住宅ローンを残した家、離婚をした夫婦の9割が売却する3つの理由

2022/9/1

住宅ローンを残した家、離婚をした夫婦の9割が売却する3つの理由
住宅ローン残高が残っている場合、離婚時に家を売却する選択もありますよね。

小学生の子どもがいる場合、学区の問題で両親のいずれかが住み続ける選択もありますが、住宅ローン残高を残した離婚では、売却して返済の負担を減らす決断が多い傾向です。

借金によるリスクを軽減できる他、キレイに財産を分割できることもあるでしょう。

今回は、住宅ローンの残債が残っている場合の離婚で、売却を選ぶ夫婦が多い3つの理由をお伝えします。
 


 

売却を選択する3つの理由

売却を選択する3つの理由
25年、30年と返済期間が長い住宅ローンは、離婚時に残高が残る場合、売却を検討する人が多いです。

これは住宅ローンを離婚後も売却せずに残すことで、さまざまなリスクがあるためで、実際に片方が住み続ける選択をしたことで起きたトラブル事例もありました。
 

<住宅ローンを残して起きたトラブル事例>
・元旦那が住宅ローンの支払いを滞らせた
・共有名義の元妻と連絡が取れない
・慰謝料などの請求で住宅ローンの返済が追いつかず、連帯保証人に一括請求がくる

 
…などなど、住宅ローンの形式(ペアローンなど)によってもトラブル事例は多々あります。
 

住宅ローン契約の種類については、下記をご参照ください。
住宅ローンの共有名義人だった夫が死亡。債務は残る3つのケースと対処法

 

住宅ローンを残した離婚、トラブルの背景

いずれにしても住宅ローン残高が残る離婚の場合、売却せずに返済を続けることで、夫婦間で連絡を取り合う必要はあるでしょう。
けれども多くの夫婦間で、相手が「協力的になってくれない」ことが現状です。
 

●連絡が取れない事態に至ってしまうと、家に関する全ての処理が止まってしまいます。
・家の売却
・家の買い取り
・家の譲渡

 

家を譲渡する事例もある

ちなみに家を譲渡する選択は、離婚の原因を作った側が慰謝料として持ち家を譲渡する事例や、離婚後の生活を鑑みて譲渡する事例などがあるでしょう。
 

・夫(妻)の不貞により離婚が成立したため、慰謝料として
・離婚後に親権を持つ妻(夫)の生活保障を鑑みて

 
…夫婦が離婚すると財産分与が行われますが、財産分与は原則、夫婦公平に分配しなければなりません。
けれども夫婦間で同意がある限り、このような譲渡も可能です。

●ただし家の譲渡を受けた側は贈与税が、譲った側は譲渡所得税が掛かる可能性があります。

このようなことから、住宅ローンを残した離婚では、まず売却して現金化し、分配を検討する夫婦が増えているのでしょう。
 

※住宅ローンを残した離婚で、売却せずに住み続ける方法については下記に詳しいです。
離婚しても妻が夫名義の家に住むには?住宅ローンの有無で違うポイント

 

売却をオススメする3つの理由

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住宅ローンを残したままの離婚は、売却をしないと手続き上でも、さまざまな壁があります。
最悪のケースを避ける為にも、下記の3つの理由を確認していきましょう。
 

<住宅ローンを残した離婚、3つのトラブル事例>
(1)家を売るには名義人の同意が必須
(2)離婚をしてしまうと連帯保証人の解除が難しい
(3)住宅ローンの滞納により家を追い出される

 

住宅ローンを残した離婚、5つの確認次項

まず住宅ローンを残した離婚では、売却の検討をする前に下記5点を確認します。

・現時点での家の時価(売却価格)
住宅ローンの残債額
売却額で返済した場合の残債
・住宅ローン契約者
・持ち家の名義

難しいポイントは、持ち家の名義は比較的簡単に変更できるものの、住宅ローンの契約者や契約内容は簡単には変更できない点です。

現代では住宅ローンも片方のみの契約ではなく、夫婦でペアローン連帯債務、連帯保証を取っている場合も多いでしょう。
その上で自分達夫婦のパターンに当てはめ、下記3つのトラブル事例を参考にしてください。
 

(1)家を売るには名義人の同意が必須

(1)家を売るには名義人の同意が必須
家を建てる時には名義人が必要ですよね。
住宅ローンを残した離婚で売却をする時にも、当然ながら名義人が必要になってきます。
特にここでトラブルが多い事例は、夫婦が共有名義で所有していた持ち家です。

山田花子さん(仮名)は夫の不貞が発覚し、険悪な状態のまま離婚をし、現在夫の良夫さん(仮名)はどこに住んでいるかも分からない状態でした。
 

<共有名義のまま離婚したトラブル事例>
●けれども共有名義のまま離婚したため、いざ持ち家を売却しようとしたところ、名義人の同意が必要になったのです。

 
花子さんは友人を頼り良夫さんと連絡を取り、険悪な状態のなかで、協力して持ち家を売却しました。
 

夫婦共有名義の持ち家は、離婚時に法務局で確認

●夫婦で共有名義にしていた持ち家は、登記簿謄本に持ち分割合が載っているため、法務局で事前に確認しておくと良いでしょう。

登記簿謄本の持分が決められている場合、共有名義人となっているため、どちらか単独で売却することはできません。
 

・お互いに協力できるのか?
連絡は取ってくれるのか?

 
…が、大きなポイントとなってきます。
 

(2)離婚をしてしまうと連帯保証人の解除が難しい

(2)離婚をしてしまうと連帯保証人の解除が難しい
小林里美さん(仮名)は住宅ローンを残して離婚し、売却せずに家を出ました
その後、住宅ローンは契約者である夫が返済し住み続けていましたが、ある日、住宅ローンの返済請求が来たのです。
 

<離婚をしても連帯保証人は解除されない>
●小林里美さんは、住宅ローンの契約時に名義人の連帯保証人になっていたためです。

 
離婚当初に住宅ローンの連帯保証の存在は分かっていましたが、連帯保証の解除が難しかったため、夫が必ず返済するとの約束で別れました。
 

連帯保証が解除できなければ、売却を

お金を貸した債権者としては支払いを継続するため、契約者の支払い能力を調査します。
支払い能力が充分でない場合、融資額を下げたり、連帯保証人を仕立てますよね。

そのため連帯保証人が夫婦である必要はもともとありません
「離婚して夫婦の縁は切れました」と言っても、債権者としては「夫婦の問題でしょ?」となります。
 

<債権者にとって離婚は関係ない>
・わたしには関係ない
・もう住んでないから払う必要がない

 
…などの声もありますが、債権者にとっては借金が正しく支払われることが優先です。
連帯保証人になったからには、契約者と同じように支払い義務があるので、現在住んでいなくても請求が成立します。
 

※離婚時、住宅ローン契約の状況による対応方法は下記でも参考になります。
・離婚をする時、住宅ローンの連帯保証から外れるには?注意点と4つの対処法

 

(3)住宅ローンの滞納により家を追い出される

(3)住宅ローンの滞納により家を追い出される
住宅ローンを残した離婚後、売却せずに滞納し、家を追い出された体験談も多いです。
特に妻側が持ち家に住み続けて、住宅ローンは夫側が支払うパターンを多く見受けます。

酒井裕子さん(仮名)の場合も、離婚時に夫が住宅ローンの返済をする取り決めがあったものの、支払いが滞った事例でした。
 

<住宅ローン返済を続ける保証はない>
●酒井さんの場合、夫が住宅ローンの契約者で「慰謝料を払う代わりに、住宅ローンを返済する」との同意で離婚しました。

 
けれども「住宅ローンの返済を続ける保証なんて、どこにもなかった。」と、酒井さんは言います。
 

離婚後、相手の収入状況は分からない

●特に離婚をすると、相手の収入の状況は見えなくなります。

前項の酒井裕子さんの場合、夫の不貞による離婚だったのですが、夫は社内で不貞を続けていたため、会社内でも発覚して解雇となりました。

けれどもこのことを酒井さんは知る由もなく、お互いに連絡も途絶えていたのです。
そして不意打ちのように、家を追い出される事態になります。
 

●いくら離婚時に「この家には私が住むから、あなたは住宅ローンの返済をしてください。」と誓約書にサインしたとしても、現実的な保証はありません。

 

最後に

以上、住宅ローンを残した離婚では、売却する選択が多い理由をお伝えしました。
ただ冒頭でお伝えしたように、子どもの学区問題など、今までと同じ家で住み続けたい人も多いですよね。

もしも今まで住んでいた持ち家にそのまま住みたいのであれば、住宅ローンの借り換えもひとつの方法です。
ただ住宅ローンの残高によって、借り換え時の審査が通るかどうかの問題もあります。
 

※離婚時、住宅ローンの借り換えについては下記をご参照ください。
離婚をする時、住宅ローンの借り換えは必要?借り換えをすべき3つのケース

 
また住宅ローンを残した離婚で売却をして、そのお金で完済を検討するのであれば、アンダーローン(売却額で完済できないこと)にならないよう、まずは不動産会社に査定をして計画を立てると良いでしょう。
 

 
まとめ

住宅ローンを残した離婚で売却が選ばれる3つの理由

●住宅ローンを残したことによるトラブル事例
(1)家を売るには名義人の同意が必須
(2)離婚をしてしまうと連帯保証人の解除が難しい
(3)住宅ローンの滞納により家を追い出される

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