2021年の住宅ローン控除☆コロナ対策による改正とは
2021/2/18
2021年度は住宅ローン控除の特例が延長される改正案が発表されました。2021年度は住宅ローン控除の特例が適用されれば、最大で約480万円もの控除額になるとすれば、今マイホームを建てようと検討している家庭では、重要な内容ですよね。
そもそも2021年以前から住宅ローン控除制度はありましたが、特例措置が始まったのは2019年の新型コロナ襲来以前、消費税率が8%から10%に引き上げられたことを受けてできたものでした。
ただし2019年のもともとの特例措置では、適用される期間が定められており、その期間は2020年12月末日の入居日まででしたので、2021年以降の引っ越し・入居は本来適用されません。
けれども2021年まで住宅ローン控除の特例措置が適用されるため、今後の引っ越し・入居も恩恵を受けることができます。
さらにこの他にもさまざまな部分で緩和され、マイホーム購入が後押しされるようになりました。そこで今回は、2021年、住宅ローン控除の特例措置をはじめとした住宅に纏わる税金に関する改正内容をお伝えします。
2021年の住宅ローン控除☆
コロナ対策による改正とは
そもそも住宅ローン控除とは
2021年まで住宅ローン控除の特例措置の延長が与党や政府から発表され、そもそもこの特例措置自体が新型コロナ感染拡大による対応策だと捉えた方も多くいましたが、実は冒頭でお伝えしたように2019年にすでに始まっている措置でした。
…と言うのも、消費税が8%から10%に上がったことにより、マイホーム購入を渋る人々を後押しするための対策だったためです。
では、2021年以前の住宅ローン控除とは、そもそもどのような措置だったのでしょうか。
【 2021年住宅ローン控除☆そもそもの内容とは 】
●住宅ローン控除の内容とは
→ 住宅ローン年末残高の1%分を10年間控除する、と言うものです。そのため計算式としては「住宅ローン年末残高×1%×10年間」の税金が控除されます。
※ ただし、下記のような条件がありました。
【上限金額】
・ 一般住宅 = 4,000万円まで
・ 新築長期優良住宅 = 5,000万円まで
・ エコ住宅 = 5,000万円まで
・ 中古住宅(売り主が個人) = 2,000万円まで
【家屋の条件】
・床面積50㎡以上の広さ
【収入条件】
・契約者の所得額が3,000万円以下
【住宅ローン条件】
・返済期間が10年以上
【期日】
・2021年12月末日入居日まで適用
…以上がもともと2021年以前からの住宅ローン特別控除ですが、2019年に消費税が8%から10%へ引き上がったことを受け、おおざっぱにお伝えすると控除期間が3年間延長され、13年となる「特別措置」が、消費税10%の住宅を購入した人に対して適用されるようになった訳です。
では、下記に2019年から始まった「特別措置」についての詳しい内容をお伝えします。
【 2021年住宅ローン控除☆特別措置の内容 】
●特別措置の内容とは
→ 2019年以降、消費税10%の不動産を購入した場合に適用され、10年目までは従来の住宅ローン控除のまま、11年目から13年目の控除額は、下記に示した2つの計算方法のうち、少ない方の額面が控除されます。
・建物の価格の2%を3分割した金額(購入価格×2%÷3)
・住宅ローン年末残高の1%(住宅ローン年末残高×1%)
【上限金額】
・変わらず(一般住宅=4,000万円、新築長期優良住宅やエコ住宅(※)は5,000万円)
【家屋の条件】
・床面積40㎡以上へ緩和
【住宅ローン条件】
・変わらず(返済期間が10年以上)
【期日】
・今回の延長が発表される以前は、適用期間が2019年10月1日~2020年12月末日までの入居者に適用していました。
…2021年以前から、住宅ローン控除の特例措置はこのような内容で取られていました。そのため3年間延長の特例措置により、最大では480万円まで控除額が高くなる計算です。
2021年、住宅ローン控除特別措置の延長
以上が2021年以前からの住宅ローン控除特別措置の内容ですが、2020年の新型コロナ感染拡大を受けて、2021年はこの住宅ローン控除特別措置が適用する期間を延長する改正案が発表されました。
【 2021年住宅ローン控除☆特別措置期間の延長 】
☆ 新型コロナ感染拡大が広がる以前は、この特別措置が適用する期間は2020年12月末日まででした。けれども今回、2021年12月末日まで、住宅ローン控除の特別措置が適用されることになります。
→ ただし下記のような要件が盛り込まれているので注意をしてださい。
● 新型コロナ感染拡大により、引っ越し・入居が遅れた場合に限る。
… ここで重要になるのは入居対象物件の契約時期です。あくまでも新型コロナ感染拡大により入居が遅れたケースに対して適用するでの、契約期間は下記のように定められているからです。
・一般住宅(分譲住宅・既存住宅)の場合 → 2020年11月末日
・注文住宅の場合 → 2020年9月末日
また本来、既存住宅を購入して6ヶ月以内に入居しなければ住宅ローン減税の対象にはなりませんが、取得後にリフォームや修繕、増改築工事を行う場合もありますよね。
この場合にも、新型コロナ感染拡大による遅延に配慮した特別措置が取られました。
【 2021年住宅ローン控除☆取得後の修繕工事の遅延 】
● 購入後に既存住宅の修繕・リフォームなどの工事が、新型コロナ感染拡大の影響により進捗や入居が6ヶ月を超えた場合には、下記の条件を満たすことで住宅ローン控除の対象になります。
・既存住宅を購入契約後、5カ月以内に工事の契約を済ませている。
・工事(増改築・修繕など)契約が関連税制法案施行後、2カ月以内に済ませている。
…既存住宅を購入するケースでは、割安で購入して取得後に修繕や改修、リフォームを施すケースが多いですよね。なかにはリノベーションと呼ばれる、躯体のみを残した大規模工事も多いですが、2020年は新型コロナ感染拡大により工務店も止まりました。
2021年住宅ローン控除特別措置の延長は、このようなケースに対応したものです。
また2021年の住宅ローン控除特別措置の延長は、消費税が発生しない売買契約には適用しません。そもそも住宅ローン控除特別措置の制度自体が、消費税8%から10%への引き上げに対する対策ですので、当然と言えば当然ですね。
【 2021年住宅ローン控除☆消費税の発生しない契約 】
☆ 消費税の発生しない売買契約では、個人間売買を挙げることができます。
→ ただし通常の10年間による住宅ローン控除が適用しますが、後述する改正による床面積の緩和は適用されないため、下記のような条件の物件でなければなりません。
・住宅ローンの年末残高は、2,000万円まで適用
・最大200万円分の控除が適用
・物件の床面積は50㎡以上(※)
(※)従来は床面積が50㎡以上の物件に対して住宅ローン控除が適用されますが、2021年住宅ローン控除の特別措置では緩和されます。(詳しくは次項にて後述しますので、参考にしてください。)
2021年の住宅ローン控除、床面積の緩和!
さらに2021年には住宅ローン控除の対象枠が緩和される改正が行われました。と言うのも床面積の要件が50㎡以上から40㎡以上までに適用に緩和されます。
【 2021年住宅ローン控除☆特別措置延長の要件緩和 】
☆ 近年、DINKS(夫婦二人暮らし)や親子3人家庭、また日中ほとんど家にいない共働き家庭の増加により、「コンパクトマンション」などと呼ばれるコンパクトにまとめられた間取りのマンションなどのニーズが急増しました。
→ この流れを受けた改正された内容で、50㎡以上から40㎡以上に緩和された訳です。この他にも以下のような要件があるのでチェックをしてください。
・受贈者の所得が1,000万円以下の家庭(サラリーマンでしたら1,220万円が限度)
これは2021年も住宅ローン控除制度は、基本的にそこに住まうための「マイホーム」としての購入に対し控除をするためです。
投資目的の住居まで住宅ローンに対する非課税を避けるため、年収を制限しています。
いかがでしたでしょうか、今回は2021年の住宅ローン控除特別措置の弾力化についてお伝えしました。
新型コロナ感染拡大により、全国的にも新居を購入したものの入居できない、工事が進まないなどの現象が起きました。今回はそれによる影響のへの対策です。
さらに今回の改正では、贈与税の非課税特例も延長されることになりました。(両親・祖父母による住宅購入時の資金援助に対する課税免除についてです。詳しくは別記事「2021年、住宅購入時の贈与税非課税枠が拡大☆その内容とは」をご確認ください。)
こちらは2021年4月以降の契約に対して非課税枠が拡大(例えば一般的な新築住宅の場合には、700万円から1,000万円まで拡大)されます。
マイホームを建てる時に限って、未曾有の新型コロナ襲来となり、何かとトラブルに巻き込まれた方もいるかもしれませんが、まずはこのような2021年の住宅ローン控除特別措置の改正などをチェックして、享受できる制度は充分に享受してください。
まとめ
2021年住宅ローン控除特別措置の弾力化
・住宅ローン控除特別措置は消費税の引き上げによる対策
・通常10年間の控除期間が13年に引き上げられている
・特別措置により最大480万円まで差が出る
・新型コロナ感染拡大により対象期間が延長した
・2020年入居まで→2021年入居までに延長
・ただし契約が2020年11月末日(注文住宅は9月)まで
・床面積も50㎡以上から40㎡以上に緩和された
・新型コロナの影響により取得後の工事が遅延した場合も適用