【沖縄の実家相続】相続税は2人に1人が払う時代って本当?
2021/10/21
税理士などの仕事をしていない限り、沖縄の実家を相続することが現実的になるまで、相続時に掛かる相続税や相続後の固定資産税の仕組みについて、よく理解している方は少ないですよね。
一般的に今までなら相続税と言われても、「相続財産が多い裕福層の悩み事」と考える方が多かったのではないでしょうか。けれども2013年の相続税法改正を経て2015年施工後は、一般層にまで相続税の悩みは付きまとうようになりました。
2021年現代では「2人に1人は相続税を支払う時代」と言われ、特に沖縄に限らず実家の相続をする世帯の多くが、どのような不動産財産であっても相続税が掛かる可能性が出てきました。
今回は沖縄の実家を相続する時に知っておきたい、相続税法改正後の仕組みを、以前の相続税との比較とともにお伝えします。どうぞ参考にしてください。
【沖縄の実家相続】
相続税は2人に1人が払う時代って本当?
相続税の仕組み
沖縄の実家を含めた相続財産の全てから、負の財産(借金)や葬儀費用を引くと、相続税が掛かる「課税価格」が算出されます。
【 沖縄の実家相続☆相続税課税の仕組み 】
(1) 課税価格 = 全ての相続財産(不動産財産含む)-(葬儀費用+負の財産)
(2) 課税価格ー基礎控除 = 相続税の課税対象
今まで相続税が裕福層のみの悩み事とされてきたのは、この基礎控除額が高いため、一般的な相続では相続税の課税対象から外れることが多かったためです。
けれども2013年相続法改正により、改正後はこの基礎控除額が大幅に引き下げられ、多くの相続事例が課税対象になりました。
では、2013年の相続法改正で基礎控除がどれほど引き下げられたのでしょうか。
【 沖縄の実家相続☆基礎控除の引き下げ額 】
(1) 改正前 … 基礎控除額 = 5,000万円 + 1,000万円×法定相続人の人数
(2) 改正後 … 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円×法定相続人の人数
このように見るだけでも、全体で5,000万円→3,000万円と2,000万円の引き下げ、法定相続人においても1,000万円→600万円と400万円が引き下げられました。
沖縄の両親の実家を4人が相続する場合
では、具体的に沖縄にある両親の実家を、子ども4人が相続するケースとして、具体的な数字を出してみましょう。
【 沖縄の実家相続☆改正前と改正後比較 】
★ 上記を踏まえると、子ども4人で沖縄にある両親の実家を相続した場合、具体的には下記のような違いです。
(1) 改正前(~2014年) … 5,000万円 + 1,000万円×4人 = 9,000万円
(2) 改正後(2015年~) … 3,000万円 + 600万円×4人 = 5,400万円
※ 9,000万円 - 5,400万円 = 3,600万円
…沖縄の実家を子ども4人で相続する場合、相続税法が施行される以前の2014年と施工後の2015年では3,600万円も、基礎控除額が下がったことになります。
ですから以前の感覚で沖縄の実家を相続しようと決めた場合、基礎控除額が大幅に下がっているため、予想よりも大幅に相続税が掛かる結果です。
これを知らずに沖縄の実家相続を決め、相続税を支払う段階になり驚いたとする声は多くあります。
「家は相続財産はそんなにない」って本当?
それでも「とは言え、家はそもそも相続財産自体がないから…。」と言う方は多いですよね。
けれども注意をして欲しい事柄が「全ての相続財産」と言う点です。このなかには当然、沖縄の実家を相続するのであれば不動産財産も含まれます。
【 沖縄の実家相続☆2人に1人が相続税を支払う理由 】
★ 現代の沖縄は、中国圏など海外や日本国内の裕福層から、別荘や投資物件としての需要が増え、全国的に見ても不動産価値が上昇しています。
→ そんななかですから、那覇市などの沖縄首都圏や観光エリアであれば、庭付き一戸建てに該当する沖縄の実家を相続する場合、4,000万円台以上の評価額も可能性は大きい傾向です。
そしてもちろん、沖縄の実家ばかりを相続する訳ではありません。同時に両親の預貯金も相続することになります。
【 沖縄の実家相続☆全国的な預貯金平均 】
★ 内閣府が発表する「平成29年度版高齢社会白書(概要版)」によると、70歳以上の高齢者世帯において貯蓄額の平均値が2.389万円でした。
→ 60歳~69歳世帯でも一世帯当たりの貯蓄額平均値は2,402万円、持ち家率になると60代で91.6%、70歳以上では93%に登ります。
ですから、沖縄で庭付き戸建ての実家を相続したとして、那覇市や観光地で地価が高いエリアであれば4,000万円台の評価額が付くとして、預貯金の平均値約2,400万円を合わせると、どうなるでしょうか。
【 沖縄の実家相続☆全ての相続財産 】
★ 前項のケースで子ども4人で沖縄の実家を相続したとすると、相続財産5,400万円以上の場合に相続税の支払い義務が発生します。
→ 沖縄の実家相続物件の評価額が4,000万円だとすると、高齢世帯の貯蓄平均値2,400万円を合わせると6,400万円です。(4,000万円+2,400万円=6,400万円)
相続税の支払い義務が生じる5,400万円を1,000万円オーバーしますから、相続税を支払わなければなりません。
まずは不動産会社で査定依頼
ですから多くのケースで相続放棄をするか、沖縄の実家を相続して3,000万円の特別控除の特例期間に当たる3年以内の売却を検討する選択が多いです。
とは言え、沖縄に限らず実家の相続物件の状態は、立地や状態までさまざまではないでしょうか。
【 沖縄の実家相続☆まずは評価額を確認する 】
★ そのため沖縄で実家を相続することになったら、まずは不動産会社へ査定依頼をして、正確な評価額を把握しておくと、より適切な判断ができます。
→ 実家を売却しないと相続税を払うことができないケースでも、不動産価値を把握しておくことで、相続税の支払い方法(現金払いか物納※か)を判断しやすくなるでしょう。
※「物納」とは、相続税を現金ではなく不動産(実家)によって納入する方法です。国では納入された不動産を競売に掛け、現金化する流れが多くなります。
ただし、沖縄の実家を相続する場合の売却価格に関しては不動産会社へ査定依頼をして価値を見極めますが、物納を検討する場合は税理士に相談をして評価額を出してもらい、物納か売却による現金納入かを、比較検討してください。
沖縄の実家を相続する場合
ただ沖縄の実家相続では金銭面だけではなく、心情的に「すぐに売却に動き出す気分にはならない。」とする声も多いですよね。
実際に沖縄でも一度実家を相続して2~3年を経て、売却活動へ至るケースが多いです。
この背景には沖縄の実家相続後の維持・管理費がかさむ問題とともに、管理がおろそかになることで近隣住民からの苦情が出やすくなるのも、2~3年後に多いこともあります。
【 沖縄の実家相続☆相続後の売却は3年までが目安 】
★ 平成28年に可決された改正により、沖縄の実家相続後、空き家になった実家を3年後の年末までに売却した場合、3,000万円までの特別控除の特例が可能です。
→ 以前は被相続人(両親など)と同居していた相続人に限った特例で、被相続人と同居していない家族が相続した場合、3,000万円までの特例は適用されませんでした。
※ これが被相続人と住居を別にしていた相続人も、相続してから3年後の年末までに空き家(実家)を売却した場合、この特例措置を受けることができます。
仮に(分かりやすく)沖縄で実家を相続し、3年後の年末までに売却して3,000万円の譲渡益が産まれたとすると、課税対象にはならない仕組みです。
これが特別控除の特例が外される4年目以降になると、3,000万円×20.315%(課税率)として、約609万円の納税義務が生じるため、沖縄の実家相続後では、3年後の年末を目安に売却の有無を検討する方が多くなります。
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で実家を相続した場合、2013年の相続税法改正により2人に1人の割合で相続税の支払い義務が生じるようになった、その仕組みをお伝えしました。
沖縄の実家を相続してすぐに売却し相続税を支払う計画を立てたとしても、相続税の申告期限は10カ月ですから、相続税の支払い期限までに売却できるかどうか…、不安になるとの声も多いです。
ただ基礎控除額の大幅引き下げにより、一般的な家庭も相続税の支払い義務が生じたことから、今では不動産会社などが相続税の建て替えサービスを受け付けるなど、さまざまな対策が取られています。
まずは沖縄の実家を相続した場合にどのような選択肢が生じるかどうか…、不動産会社へ一度、査定依頼をしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
基礎控除額の大幅引き下げの仕組み
●改正前と後の違い
・改正前→基礎控除額=5,000万円+1,000万円×法定相続人の人数
・改正後→基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の人数●子ども4人で相続した場合
・改正前→5,000万円+1,000万円×4人=9,000万円
・改正後→3,000万円+600万円×4人=5,400万円※9,000万円-5,400万円=3,600万円もの引き下げ
●高齢者世帯の貯蓄額平均は2.389万円
●戸建て不動産相続の場合相続税が掛かるケースが増えた