沖縄で戸建てを旅館へ転用投資☆許可に不可避な建築基準法

2020/6/19


沖縄では戸建て住宅で旅館を営む投資が人気ですよね。
 
沖縄では「戸建て貸切旅館」などと呼びますが、2018年6月に建築基準法が一部改正し、そのブームを後押ししました。
 
2018年6月の建築基準法の改正は、そもそも社会問題化している空き家の有効利用を促すことが目的でした。
 
ただこの改正をきっかけに、観光客の多い沖縄では、新築戸建て住宅を購入し、旅館へ転用投資する事例が増えています。
 
そこで今日は、戸建て貸切旅館を始める前にクリアをしなければならない、「建築基準法」について、改正内容を中心にお伝えします。
 

 

沖縄で戸建てを旅館へ転用投資☆
許可に不可避な建築基準法

 

2018年の法改正

2018年の法改正
この2018年6月の緩和は、そもそも個人でも所有している空き家を用途転用しやすいように、緩和を目的とした改正です。
 
そのため、沖縄で戸建て住宅を旅館へ転用投資したい人々にとっては、ピンポイントな後押しと言えるのではないでしょうか。
 
ここで、どうして国がここまで空き家の有効活用に積極的に乗り出したのか…、驚きの空き家率の変遷をお伝えします。
 

【 沖縄で戸建てで旅館を営む投資術☆空き家の変遷 】
 
1978年(昭和53年) 空き家 268万戸 空き家率 7.6%
・1993年(平成5年)  空き家 448万戸 空き家率 9.8%
・2003年(平成15年) 空き家 659万戸 空き家率 12.2%
2019年(令和元年) 空き家 846万戸 空き家率 13.6%
 
※2019年度の沖縄での空き家率は10.2%で、全国的には低いものの、昔と比較すると空き家が、グンと増えました。

 

さらに同じく2018年6月にはホテル業と旅館業を統一して、個人でも旅館業許可が下りやすいよう、旅館業法の改正緩和がありました。
 
この2つの改正によって、戸建て貸切旅館は新しい投資法として、ぐっと注目されています。
 

 

個人で行う「建物確認申請」の大変さ

個人で行う「建物確認申請」の大変さ
住居として建てられた持ち家や空き家を、旅館転用する時に大変なのは、住居として建てられた物件を旅館にする「用途変更」です。
 
実際には、「建築確認申請」の手続きが必要になります。
 

【 沖縄で戸建てで旅館を営む投資術☆建築確認申請 】
 
★ 建築確認申請を、建築を知らない一般人が行うことは大変難しく、多くのケースで一級建築士への依頼が不可欠です。
 
→ 一級建築士への料金など、コストが非常に高くなるため、旅館業を諦めるか、建築確認申請の必要がない、小さい規模(100㎡以下※)での民泊に転じるケースが多くありました。

 

けれども同じ2018年6月のタイミングで、ヤミ民泊を取り締まる目的から「民泊新法」が施工され、民泊は営業日数180日までの最大営業日数が定められるなどしています。
 
※「100㎡以下」の規制は、2018年6月の改正により緩和しました。後ほどの項で詳しくお伝えしていますので、ご参照ください。
 

 

「検査済証」提出義務

「検査済証」提出義務
特に空き家の場合には、この申請で必要になる書類「検査済証」が準備できずに、沖縄では戸建てを旅館への転用投資を諦める人が多くいました。
 

【 沖縄で戸建てで旅館を営む投資術☆検査済証 】
 
★ 「検査済証」とは … 国が定める規定を守って建てられた建築物であることを証明するもので、新築時に作成する書類です。
 
→ ところが「新築時に作成」しているため、特に空き家になるような物件では、そもそもこの「検査済証」を紛失しているケースが多発します。

 

ただ、今までも宿泊サービスを提供するスペースの延べ床面積が「100㎡以下」の枠では、建築確認申請自体が免除されていました。
 
確かに「100㎡以下」の枠は、同居型民泊のような、住むスペースの一角に、宿泊サービススペースを設けているケースを考えると、適用するかもしれません。
 
ただ、民泊の場合は営業日数に上限が設けられ(180日)、回収利率も激減するため、「そこまでしても…」と諦めるケースも増えます。
 

 

免除枠の拡大

免除枠の拡大
このように「空き家や持ち家の旅館転用」として考えると、ファミリー層向けの戸建て物件の多くは、100㎡以上の家がほとんどです。
 
申請をしたくても「そもそも申請に必要な書類(検査済証)がない…」など、この段階で諦めるオーナーが続出していました。
 

【 沖縄で戸建てで旅館を営む投資術☆戸建て住宅の平均 】
 
★ 一般的な戸建て住宅は、4人~5人のファミリー層を想定した家がほとんどです。
 
→ 全国的な戸建て住宅の延床面積は、平均129.4㎡とされ(2016年度フラット35利用調査より)、ほとんどの戸建て住宅が免除規定の「100㎡以下」から外れています。

 

…そこで2018年6月の建築基準法改正緩和では、「建築確認申請」の免除枠が拡大されます。
 

【 沖縄で戸建てで旅館を営む投資術☆免除枠の拡大 】
 
★ 「建築確認申請」を免除される枠が、宿泊サービスを提供する延床面積「100㎡以下」から「200㎡以下」まで拡大されました。
 
→ 一般的な戸建て住宅の多くが100㎡~200㎡内の延べ床面積に収まるため、多くの戸建て住宅で建築確認申請の手続きを通らずに、旅館へ用途変更できるようになったのです。

 

この改正をきっかけに、沖縄では「戸建て貸切旅館」投資が急増し、今では日本国内のみならず、アジア系投資家の人々も新築戸建て住宅を購入し、旅館を営む現象が起きています。
 
もともと一般的な住居を転用した戸建て旅館では、接待用や別荘としても利用でき、また、賃貸としての転用もできるので、何かと便利です。
 

 

消防法はクリア

消防法はクリア
このように多くの戸建て旅館で建築確認申請を免除されますが、消防法のクリアと保健所の点検は不可欠です。
 
この時に室内をチェックしていきますので、建築基準法に沿っていない建物はチェックが入る可能性が高くなります。免除された枠とは言え、理由があっての法律ですから、建築基準法のクリアは不可欠です。
 

【 沖縄で戸建てで旅館を営む投資術☆消防法 】
 
★ 消防法については、誘導灯や火災通報装置の設置義務などがありますが、地域の消防署によっても違いがあるため、一度、予定エリアの消防署に確認を取ることをおすすめします。
 
→ 詳しくは別記事「沖縄で戸建てを旅館へ転用投資☆許可に不可避な消防法」でお伝えしています。

 

 

3階建て住宅で旅館業を始める

3階建て住宅で旅館業を始める
沖縄はこの10年以上、全国的にも地価が上がっていたため、小さな土地を有効利用する家造りが進んでいます。特にこの数年で目立つのは、3階建て住宅です。
 
車社会の沖縄では、1階部分をガレージにして、2階・3階部分を住宅スペースにする間取りも多いですよね。
 
ただ、このような3階建ての家を旅館へ用途変更する場合、耐火構造住宅でなければならず、一般的な木造住宅などではその規定に沿っていないことが多いために、大掛かりな工事が必要になるケースが多くありました。
 
家の軸となる壁や柱を改修するために、個人で工事を施工するには相当のコストが掛かるとして、ここで諦めるケースも多発しています。
 
けれども2018年6月の改正緩和では、このような3階建て住宅の有効活用も後押ししています。
 

【 沖縄で戸建て旅館を営む投資術☆3階建ての家 】
 
★ こちらも一般的な戸建て住宅の層である「200㎡以下」の物件枠において、耐火構造への改修が免除されました。

 

ただし、新しく3階建ての家を建てて旅館にする場合には、外階段を2つ以上設置することで、消防法で設置義務のある「自動火災報知機」が、より割安な「特定小規模自動火災探知器」の設置で抑えられるので、より安心です。
 
詳しくは別記事「沖縄で戸建てを旅館へ転用投資☆許可に不可避な消防法」でお伝えしていますので、こちらも併せてご参照ください。
 
 

いかがでしたでしょうか、今日はブームになってる沖縄の戸建て貸切旅館への投資術には欠かすことができない知識、2018年6月に決定された「建築基準法」の改正内容についてお伝えしました。
 
同じ2018年6月にはホテル業と旅館業が統一され、「旅館業法」も改正緩和されたことで、沖縄の戸建て住宅は旅館業へ転用投資しやすくなります。
 
…旅館業法をクリアするために必要だった、「簡易宿泊施設」においてフロント設置義務が免除され、最低5室以上の要件がなくなるなどしたからです。
 
これをきっかけに沖縄では戸建てを民泊から旅館へ転用投資…、多くの戸建て貸切旅館が登場しています。
 
コロナをきっかけに、家族以外との接触の機会が少ない戸建て貸切旅館はニーズも増えるとされ、今後も注目される不動産投資です。
 
 

まとめ

2018年建築基準法の改正内容とは

・2018年に建築基準法が改正緩和された
・空き家の有効活用が目的
・建築確認申請の免除枠が床面積200㎡以下に拡大
・多くの戸建て住宅が免除枠に入った
・消防法と保健所の検査は必要
・3階建てでも200㎡以下なら耐火構造が免除された
・旅館業法も改正緩和され、戸建て貸切旅館ブームになった

 

トップへ戻る

公式インスタグラム公式インスタグラム