしょう。

そのため事業継承などで多額の財産贈与を特定の人へ検討する事業者は、養子縁組の手続きにより、戸籍上の子どもとする事例も少なくありません。
 

「一般贈与財産用」の速算表
基礎控除後(-110万円)の贈与額 特例税率 控除額
(1) 200万円以下 10% 0円
(2) 300万円以下 15% 10万円
(3) 400万円以下 20% 25万円
(4) 600万円以下 30% 65万円
(5) 1,000万円以下 40% 125万円
(6) 1,500万円以下 45% 175万円
(7) 3,000万円以下 50% 250万円
(8) 3,000万円超え 55% 400万円

 

戸籍上の子どもではなく、民法で定められた法定相続人ではない人に、自分の財産を譲りたい場合、遺言で財産を譲る「遺贈(いぞう)」と言う方法があります。

ただしこの「遺贈」による相続は、通常の相続税よりも2割加算されるので注意をしてください。
 

<贈与税とは:一般財産贈与の具体例>
●戸籍上で繋がりのない受贈者へ、1,610万円を贈与した場合の贈与税です。

(贈与額-基礎控除110万円)×税率-控除額=贈与税額
→(1,610万円-110万円)×45%-175万円=500万円

 
特例贈与財産用の贈与税と、一般贈与財産用の贈与税では、贈与額が高ければ高いほど贈与税に差が出てきます。税率が上がる段階なども違うため、具体的な贈与額に倣い、それぞれ数字を算出してください。
 

暦年贈与とは?

贈与税が掛からない方法はある?
●「暦年贈与(れきねんぞうよ)」とは、贈与税の基礎控除額である年間110万円の範囲内で財産贈与を行うことです

両親や祖父母が若い頃からコツコツと、毎年贈与税の基礎控除額の範囲内である年間110万円ずつを、子どもや孫へ財産贈与を行うことで、受贈者は贈与税の支払いがありません。
 

<贈与税とは:暦年贈与の注意点>
暦年贈与の場合、両親や祖父母が子どもや孫名義の銀行口座を開設し、毎月9万円ずつなど、少しずつ貯蓄するケースが多いです。

…この時、せっかく贈与税を避けるために何年・何十年も掛けて暦年贈与を行ってきたにも関わらず、税務署から「名義預金」と判断されることがあります。

 
名義預金」とは相続発生時に、名義こそ子どもや孫ですが、実際の財産は被相続人(故人)の財産として、相続財産に含まれる銀行口座です。

名義預金と判断されないためには、銀行口座を子や孫が所有し、口座を使用して動かすとともに、時々非課税枠の110万円を超える120万円などの贈与をして、贈与税を敢えて、時々支払う方法などがあります。
 

暦年贈与を名義預金とされない対策について、詳しくは下記をご参照ください。
沖縄の相続では「名義預金」に注意しよう。相続税逃れとされない4つのポイント

 

贈与税が掛からない方法はある?

贈与税が掛からない方法はある?
●贈与税を掛けずに生前贈与を行う方法は、暦年贈与以外に、主に2つの方法が考えられます

暦年贈与に贈与税は掛かりませんが、毎年少しずつ貯蓄するため年数が掛かり、終活などで相続税対策を進めるには現実的ではありません。

贈与税の課税対象にならない財産贈与には、冠婚葬祭における祝い金などもありますが、これも常識の範囲内の贈与であり、多額の財産を譲るものではないでしょう。
 

贈与税の特例には非課税枠がある

●相続税対策として生前贈与を利用する場合、多くは特例の非課税枠を利用します

贈与税の非課税枠には配偶者に財産贈与をする場合、2,000万円まで贈与税が掛からない「おしどり贈与(贈与税の配偶者控除)」がありますが、配偶者の相続税は1億6千万までの基礎控除があるため、節税対策にはならないでしょう。
 

<贈与税とは:特例を利用>
住宅取得資金贈与…1,500万円まで
教育資金の一括贈与…1,500万円まで
結婚子育て資金贈与…1,000万円まで

 
結婚子育て資金贈与は1,000万円まで一括で援助をしても贈与税は掛かりませんが、相続発生時に贈与したもらった財産が残っていた場合、その残高に対して相続税が掛かります。

一方、将来的な教育資金を一括で援助する場合には、相続税は掛かりません。
 

非課税枠を利用した生前贈与については、下記をご参照ください。
沖縄に多い生前贈与3つの種類☆相続税対策に効果的な非課税枠と注意点

 

生活費や教育費の仕送りは非課税

●生活費や学費など、いわゆる「仕送り」に贈与税は掛かりません

子どもが大学に入り上京すると、親は生活費を仕送りしたり大学の学費などを支払いますが、そこに贈与税は掛かりませんよね。

このように、その都度払う子どもの生活費や教育費に関しては、毎年の年間基礎控除110万円を超えても、贈与税はかかりません。
 

<贈与税とは:仕送りは非課税>
●ただし非課税と判断されるには注意点があります。
・毎月○○万円など、その都度渡す
・仕送りは使う(貯蓄や投資に使わない)
仕送り用の口座を新設し、生活費として使う

 
もしも税務署が調査に入った場合、生活費や教育費(学費)として仕送りしていたと証明されるよう、年間150万円など一括で贈与せず、毎月入金し、子どもは生活費として口座を動かします
 

 

最後に

以上が贈与税について、税率や計算方法、非課税枠で生前贈与ができる方法などをお伝えしましたが、この他にも贈与税が掛からない2つの方法があります。

・相続時精算課税制度…2,500万円まで非課税枠
・使用貸借…財産を「無料で貸す」

けれども相続時精算課税制度は贈与税の支払いがない代わり、相続発生時に相続財産として計上されますので、相続財産が基礎控除を超えた時には相続税の支払いが必要です。

また使用貸借も相続が発生すると、被相続人(故人)からの貸付金として申告しなければなりません。
 

相続時精算課税制度については、下記コラムに詳しいです。
相続時精算課税制度とは?仕組みやメリット・デメリットをわかりやすく

 
 

まとめ

贈与税とは?

●贈与税とは
・財産贈与を受けた人が支払う税金
・基礎控除は年間110万円

・特例贈与財産用…子や孫が受贈者
・一般贈与財産用…一般的な財産贈与

●暦年贈与とは
・年間110万円までの贈与

●贈与税が掛からない方法
(1)生前贈与の特例を利用する
・住宅取得資金贈与…1,500万円まで
・教育資金の一括贈与…1,500万円まで
・結婚子育て資金贈与…1,000万円まで

(2)生活費・教育費として
・その都度援助する
・生活費・教育費として使う

●相続まで税金が先送りできる
・相続時精算課税制度…2,500万円まで非課税枠
・使用貸借…財産を「無料で貸す」

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