2021年、住宅購入時の贈与税非課税枠が拡大☆その内容とは

2021/2/16

2021年、住宅購入時の贈与税非課税枠が拡大☆その内容とは
2021年は住宅購入時の贈与税非課税枠が拡大、その内容も緩和される方向へ改正案が発表されました。あくまでも「改正案」ではあるのですが、ほぼ改正は確定していると考えてください。

今、相続税の負担を緩和するために、生前贈与が増えていますよね。特にマイホーム購入時の援助金による対策は多いです。

住宅取得時の援助と言う形で資産を贈与した場合、ある一定額まで贈与税の課税が免除されますが、2020年度(2020年4月~2021年3月まで)は特例として、課税されない上限金額が引き上げられました。

けれども2021年4月以降は、特例が適用されないとしてきましたが、今回の改正案発表により、2021年度も贈与税の非課税措置に対する特例が適用されそうです。

そこで今回は、2021年度・贈与税の非課税措置に対する特例による拡充について、上限いくらまでが非課税対象になるのか、その他の改正内容についてお伝えします。

これからマイホームを購入し、その際に両親や祖父母などの血縁から援助がある場合には、どうぞ参考にしてください。

 

2021年、住宅購入時の贈与税非課税枠が拡大☆
その内容とは

 

2021年、贈与税非課税措置(住宅購入時)の改正とは

2021年、贈与税非課税措置(住宅購入時)の改正とは
住宅を購入する際に両親や祖父母などの血縁から受ける援助に対する非課税措置に関しては、「税制改正大網」にて発表されています。

そもそも住宅購入時の贈与税非課税措置とは、通常は両親や祖父母など血縁から金銭贈与を受けた場合、それが生前であっても生前贈与に当たるため、贈与税の課税義務が生じますが、これが住宅購入のための資金としての援助であれば、一定金額まで課税が免除される仕組みです。

ここで、住宅取得時の血縁からの援助に対して、2020年度は特例として、贈与税の非課税枠が拡充されていました。

【 2020年度・住宅取得時の贈与税、非課税枠 】

☆ 2020年度に発表された特例は、2020年4月~2021年3月までの期間での売買契約を対象としたものでした。

① 建売(分譲)や注文住宅など新築住宅

・一般住宅 … (従来700万円まで→) 1,000万円まで
・省エネ・耐震・バリアフリー住宅など … (従来1,200万円まで→)1,500万円まで

② 中古住宅

・一般住宅 … (従来300万円まで→)500万円まで
・省エネ・耐震・バリアフリー住宅など … (従来800万円まで→)1,000万円まで

()内の数字は従来の住宅取得時における贈与税の非課税枠なので、既存(中古)住宅は200万円新築住宅ではそれぞれ300万円も、緩和されたことになります。

けれども2021年の贈与税に関しては、今回の改正が発表されるまで、従来の枠組みに戻るはずでした。

これが今回の2021年の住宅取得時の贈与税の非課税枠拡充が発表され、2021年度も贈与税非課税枠特例が発表された流れです。

【 2021年度・住宅取得時の贈与税、非課税枠 】

☆ ただし、内容としてはあまり変わりはありませんが、正確には2020年度の住宅取得時の贈与税非課税枠の拡充は、2021年度は延長されず、適用されないことになります。

→ 代わりに、新めて2021年度・住宅取得時の贈与税の非課税枠拡充が改正されました。

…その理由としては、まず家屋、特に床面積に関する要件が緩和されたことと、対象者の所得に要件が加えられたことにあります。

 

床面積要件の緩和

床面積要件の緩和
現行の住宅取得時の贈与性非課税制度では、取得する住宅の床面積が50㎡以上の家屋でなければ適用されません。けれども今回の改正案では、床面積40㎡以上と改正されています。

これは近年、小さな家に住まうコンパクトハウスTinyHouseのニーズを受けてのものですが、この床面積40㎡以上の要件を適用する場合、受贈者の給与所得に要件が付加されていますので、注意をしてください。

【 2021年度・住宅取得時の贈与税非課税枠☆床面積要件 】

☆ 対象住宅の床面積が50㎡以上から40㎡以上へ緩和されましたが、受贈者の所得額に1,000万円以下の要件が付加されています。

→ ただし、床面積が50㎡以上の物件に対しては、従来通りの要件が適用されるため2,000万円以下の所得額です。

※ 所得額は年分の所得税に関わる収入です。

年分の所得税に関わる年収を差して1,000万円以下の所得額とされていますから、一般的な会社勤めの方々の場合、さまざまを差し引いて1,220万円まで適用されることになります。

「せっかく緩和したのに受贈者の所得を制限するなんて!」などの声もあるかもしれませんが、これは2021年度の住宅取得時の贈与税に関する非課税が、あくまでもマイホームに対して適用されるために付加された条件です。

投資目的とする住宅取得に対する非課税措置を避けるためと言えます。

ちなみに、「相続時精算課税制度」と言うものがありますよね。

この「相続時精算課税制度」では、まず、生前に贈与財産を受けた際、負担を軽くした贈与税を支払っておきます。その後の逝去時には、相続で受ける相続財産に贈与財産をプラスして計算した後、以前完済した贈与税を差し引いて清算をする仕組みです。

この場合には、床面積要件の拡充や、受贈者の取得要件に関しては、どのようになるのでしょうか。

【 2021年度・住宅取得時の贈与税非課税枠☆相続時精算課税制度 】

☆ 「相続時精算課税制度」の場合にも、床面積50㎡以上から40㎡以上への引き下げは適用しています。

→ けれども受贈者の所得要件である1,000万円以下は適用しません

 

中古住宅の証明方法が緩和

中古住宅の証明方法が緩和
最後に中古住宅においては証明書類の提出が複雑で手間が掛かったのですが、より楽に証明ができるようになりました。

【 2021年度・住宅取得時の贈与税非課税枠☆中古住宅の証明 】

☆ 現行では中古住宅において登記事項証明書などの書類を用意する必要がありましたが、2021年度・住宅取得時の贈与税非課税枠の改正案では、より楽に証明ができるようになっています。

→ 今後は、対象者が不動産識別次項等を税務署提出し、その情報からチェックできる「登記情報連携システム(法務省)」を利用して、税務署で登記内容を確認します。

ちなみにこのシステムは、今後の住宅ローン控除に関する手続きにも適用する内容です。あれこれと書類を準備せずとも、税務署が共通の登記情報連携システムを活用することで、確認をしてくれるので、納税者としてはより楽になったと言えるのではないでしょうか。

 

住宅ローン控除も非課税枠拡充の延長

住宅ローン控除も非課税枠拡充の延長
こちらは2021年度・住宅取得時の贈与税非課税枠の拡大とは少しズレますが、住宅ローン控除の非課税枠拡充の特例に対しても、適用期間の延長が発表されました。

【 2021年住宅ローン控除の非課税枠☆特例の延長 】

☆ もともと消費税の引き上げによる処置として、消費税10%で住宅を購入した人々に対して、住宅ローン控除期間が10年間から13年間と長くなる措置が取られました。

→ この消費税引き上げによる特例措置は、本来2020年12月末日の入居日までとされていましたが、今回の改正案により2021年12月末日までの入居と、延長が決まっています。

現行では2021年4月からは住宅ローン控除期間が10年間で終了するはずでした。けれども改正案により、2021年度(2021年4月~2022年3月)の入居に対しても、13年間の住宅ローン控除が期待できます。

詳しくは別記事「2021年の住宅ローン控除☆コロナ対策による改正とは」をご確認ください。

 
 

いかがでしたでしょうか、今回は2021年に住宅購入時の贈与税非課税枠の拡充に対する特例が、2020年度に続いて2021年度も適用されることをお伝えしました。

さらに2021年度には贈与税非課税枠の拡充に加えて、適用物件の緩和も見受けられる点にも注目をしてください。2021年度に贈与税非課税枠の対象になった物件では、40㎡以上の床面積も適用しています。(現行では50㎡以上から)

ただし床面積40㎡以上で2021年度に贈与税非課税枠を活用するためには、受贈者の所得制限もありますので(現行では2,000万円以上→現行1,000万円)、その点は注意をしてチェックしてください。

まとめ

☆2021年度の住宅購入時の贈与税、改正案

● 住宅購入時の贈与税非課税枠の上限

① 建売(分譲)や注文住宅など新築住宅 

・一般住宅 … 1,000万円まで
・省エネ・耐震・バリアフリー住宅など … 1,500万円まで

② 中古住宅

・一般住宅 … 500万円まで
・省エネ・耐震・バリアフリー住宅など … 1,000万円まで

☆2021年度(2021年4月~2022年3月)延長

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