民泊から旅館投資へ流れる沖縄☆戸建住宅の活用法①

2020/6/10


今、民泊ブームが過ぎ、旅館業投資への流れが沖縄で起きていますよね。
 
2020年、インバウンドのニーズが高かったためか、大打撃となったコロナショック後も尚、沖縄での旅館業投資の流れは続き、特に中国などアジアからの投資が、より目立つようになりました。
 
2013年の東京オリンピック誘致の一報から、一時は大ブームにもなった民泊ですが、なぜ今、民泊ではなく旅館業への投資が沖縄で進むのでしょうか。
 
そこで今日は、民泊から旅館投資へ…、沖縄でシフトチェンジが進む理由とメリットをお伝えします。
 

 

民泊から旅館投資へ流れる沖縄☆
戸建住宅の活用法①

 

2011年から続くインバウンドのニーズ

2011年から続くインバウンドのニーズ
2020年6月1日現在は、コロナショックによりすっかり大打撃を受けてしまった沖縄や日本の観光業界ですが、2013年の東京オリンピック誘致の一報から、怒涛の宿泊施設の建設ラッシュが起きていました。
 
2013年当初は、東京オリンピック誘致が決まる前の2011年頃から、続々と海外の旅行者が増え、インバウンドのニーズ拡大により、宿泊施設が慢性的に不足する状況だったからです。
 

【 旅館業投資へ流れる沖縄☆インバウンドニーズの上昇 】
 
☆ 2011年時点で622万人だった訪日観光客数が、東京オリンピック誘致が決まった2013年時点で1,036人、2019年には累計31,88万人にまで爆上がりしています。
 
→ そこで政府が推し進めた政策が、民家を利用する「民泊」でした。(「民泊」とは「民家で宿泊サービスを提供する」ことです。)
 
※ 出典:日本政府観光局(JNTO)

 

ただ、大義で考えると、「友人が家に泊まる」なども民泊の一種と捉えられます。
 
上記の表を見ても分かるように、2019年までのインバウンドニーズの拡大は爆発的です。そこに法整備も軽微な民泊があれよあれよとビジネスとして営業を始めたために、様々なトラブルも起きました。
 
2018年頃までは、民泊のために複数の賃貸物件を借りて、「また貸し」するオーナーも増え、オーナーも宿泊者も「自分の家」ではないためか、ゴミ捨てや騒音など、近所迷惑トラブルも多発した時代です。
 

 

アフターコロナ、旅館業の兆し

アフターコロナ、旅館業の兆し
…とは言っても、本来なら東京オリンピックの年で最も繁忙期となるはずだった、2020年は2月から、コロナショックにより大きく潮目が変わります
 
まずインバウンドニーズが期待できなくなる入国規制…、さらに、沖縄にとっては頼みの綱だった国内の旅行者も、緊急事態宣言によって止まり、あっと言う間に深刻になりました。
 
全国的にも2020年の東京オリンピックに向けて、勢いよく建設を進めて来た大手も含め、多くのホテルや観光施設の倒産が続く事態へと陥ります。
 
「…そんななかで旅館業へ投資?」と言う沖縄の人々も多いですよね。けれども、水面下ではアジア系投資家を中心とした、沖縄や日本の旅館業への投資が進んでいるのも、ひとつの側面です。
 

【 旅館業投資へ流れる沖縄☆アフターコロナ 】
 
☆ ひと足先にコロナ第一波が収束した中国では、長期のコロナ自粛ストレスが解放され、まず爆買いやバカンスブームが起きました。
 
→ 沖縄の旅館も不動産投資案件として注目され、まだ入国規制が緩和されていない現在(2020年6月1日)から、リモート視察があちこちで行われています。

 

沖縄は地元民だけではなく、国内や海外の裕福層がプライベートの別荘を建てたり、不動産投資を積極的に行う傾向にあるため、全国的に見ても、この10年以上の地価上昇が顕著でした。
 
そんな沖縄の地価バブルも、「コロナショックをきっかけに潮目が変わる」と読む、不動産投資家が多い、…と言うのが、理由のひとつです。
 

 

空き家問題は2020年も継続中

空き家問題は2020年も継続中
一方で同居率が低くなったことと、少子高齢化に伴う空き家の増加は、コロナショックを受けた2020年でも、未だ解決していません。
 
特に沖縄では「位牌を移動してはいけない」との伝承が色濃く残るために、賃貸物件に転用してもお仏壇は残したまま…、ましてや空き家を解体してしまうと、「位牌の居場所がなくなる」と、本州以上に空き家問題は解消されないまま、現在に至ります。
 

【 旅館業投資へ流れる沖縄☆空き家問題 】
 
☆ 2018年の空き家調査では6万7千戸が空き家となり、空き家率は沖縄平均8.4%になりました。
 
→ 2016年に南西地域活性センター(NIA)によると、このまま行くと、2035年には住宅総数の16.5%が空き家になると言われます。

 

…この空き家問題は全国的にも言えることで、全国の空き家率は2018年の調査では13.3%にも上り深刻です。(出典:総務省統計局「住宅・土地統計調査」)
 
このような空き家を上手く有効かできないか…、と政府が積極的に推し進めた事業が、民泊事業でした。
 

 

2018年の民泊新法ショック

2018年の民泊新法ショック
民泊の魅力は何と言っても、手軽に営業ができることです。そのために一時は「民泊ブーム」と言われるほど、2013年~2018年にかけて、爆発的に民泊施設が増えます
 
けれども前述したように、「民泊」と言う大まかな枠組みのなか、さまざまなオーナーの出現によって、近隣トラブルが頻発、「誰がいるか分からないのは怖い」との周辺住民からの通報も相次ぎ、問題も起きてきました。
 
そこで施工された民泊にまつわる法律が、「住民民泊事業法(民泊新法)」になります。
 
この民泊新法により、民泊事業から撤退した人々も激増したため、民泊新法が施工された6月15日をもって、「615ショック」と言う人も出たほどです。
 

【 旅館業投資へ流れる沖縄☆民泊が下火になった訳 】
 
☆ ビジネスとして民泊事業を行う場合には届出(家主不在なら登録)が必要ですが、「住民民泊事業法(民泊新法)」では下記の条件が付きました。
 
① マンションの一室の場合、管理規約による承認が必要。
② 消防検査の実行(消防検査の費用が掛かります)。
 
…政府としても悪質な民泊事業者を一掃する目的があったものの、この条件により、気軽に民泊を始めた一般層も一気に撤退します。

 

余談ですが、届出(登録)が必要な民泊は、利益を得る形で他者を泊め、それが継続する宿泊施設を指しています。
 
民泊にはビジネスとしての民泊形態の他に、イベント時の宿泊受け入れなど、6つの形態がありますので、利益を得る宿泊客の受け入れが継続的に続いているケースでないのなら、民泊の届出(登録)を出す必要はありません。
 

 

民泊から旅館へ流れた「営業日数制限」

民泊から旅館へ流れた「営業日数制限」
…それでも民泊に必要なのは「届出(登録)」ですので、「許可」が必要な旅館やホテルよりは、民泊事業を始めるハードルは低い、と言えるのですが、民泊事業を気軽に始めた一般層にとって「そこまでしなくてもいいかな」と思わせる内容も含まれていました。
 

【 旅館業投資へ流れる沖縄☆民泊による営業条件 】
 
☆ 民家に宿泊客を受け入れる形態の「民泊」は、年間の最大営業日数に上限が設けられたためです。
 
→ 収益目的の旅館業は、一年を通して上限なく営業ができるのに対して、土地活用(家主不在)や文化交流を目的とした民家を提供する民泊では、一年間の最大営業日数が「180日まで」と明記されています。

 

180日と言えば、一か月30日で単純計算をしても6か月です。家を購入して民泊事業を進めようとしていた場合には、回収率が著しく下がることは否めません。
 
このような事情が続いて、一時の爆発的な民泊ブームが終わりを迎えました。
 
 

いかがでしたでしょうか、今日は民泊ブームから旅館業へと投資の潮目が変わった沖縄事情をお伝えしました。
 
ただし、民泊から旅館業へと投資の潮目が沖縄で変わった理由はこれだけではありません。空き家対策はもちろんのこと、個人の民泊オーナーが活用してきた、民泊施設紹介(仲介)サイト、「Airbnb」の変化や、旅館業法の改正による緩和もあります。
 
さらに2020年に起きたコロナショック後も、依然として旅館業投資への流れが沖縄で続いているのにも、投資家による「読み」が垣間見えました。
 
詳しくはシリーズ②「民泊から旅館投資へ流れる沖縄☆戸建住宅の活用法②」をご参照ください。
 
 

まとめ

民泊ブームから旅館業投資へシフトした理由とは

・2011年からインバウンドが倍々になった
・コロナショックで沖縄の地価バブルが落ち着く「読み」
・2020年度も空き家問題は継続中
・2018年に民泊新法施工により一気に撤退
・民泊は年間営業日数が最大180日と規制された

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