沖縄の相続では「名義預金」に注意しよう。相続税逃れとされない4つのポイント
2022/3/10
沖縄では相続税発生時に、名義預金の申告漏れとして疑われてしまう相談も多いですよね。
マイナンバーが沖縄で相続発生時に義務化され、名義預金による相続税逃れは不可能になったものの、名義預金ではないのに疑われてしまうトラブルは避けたいところです。
今、沖縄で相続時に名義預金と疑われやすい生前贈与が、「暦年贈与」ではないでしょうか。被相続人は生前に子や孫のために口座を設け、毎年少しずつ貯蓄をした口座は、暦年贈与として贈与税の非課税枠が生じます。
今回は、沖縄で相続発生時に名義預金と間違われやすい暦年贈与において、疑われないポイントをお伝えします。
沖縄の相続では名義預金に注意。
相続税逃れとされない4つのポイント
現代、税務署は常に名義預金に注目している
沖縄では相続税申告漏れの約40%が名義預金によるとされるなか、税務署による調査のほとんどは、この名義預金と言われます。
特に平成28年以降は相続時にマイナンバーの記載が必須となり、関わる人々全て(家族や親族)の預金口座や預金残高がすぐに照会できるようになりました。
その昔は被相続人の家にある電話帳の様子や通話履歴から、利用したであろう金融機関を一件一件回り探し出すような、地道な調査が必要とされていましたので、ひと昔前から比べると、ほぼ名義預金による相続税逃れは難しくなったと言えます。
【 沖縄の相続で名義預金と疑われやすいのは? 】
● 税務署は下記のような貯蓄に対して疑問を抱き調査をするでしょう。
・所得が高いのに、極端に貯蓄が少ない
・所得が少ないのに、極端に貯蓄が多い
※ この他にも調べた口座で100万円、500万円など、大きな金額が動いている場合にも注目されるでしょう。
→ ただ、沖縄の相続では「名義預金ではないのに」、名義預金と判断されてしまった相談が多いです。その多くが、非課税枠が適用する生前贈与のひとつ、暦年贈与です。
確かに沖縄では相続発生時に名義預金と疑われやすいように、暦年贈与も被相続者(※)が子や孫の名義で口座を作り、そこにお金を振り込む(貯蓄)ことで成り立ちます。
…では、沖縄で相続時に申告漏れとされる名義預金と暦年贈与は、どのように違うのでしょうか。後々のトラブルにならないためにも、私達は相続と贈与の違いや仕組みを理解しておくと安心です。
(※)被相続人とは、財産を相続してもらう側を差します。そのため両親が亡くなり、子どもが財産を相続した場合、両親が「被相続人」・子どもは「相続人」です。
子や孫の名義で貯蓄することは違法ではない?
しっかりと贈与の仕組みを理解して、両親や祖父母が子や孫の名義で口座を作り、貯蓄をしていくことは違法ではありません。これは「生前贈与」のひとつ「暦年贈与」に当たります。
ただし、受贈者(※)が自分名義の口座の存在を知らない、若しくは自分名義の口座の存在を知っていても、通帳(印鑑など)を保管していない場合には、生前贈与として認められない可能性が高いでしょう。
…ここで沖縄で相続時に名義預金と間違われやすい、暦年贈与について解説します。
(※)受贈者とは、贈与を受けた側です。例えば両親が子どもへ1,000万円の贈与をしたとすると、子どもが受贈者となります。
【 沖縄の相続で名義預金と疑われやすい「暦年贈与」とは 】
● 暦年贈与は受贈者(子や孫)の了解の元、被相続人が受贈者名義で新規口座を作り、そこにお金を預金していく財産です。(受贈者が通帳や印鑑を保管します。)
→ 毎年少しずつ貯蓄をしていくことがポイントです。そのため毎年(1月1日~12月31日)110万円までは贈与税の非課税枠が発生します。
…ですから一度に大きな金額を貯蓄(贈与)すると、それだけ贈与税も掛かりますので、少しずつの貯蓄です。
例えば祖父母が孫名義の口座に1年で130万円を預金したとすると、非課税枠を超えた金額は20万円ですよね。この20万円に対しては贈与税が掛かるため、税務署へ申告しなければなりません。
【 沖縄の相続で名義預金と疑われやすい暦年贈与、計算式 】
● 祖父母が孫名義の口座に1年で130万円の預金をした場合、非課税枠110万円との差額は20万円ですから、その分のみ贈与税が掛かります。
→ 200万円以下の祖父母から孫(直系尊属)からの贈与に掛かる税率は10%、控除額は0円ですから、20万円×10%=2万円、贈与税は2万円です。
…ただ1年内で110万円以内の預金(貯蓄)では非課税なので、毎年110万円ずつを貯めたとして30年経てば3,300万円、少しずつでも毎年を積み重ねることで、それなりの贈与金額になる生前贈与として評価されています。
沖縄で相続時に名義預金とされない4つのポイント
このように沖縄で相続発生時に名義預金と疑われやすい暦年贈与は、毎年少しずつ貯蓄を続けて行く性質のものでもあり、受贈者としては大変ななかでも子どもや孫のために貯めてくれたとして、より両親や祖父母の愛情を感じるものではないでしょうか。
それだけに少しでもその想いに応えられるよう、感情的にもその気持ちを汲んで、沖縄では相続発生時に名義預金とされて憤る声が聞こえます。
…だからこそ両親や祖父母が生きている間に、沖縄では相続時に名義預金と間違われない、列記とした「暦年贈与」としての証拠を積み上げたいところです。
【 沖縄の相続で名義預金とされない4つのポイント 】
(1) 暦年贈与口座のお金を使う
… 勘違いされやすいのですが、暦年贈与であっても(だからこそ)、貯蓄されたお金を受贈者(子や孫側)が積極的に使った方が、受贈者のお金として判断されます。
(2) 贈与契約を交わしておく
… 被相続人(両親や祖父母)が生前に計画的に贈与を行ったことを証明するため、両者間で署名・捺印された契約書を交わしておくと証拠になり得るでしょう。
(3) 敢えて贈与税を支払う
… 暦年贈与は毎年110万円以下であれば贈与税の非課税枠が適用しますが、受贈者が自分の財産だと主張するために、敢えて120万円や130万円など、非課税枠以上の贈与を受けて申告し贈与税を支払うことで、この時の書類が証拠として作用します。
(4) 相続時に問題視される前から、受贈財産と主張する
… マイナンバーが義務化された今、暦年贈与のための名義口座は必ず発見されますから、疑われる前に最初の段階で受贈財産の存在を主張した方がスムーズです。
このような方法で、せっかく両親や祖父母の愛情こもった暦年贈与ですから、沖縄で相続時に名義預金とされないように、生前から対策を取っていきましょう。
しばしば昔ながらの考え方では、自分達が居住していない地方銀行の口座に預金をする「遠隔地預金」で相続税対策を取ろうとする方も見受けますが、マイナンバーが義務化された今、全ての名義預金は筒抜けと考えた方が良いでしょう。
それよりも暦年贈与は暦年贈与として、疑われないように仕組みを理解して、対策を取って置いた方が確実です。
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で相続発生時に名義預金と疑われやすい暦年贈与に対して、非課税枠の生前贈与として認められるための、生前から行う対策についてお伝えしました。
もしも沖縄で相続時に名義預金とされ、申告漏れとみなされてしまった場合には、相続税の支払いの他に、過少申告加算税まで支払わなければなりません。これが故意とされてしまうと、さらに重加算税まで追徴されるわけです。
何よりも、愛情こもった正当な暦年贈与を相続税の申告漏れと判断されるのは不本意です。予め対策を取り、気持ちよく払うべき相続税のみを払いましょう。
※ この他の生前贈与に関しては別記事「沖縄に多い生前贈与3つの種類を解説!相続税対策に効果的な非課税枠と注意点」などをご参照ください。
まとめ
名義預金と疑われない4つのポイント
(1) 暦年贈与口座のお金を使う
(2) 贈与契約を交わしておく
(3) 敢えて贈与税を支払う
(4) 相続時に問題視される前から、受贈財産と主張する