沖縄では民泊から旅館投資へ☆乗り越える5つの事柄
2020/6/28
沖縄では戸建てで旅館を営む投資方法が注目されています。もともとは空き家対策として2018年6月に改正された旅館業法により、一般的な戸建て住宅でも、旅館業を営むことができるようになりました。
遊んでいる持ち家があるなら、より利率の高い方法で有効活用したいですよね。
持ち家や空き家の有効活用だけではなく、今では購入した沖縄の戸建て住宅で、敢えて旅館を営業する投資家までいるほどです。
そこで今日は、民泊事業ブームから移行した、沖縄の戸建て旅館投資について、その基礎知識と、営業開始までに必要な手続き、5つの事柄をお伝えします。
沖縄では民泊から旅館投資へ☆
乗り越える5つの事柄
改正で変わった宿泊施設3つの分類
2011年頃から民泊ブームが起きていた沖縄では、2018年6月の旅館業法改正緩和をきっかけに、「堂々と宿泊サービスを提供できる」旅館業への転向が顕著です。
一方、民泊新法が始まりグレーゾーンだった民泊が法の元に整備され、「住宅」扱いの民泊が本格的に宿泊サービスを提供するには、厳しい要件が加わりました。
(年間180日の営業日数制限などですが、詳しくは別記事「沖縄で営む戸建て旅館vs民泊☆見極める5つのポイント」などをご参照ください。)
そして、この2018年6月の旅館業法改正では、ホテル業と旅館業がひとつに統一され、空き家対策として、戸建て住宅などの有効利用を後押ししています。
【 沖縄で旅館投資☆改正により変わった3つの分類 】
① ホテル・旅館業 … 宿泊施設に反復継続的に宿泊サービスを提供し、宿泊料金をいただく形態のなかで、下記にある「簡易宿所」「下宿営業」以外を指します。
② 簡易宿所営業 … 宿泊者が複数で共有する構造(設備)を有した施設で宿泊サービスを提供し、宿泊料金をいただきますが、下記「下宿営業」以外の形態です。
③ 下宿営業 … 1カ月以上は「下宿」扱いになります。(賃貸住宅とは衛生管理者が変わります。下宿営業では衛生管理者がオーナー側です。)
今回、沖縄で民泊から旅館投資へ移っているのは、①の「ホテル・旅館業」の改正緩和によるものです。特に戸建て住宅を民泊していた人々にとっては、朗報だったのではないでしょうか。
簡単にポイントをお伝えすると、フロントの設置義務や部屋数の制限が緩和されたために、結果的に戸建て住宅を民泊利用していた個人でも、旅館業許可が下りやすくなりました。
マンション民泊の現実は厳しい
2011年頃から起きた民泊ブームでは、マンションの一室を利用するオーナーが急増しています。
このようなマンション民泊の場合、旅館業許可はまず難しい要件でしたが、2018年の改正において、②「簡易宿所」で可能性が出てきました。
簡易宿所は「客室の延床面積が33㎡以上の施設であり、宿泊者一人当たり3.3㎡以上」が要件ですが、部屋数数の規制がなくなり、フロント設置義務も撤廃されたために、旅館業法としてはワンルームマンションでも可能性が出てきたと言えます。
…ただしマンションは戸建て住宅とは違い、管理組合のある共有部分を持つ住宅なので、現実的には民泊新法の施行により、宿泊サービス事業を諦める人々が続出しました。
【 沖縄で旅館投資①マンションの場合 】
☆ マンションの一室を利用した旅館業が難しい理由
・ それぞれの自治体では、保健所や消防署許可の過程で、独自に規制を設けている場合、その規制に沿わないケースが多数。
・ マンション利用の場合、不特定多数の外部者が入る可能性が高い宿泊サービスの提供では、管理組合の承認が必要です。けれども管理組合の承認が難しい物件が多い。
(そもそも、管理規約で禁じているケースを多く見受けます。)
・ 住居として建てられたマンションを旅館利用するためには、用途変更の手続きが必要な場合の難しさ。
(用途変更に不可欠な消防法・建築基準法に沿わない物件がほとんどで、共有部分に当たる規制が多いので、個人で変更はできません。)
…この他にも、実際に旅館業許可を取ろうとすると、多くの壁に当たるのではないでしょうか。
敢えて可能性があるとすれば、「店舗可物件」を利用するケースですが、今から沖縄で旅館投資を検討するのならば、より融通性の高い戸建て住宅を利用した旅館業が賢明です。
既存の物件なら、「用途地域」をまずチェック!
まず、空き家などもともと所有していた物件を、沖縄で旅館業投資する場合には、その家が建つ「用途地域」を確認してから進めてください。
民泊の場合には工業地域以外はほとんどのエリアで開業が可能ですが、旅館業として営業を始める場合、用途区域が限られてきます。
【 沖縄で旅館投資②用途地域のチェック 】
☆ 旅館業として営業を始める場合、下記の区域では始めることができません。
・ 第一種低層住居専用地域
・ 第二種低層住居専用地域
・ 第一種中高層住居専用地域
・ 第二種中高層住居専用地域
・ 工業地域(民泊も不可)
・ 工業専用地域(民泊も不可)
これから沖縄で戸建て住宅を購入し、旅館業へ転用投資するのであれば、「第一種住居地域」「第二種住居地域」「準住居地域」などの住居エリアの他、「近隣商業地域」「商業地域」の商業エリア、「準工業地域」で探してください。
この「用途区域」は都市計画法で整備されていて、沖縄では「沖縄県地図情報システム」で詳しく確認することができます。(文字上をクリックしてください。)
ネット以外では、旅館業を始めたいエリアの市町村の「都市計画担当窓口」へ確認すると安心です。
保健所のチェックと営業許可
続いて、沖縄で旅館業投資を始めるために乗り越えるべきは「保健所のチェック」です。
2018年の旅館業改正でフロント設置の規制が緩和されましたが、これはICT設備設置も必要ですし、有事には10分ほどで現場対応できる条件があります。
沖縄でも戸建て旅館投資の場合、用途変更に伴う「建築確認申請」自体が必要のないケースが多いため、より営業を始めやすくなりましたが、建築基準法を守ってください。
例え「建築確認申請」手続きの必要がない物件でも、この保健所のチェックで確認できます。
【 沖縄で旅館投資③保健所の営業許可 】
☆ 保健所の営業許可は、旅館を営むエリアの市町村の「構造設備基準」に沿わなければなりません。自治体によって違いがあるのですが、主には下記のような要件です。
① 客室 … 延床面積のチェック(宿泊客一人当たりの床面積など)、窓面積や数が充分にあること。
② 環境 … 採光環境、換気状況、照明など
③ サニタリースペース … 宿泊客一人当たりの洗面所やトイレ数
…などのチェックが入ります。2018年の旅館業改正緩和以前は、ここにフロント設置義務(基準)が設けられていました。
また2018年の改正緩和により、大きく変わったポイントは浴室です。その前までは浴槽の設置義務がありましたが、改正緩和によりシャワーのみの施設も認められるようになりました。
特に沖縄では戸建て住宅でもシャワールームのみで、浴槽スペースのない家は多くありますので、嬉しい改正内容ではないでしょうか。
【 沖縄で旅館投資☆保健所に確認 】
☆ ただし保健所の営業許可は、それぞれの市町村で要件が変わりますので、まずは旅館を営むエリアの自治体に確認を取ると安心です。
・ 沖縄県HP、「旅館業に関すること」のサイトにて、それぞれのエリアでの保健所連絡先が掲載されていますので、下記リンクから電話番号などをチェックして、申請を進めてください。
★ 沖縄県「旅館業に関すること」(中央付近に保健所連絡先が掲載してあります。)
沖縄の戸建て旅館投資、用途変更
2018年の旅館業法改正により、一般的な戸建て住宅の延床面積を鑑みると、多くの戸建て住宅での営業で、用途変更手続きの必要がなくなりました。
この用途変更の手続きは、前の項でお伝えした「建築確認申請」に当たります。
【 沖縄で旅館投資④建築確認申請の有無 】
★ ただし宿泊サービスを提供する営業スペースの、延べ床面積が200㎡以上の物件や、一部の3階建て物件の場合には、用途変更(建築確認申請)をしなければなりません。
→ 詳しくは別記事「沖縄で戸建てを旅館へ転用投資☆許可に不可避な建築基準法」をご確認ください。
空き家など既存物件の場合に、この手続きで必要になる「検査済証」を紛失しているケースがあり、ここで諦める人も少なくありません。
消防法をクリアする
最後に、沖縄の戸建て旅館投資であっても、消防法が適用されますので、旅館を営むエリアの消防署に許可を得なければなりません。
【 沖縄で旅館投資⑤消防法の許可を得る 】
★ 基本は自火報(自動火災報知設備)や非常灯、避難機器などの設置義務がありますが、こちらも保健所と同じく、それぞれの自治体で少しずつ基準が変わってきます。
→ エリアの消防署にまず確認を取って進めると安心です。詳しくは消防法に関する別記事「沖縄で戸建てを旅館へ転用投資☆許可に不可避な消防法」も併せてご参照ください。
いかがでしたでしょうか、沖縄で戸建て旅館投資で営業を開始するためには、旅館業法の許可が必要です。
戸建て旅館の場合には3つの宿泊施設の分類のうち、「ホテル・旅館業」に振り分けられますが、2018年の改正緩和により、個人でも充分に始めやすくなりました。
200㎡以下(多くの一般的な戸建て住宅の大きさです。)の物件であれば、用途変更(建築確認申請)の手続きも必要ありません。
ただし、保健所と消防署の営業許可は必要です。これらは各自治体によって少しずつ違いますので、まずは自分の区域の保健所・消防署に確認をしてから進めると、無駄がありません。
ただし、戸建て住宅は住宅街に建っていますよね。区域によっては都市計画法により、民泊はできても旅館業許可が下りないエリアもありますので、最初に「用途区域」を確認しておくことをおすすめします。
まとめ
戸建て旅館を始める基礎知識と、5つの手続き
・戸建て旅館は「ホテル・旅館業」に分類される
・マンションの一室での営業は現実的ではない
・旅館業許可が下りない「用途区域」がある
・保健所検査、許可をもらう
・消防法をクリアして消防署から許可をもらう
・200㎡以下であれば用途変更の手続きが免除される