離婚で住宅ローンの借り換えは必要?借り換えをすべき3つのケース
2022/9/14
離婚後に住宅ローンの借り換えを検討する人も多いですよね。
一般的に離婚時に住宅ローンが残っている場合、借り換えよりも売却を検討する人が多いでしょう。
ただ離婚では子供の進学や独立など、自分1人ではなく家族全体が関わってくるため、「売却の手段は取りたくない」と考える人も少なくありません。
そこで今回は「離婚後に住宅ローンの借り換えが本当に必要なのか」…、借り換えメリットをお伝えします。
住宅ローンの借り換えとは?
例えば、A銀行に毎月40,000円の返済をしていた人が、B銀行で住宅の販売額を借り入れ、A銀行の借金を完済させて、B銀行で返済を続ける方法が、住宅ローンの借り換えケースです。
A銀行からB銀行に住宅ローンの借り換えをすることで、返済条件や名義人の変更が可能です。
①離婚時の住宅ローンの借り換え
仮に、夫(債務者)が住宅ローンの名義人だった場合、離婚をするとどのような問題が生じるでしょうか。
●離婚をすると財産分与があり、夫婦で財産を公平に分け合いますが、住宅ローンの名義人が夫(債務者)だと、支払い請求も債務者である夫のままです。
そのため夫(債務者)にとって、不公平(不都合)に感じる傾向にあります。
②債務者以外(妻など)が住み続ける場合
なかには元夫(債務者)が住宅ローンの返済を続けて、元妻が子どもと一緒に住み続ける、などの選択もあるでしょう。
けれども、そもそも離婚後に住宅ローンの返済を滞りなく行うのかは、どこにも保証がありません。
このようなリスクを避けるためにも、住宅ローンの返済は、その家に住んでいる側(例で言えば妻方)が返済を担った方が安全です。
住宅ローンの名義人とは?
住宅ローンの名義人は、持ち家の名義人ではありません。
ローンを組んで家を購入した場合、2つの「名義人」があります。
②住宅ローンの名義人
一般的には家の所有者である名義人と、住宅ローンの名義人は同一人物です。
①家の所有者も変更する
そのため仮に、もともと持ち家の所有者が夫、住宅ローンを契約したのも夫だったとして、離婚をきっかけに、妻の名義へ住宅ローンの借り換え手続きをした場合は注意をします。
特別な手続きをしないまま放置すると、住宅ローンの名義人は変更しても、持ち家の名義人である夫の所有のままだからです。
住宅ローンを借り換えすべき3つのメリット
ただ実際には、離婚をしても住宅ローンの借り換えをせず、そのまま返済を続ける事例もあります。
そこで離婚をきっかけに住宅ローンの借り換えをして、メリットがある事例は、下記の3パターンです。
(1)住宅ローンの名義変更
(2)返済条件が良くなる可能性
(3)連帯保証人を解除できる
ただ離婚をきっかけに住宅ローンの借り換えをする場合、改めて審査が必要です。
住宅ローン残債を確認して、①返済の継続が可能なのか、②審査は通るのか、現実的な判断は必要になるでしょう。
(1)住宅ローンの名義変更
現在借り入れをしているローン会社に名義変更をお願いしたくても、できないのが現状です。
銀行にとっても新規の顧客になるので、比較的より審査が通りやすいです。
(2)返済条件が良くなる可能性
現在借り入れをしている銀行よりも、新規で住宅ローンを銀行で組むことにより、以前のローン会社よりも、金利を大幅に減少させることも可能です。
【A銀行】利息が5%…利息分50万円
【B銀行で借り換え】利息が3%…利息分30万円
つまりB銀行に借り換えをすることで、A銀行よりも20万円も多く返済せずに済むという訳です。
(3)連帯保証人を解除できる
住宅ローンを組む時、配偶者が連帯保証人になるケースは多いですよね。
住宅ローンを借り換える3つのデメリット
ただ、離婚時に住宅ローンを借り換える場合には、メリットもある一方でデメリットも伴うでしょう。
主には、下記に上げた3点です。
(1)余分な出費がある
(2)繰り上げ返済で手数料が発生する
(3)借り換えの条件
いずれにしても離婚時に住宅ローンの残債があるならば借り換えを検討する前に、不動産会社に査定を依頼すると良いでしょう。
現状、持ち家がアンダーローン(売却額が残債を下回ること)になっているか・いないか、を予め確認しておくことで、その後の選択肢も変わります。
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(1)余分な出費がある
離婚時に住宅ローンの借り換えをする場合、下記の費用が発生します。
・ローンの設定料
・保証料
それぞれ大きな数字ではないのですが、住宅ローンでは借り入れ額も大きいケースが多いため、具体的な数字を確認して、借り換えの最終的な決断をしてください。
(2)繰り上げ返済で手数料が発生する
離婚をきっかけに住宅ローンの借り換えをする場合、他社から融資を受けたお金で、現状の住宅ローンを繰り上げ返済しなければなりません。
(3)借り換えの条件
今回は離婚をきっかけに住宅ローンの借り換えを検討するケースですが、離婚以外も含めて、借り換えの条件が悪くなることがあります。
・名義人をやむ得ずに変更しなくてはいけない
・離婚で保証人(連帯保証人)を解除したい
などの目的も多々あるでしょう。
この場合、現在の返済額よりも総返済額が上がってしまう可能性があります。
住宅ローンの借り換え3つのケース
では、以上のようなデメリットも散見されるなか、離婚時に住宅ローンの借り換えをしたいケースは、どのようなものがあるのでしょうか。
離婚が原因で住宅ローンの借り換えが必要な事例は、以下の3つです。
(1)名義から支払いまで所有者に変更
(2)離婚を機に連帯保証人の解除
(3)条件のいい場所でローンを組み直し
離婚をすると当然所帯が別々になります。
住宅ローンも二人の協力体制が希薄になるため、一人に統一した方がリスクがなく安全です。
(1)名義から支払いまで所有者に変更
住宅ローンの名義を勝手に変えてしまったりすると、金融機関との契約違反になる可能性があるので絶対にやめましょう。
(2)離婚を機に連帯保証人の解除
原則、離婚をしたからといって、連帯保証人が解除されるわけではありません。
しかし離婚時に住宅ローンの借り換えをすることで、連帯保証人付きの現在の住宅ローンを解消できるので、以前の住宅ローンの連帯保証人を解除することができます。
(3)条件のいい場所でローンを組み直し
住宅ローンの借り換えをする時に、まずは融資してくれる銀行、金利が今よりも低いところに相談するようにしましょう。
最後に
以上、離婚をきっかけに住宅ローンの借り換えを検討したい3つのケースを、メリット・デメリットとともにお伝えしました。
多くの夫婦が「一刻も早く婚姻関係を解消したい」と離婚時にはさまざまな手続きを疎かにしがちです。
けれども離婚してからの方が、元夫婦が話し合ったり、協力しあうことは困難です。
そのため、離婚後は住宅ローンの借り換えを含めたトラブル事例が数多くあります。
まずは冷静に、あらかじめ条件を絞った資料を提示しておくとトラブルを未然に避けることができるでしょう。
また離婚時には住宅ローンの借り換えを含めた、金銭に纏わる事柄は口約束ではこころもとありません。
少し面倒ですが、公正証書に残すことで証明できるので、公正証書も検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
離婚時に住宅ローンの借り換えは必要?
●借り換えがメリットになるパターン
・住宅ローンの名義変更
・返済条件が良くなる可能性
・連帯保証人を解除できる●借り換えるデメリット
・余分な出費がある
・繰り上げ返済で手数料が発生する
・借り換えの条件●借り換えが有効なケース
・名義から支払いまで所有者に変更
・離婚を機に連帯保証人の解除
・条件のいい場所でローンを組み直し