養育費とは?年収で違う相場、公正証書による未払い対策を詳しく解説!

2023/5/8

養育費とは?年収で違う相場、公正証書による未払い対策を詳しく解説!
・養育費とは?男が払うもの?
・養育費の相場は?
・養育費が払われない!どうする?

養育費とは、未成年の子どもを養育するための費用です。離婚時の養育費とは、親権(監護権)を持つ親が、他方の親からもらう費用を差すでしょう。

本記事を読むことで、そもそも養育費とはなにか?離婚時の養育費の相場や、離婚後も養育費を確実に払ってもらうための対策、未払いの対応を解説します。
 

 

養育費とは?男が払うもの?

養育費とは?男が払うもの?
◇「養育費」とは、未成年の子どもを18歳の成人まで養育する費用です

離婚における養育費は、主たる子どもの養育者である、親権(監護権)を持つ親に対して、他方の親が毎月支払う子どもの養育費用を差します。
 

<養育費とは>
●成人まで子どもを養育する費用
・親権(監護権)を持つ親へ、他方の親が払う
・毎月払う
・両親の収入と子どもの数で決定する

 
日本では現代も、離婚で親権を持つ親は母親が多く、尚且つ乳幼児では専業主婦でることも多いため、「養育費=父親が払う」イメージが強いですが、必ずしも男性が払う性質の費用ではありません
 

養育費は両親が負担するもの

◇「養育費」は、片方が全額負担するのではなく、両親の収入によって負担割合が決まります

しばしば離婚調停では、「不倫をしたのだから養育費は全額負担してもらう」との要望を聞きますが、養育費に片方の精神的苦痛は考慮されません。
 

<養育費とは:具体的な費用項目>
●子どもの養育に対してのみ適用します
・衣食住の生活費
・教育費
・医療費
・交通費
・子どもの小遣い

 
また婚姻期間中は夫婦間で相互扶助義務があるため、配偶者にも生活費として「婚姻費用」を支払う義務がありますが、離婚後に元配偶者の生活費を保障する義務はありません。

不倫など離婚原因による精神的苦痛は「慰謝料」により清算されることを理解してください。
 

※専業主婦が離婚する際、離婚後の生活費は下記コラムをご参照ください。
離婚したいけど専業主婦でお金がない!生活費が不安!もらえるお金は?

 

養育費の相場は?

養育費の相場は?
◇養育費は、両親の収入と子どもの年齢や人数によって算定されます

養育費は家庭裁判所と日弁連の研究結果による、一定の算定基準「養育費算定表」が基準です。
また、家庭裁判所と日弁連の研究による算定基準も、それぞれ誤差があります。

ここでは2つの離婚事例の養育費をご紹介しますので、参考にしてください。
今回は両方とも、母親が親権を持ち、父親が養育費を払うとしています。
 

<養育費の相場>
●父親(サラリーマン):年収400万円
●母親:年収175万円、子ども14歳

・簡易算定方式…約4万円~6万円/月額
・新算定方式…約7万円/月額

●父親(自営業):年収750万円
●母親:年収100万円、子ども8歳と2歳

・簡易算定方式…約14万円~16万円/月額
・新算定方式…約22万円/月額

 
「新算定方式」とは2019年に裁判所が発表した、新しい算定表に基づく数字です。
また日本弁護士連合会でも、養育費の算定基準とする算定表を発表しています。

また両親の将来的な収入見込みも鑑みます。全てが算定表通りではありません。
 

 

子どもの年齢で上がる

◇養育費は、子どもの年齢が上がると相場も上がります

子どもの年齢が15歳に達し、義務教育が終わり高校・大学と進学する頃になると、教育費が高くなるに伴い、養育費も上げるケースが多いです。
 

<子どもの年齢が15歳未満>
[支払う親の年収] [サラリーマン] [自営業者]
・年収400万円 約4~6万円 約6~8万円
・年収500万円 約4~6万円 約6~8万円
・年収600万円 約6~8万円 約8~10万円

 
算定表に基づくと、養育費は上記が平均的な数字になります。
ただし夫婦間の協議で合意があるならば、算定表に基づく必要はありません。
 

<子どもの年齢が15歳以上>
[支払う親の年収] [サラリーマン] [自営業者]
・年収400万円 約6~8万円 約8~10万円
・年収500万円 約6~8万円 約8~10万円
・年収600万円 約8~10万円 約10~12万円

 
上記のように子どもの人数だけではなく、年齢によっても養育費の相場が変わります。

原則として養育費は子どもが成人するまでですが、夫婦合意の元、大学卒業まで養育費を支払うケースも少なくありません。
 

 

養育費は再婚したらどうなる?

養育費は再婚したらどうなる?
◇養育費は子どもの養育費用です。
…元配偶者が第一次扶養義務者である限り、支払い義務が生じます

養育費は夫婦間ではなく、親から子へ支払う費用ですので、親権者が再婚をしても、養育費の支払い義務に変化はありません。
 

養育費をもらう側…権利者
養育費を支払う側…義務者

 
ただし養育費を払う元配偶者が、「第一次扶養義務者」である場合です。
 

<権利者が再婚した場合の養育費>
・子どもが再婚相手と養子縁組…養育費減免の調停申し立ての可能性
・子どもは養子縁組をしない…元配偶者は第一次扶養義務者

 
養育費をもらう側の権利者が再婚をした場合、子どもが養子縁組をしたならば、主に養育義務を負う「第一次養育義務者」は再婚相手に移ります。

そのため元配偶者から養育費減免の調停を申し立てられる可能性はあるでしょう。
ただ調停が不成立のまま、養育費が滞納された場合には、強制的に徴収できます。
 

義務者が再婚した場合

◇養育費を支払う側の義務者が再婚して、経済状況に変化があった場合には、養育費減額の可能性があるでしょう

養育費は両親の収入に応じた割合で算出されます。
そのため養育費を支払う側の義務者が再婚をして、子どもができた場合には、養育費が減額されるかもしれません。
 

●義務者の再婚による、養育費減額の申し立てがあった場合です

 
ただし義務者が裁判所に養育費減額の申し立てをして、減額が成立してからですので、突然、養育費が減額されることはないでしょう。
 

養育費の未払い対策

養育費の未払い対策
◇養育費を確実に徴収したいなら、公正証書を作成します

公正証書は公証役場で作りますので、地域の公証役場で予約をしましょう。
養育費の公正証書の場合、両親がともに公証役場に出向かなければなりません。
 

<養育費の公正証書を作成>
・公証役場で日時を予約
・両親で公証役場に出向く
・公証人と面談
・公正証書内容の合意
・公証人により、公正証書の作成

 
養育費の公正証書を作成する手数料は、養育費の金額により異なりますが、養育費の合計金額が500万円以上~1千万円であれば、17,000円が目安です。
 

 

養育費の公正証書を作るメリット

◇養育費の公正証書は、法的文書として強制執行できます

公正証書は法的な専門家である公証人が文書を作成しますので、読んだ人によって違う解釈が起こりにくいです。

弁護士など法的な第三者が介入しない文書は、後々養育費や財産分与において、解釈の違いによりトラブルが起きる事例もあります。
 

・放棄したつもりがないのに、放棄したとされた
・合意内容の解釈の間違えにより、法的効力がなくなった
・内容が曖昧で、トラブルになった

 
公正証書は法的な第三者が介入し作成する文書であり、養育費の未払いに対しても法的効力を発揮します。
最終手段ではありますが、いざとなれば財産の差し押さえも可能です。
 

※養育費の公正証書の作り方は、下記コラムを参考にしてください。
養育費の公正証書の作り方は?作成するメリット・デメリット

 

 

養育費は未成年の子どもの養育費として支払います

養育費は未成年の子どもの養育費として支払います
養育費とは、未成年の子どもに対して生活費や医療費など、養育全般の費用として支払います。

離婚の際の養育費は、主に子どもを育てる親権者や監護親が、収入の割合に応じて他方の親から受け取ることができるでしょう。

日本では一般的に父親が働いて母親が子どもを育ててきたため、「養育費は男性が払うの?」と言う質問もありますが、収入割合により親権者(監護親)へ、他方の親が支払うものです。

毎月の養育費を離婚時に決めても、環境の変化により滞納する事例も少なくありません。

養育費の公正証書や、養育費の立て替えや徴収代行をしてくれる「養育費保証サービス」など、離婚の時から養育費の対策を取り、離婚後の子どもの生活を確保してみてはいかがでしょうか。
 

トップへ戻る

公式インスタグラム公式インスタグラム