沖縄で実家の相続問題により、空き家が増えたのはなぜ?

2021/10/7

沖縄で実家の相続問題により、空き家が増えたのはなぜ?
全国的にも沖縄でも実家の相続による空き家の増加は、しばしばニュースにもなっていますよね。

5年ごとに総務省で行われる「住宅・土地統計調査」の結果によると、全国で1958年には2%(360件)、1973年でも5.5%(1,034件)の空き家率だったものが、2018年には13.6%、件数で言うと8,489件もの空き家があります。

そのなかの約56.4%ほどの空き家が、相続によるものです。沖縄でも実家の相続問題から空き家になる物件は多いのが現状です。

今回は、そんな沖縄で実家の相続による空き家が増えた背景を、その対策とともにお伝えします。

沖縄で実家の相続問題により、
空き家が増えたのはなぜ?

 

 

沖縄で実家の相続による空き家が急増

総務省「住宅・土地設計調査」
※総務省「住宅・土地設計調査」より
総務省「住宅・土地設計調査」によると、空き家率は年々上昇傾向です。1973年度に3016件・5.5%だった空き家率も、2018年度は合計8,489件・13.6%と空き家率増加を更新しました。(上記グラフ参照)

沖縄は埼玉と並び全国的な空き家率は低い傾向にありますが、それでも10.2%に及びます。

もちろん「空き家」と言ってもその種類はさまざまで、賃貸や売却活動を進めていた物件もありますし、沖縄では別荘として利用している物件も多いです。

けれども無目的で居住者がいない沖縄の空き家は多く、このような沖縄の物件では実家を相続したものの、そのまま放置されているケースを多く見受けます。

【 沖縄で実家の相続問題が空き家に繋がる理由 】

★ 実は高齢化により全国的にも沖縄でも、実家を相続する子どもの年代が50代・60代まで引き上げられています。

→ 昔は沖縄でも実家を相続する子ども世代の年齢層がより若く、まだ賃貸生活で持ち家を持っていない事例が多くあったため、子ども世代が沖縄で実家を相続すると、そのまま住むケースも多くありました。

※ けれども現在、高齢化により沖縄実家を相続する年齢ではすでに持ち家がある人々が多く、生活も落ち着いています。

実際に沖縄や全国でも実家の相続をきっかけに空き家になった家は、空き家実体調査(平成26年)によると全体の56.4%にも上ることからも分かるのではないでしょうか。

このような事情から、沖縄でも高齢化と実家の相続問題は無関係ではありません。前述した総務省「住宅・土地設計調査」では、空き家全体の4割以上が戸建てです。
 

沖縄の遠い実家を相続する問題点

沖縄の遠い実家を相続する問題点
特に沖縄では実家を相続する子ども世帯が、本州を拠点としている家庭も多い傾向にあります。

本州に住んでいて沖縄で実家を相続した場合、売却や賃貸活動のために帰省しなければならないこともあり、ついつい空き家になりがちです。

さらに沖縄の実家を相続し、自分は本州に住むことで、管理も行き届かないまま、売却や賃貸をするにはリフォームが必要になるような、いわゆる「ボロ屋」にもなってしまい兼ねません。

沖縄で実家を相続した場合、特に高温多湿でカビも生えやすく、シロアリの定期点検、さらには夏場の台風対策なども必要になるため、尚更です。

【 沖縄の実家を相続☆家との距離 】

★ 国土交通省「空き家の現状について」の調査では、15.7%が(車や電車を利用して)1時間から3時間掛かる場所に空き家があり、11.0%が(車や電車を利用して)3時間以上から日帰りができない場所にあります。

→ 合計で全体の26.7%以上の空き家が、気軽に行き来ができません。

同じ県内に住み沖縄の実家を相続した場合でも、将来的に売却や賃貸利用を検討するためには、日々の管理は欠かせません。

人が住まない家は老朽化しやすいですから、沖縄で実家を相続したら月1回は現地へ出向いて風を通すなどの管理をしたいところです。
 

不動産の管理はお金が掛かる

不動産の管理はお金が掛かる
そのため特に沖縄で実家の相続による空き家問題では、建物の老朽化が問題視されています。観光県である沖縄の性質上、実家相続による空き家が増えることで、景観を崩すことも問題点のひとつです。

けれども沖縄の実家を相続した世帯にしてみると、何をするにもお金が掛かるため、手がつけられない現状があります。

【 沖縄の実家を相続☆維持管理に掛かるお金 】

★ 相続をすることで予想されるコストは、管理費及び固定資産税です。

→ 平均で見ると「維持費が約40万円/年+固定資産税が約10万円/年」ですが、沖縄で実家を相続した場合、空き家にすることで最大6倍の固定資産税が掛かる可能性も出てきます。

※ かと言って、家を解体するにもお金が掛かるため、そのまま放置したままボロ屋へと発展することも少なくありません。

相続放棄をするとそのまま国へと渡りますが(相続権を持つ者全員が放棄をした場合)、これも放置されたままボロ屋になる物件は多いです。

それでも30坪の家で平均的な解体費用を見てみると約140万円、仮にリフォームをして賃貸運用を計画したとしても築年数の古い家をリフォームした一例では、約250万円以上のコストが掛かりました。
 

沖縄で実家を相続した場合の対策

沖縄で実家を相続した場合の対策
では沖縄の実家を相続しなければならない時、どのような対策があるのでしょうか。相続放棄手続きを取ることはできますが、実家が放置されたまま朽ち果てて行くのも、あまり嬉しくはないですよね。

沖縄で実家相続の問題が上がった時、相続人が取る選択肢は(1)売却・(2)相続・(3)相続放棄の3つがありますが、どの道を選ぶにしてもまずは物件価値を把握することが先決です。

それも、3カ月以内に不動産価値を把握した上で、上記3つの選択肢から選ぶことになります。

【 沖縄の実家を相続☆3カ月の制限 】

★ と言うのも、相続放棄は3カ月以内に手続きを踏まなければなりません。

→ また相続した実家を売却した場合、3,000万円までの特別控除も見込めますし、相続前の状態であれば相続税が掛からないケースもあります。(2021年現在)

ですから、(1)売却・(2)相続・(3)相続放棄の3つの選択肢を3カ月以内に決め、早々に手続きを踏むことが、沖縄の実家相続で損をしないポイントです。

 

 

いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で増えた実家の相続による空き家問題をお伝えしました。

全国的な統計からみると空き家物件は増加率は沖縄は低い傾向にありますが、それでも2000年以前と比べて急激に空き家が増加していることは否めません。

特に沖縄で実家の相続による空き家問題には、昔から今に残る祖霊信仰による「トートーメー継承問題」も絡んでおり、祖霊の魂が乗っているトートーメーを家から出すことが禁忌として、トートーメーを残すために空き家になった物件も見受けます。

けれども沖縄で実家の相続問題により空き家が出ると、どこかで必ず解決しなければならず、将来的には子や孫の世代まで問題を残すことも懸念のひとつです。

今は両親がまだ元気で沖縄の実家相続が現実的ではない方々も、この機会に一度、将来的な可能性を検討してみてはいかがでしょうか。
 

 

まとめ

相続問題による空き家が増えた背景とは
・高齢化により相続する子どもの年代が上がった
・昔は子どもが相続して移り住む世帯が多かった
・相続する時期にすでに子どもに持ち家がある
・維持費にお金も掛かり、ボロ屋になる家も多い
・解体やリフォームにもお金が掛かる
・売却、相続、相続放棄の選択肢がある
・相続放棄は3ヶ月以内に決める
・売却の場合3000万円までの特別控除がある

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