マンションの相続税が払えないと危険!納税ができない時の対処法も解説
2022/8/7
マンションを相続すると決まったものの、手元にまとまったお金がないために「マンションの相続税が支払えない」などの相談は多くあります。
不動産であるマンションは相続してもお金は手元に入りませんが、相続税は現金・一括で、期限内に支払わなければなりません。
「一棟まるごとマンションを相続したなら、現金があるのでは?」と言っても、家賃が手元に入るまでに時間が掛かるため、相続税支払いのためにマンションを手放す事例も多いです。
そこで今回はマンションの相続税が払えない場合、どのように対処すべきか…、いくつかの対処法をお伝えします。
マンションの相続税が払えないと危険!
納税ができない時の対処法も解説
相続税が払えない時の4つの対処法
原則、マンションに限らず相続税は現金一括で収めることが一般的です。
では現金一括で納められない時には、どのような対処法があるでしょうか。
マンションを相続した後、現金一括で相続税を払えない場合、下記4つの対処法があります。
<マンションの相続税が払えない時の対処法>
(1)延納制度(分割払い)を利用する
(2)物納制度を利用する
(3)相続したマンションを売却
(4)金融機関から資金を調達する
(5)相続を放棄する
マンションの相続税は原則、被相続人が相続人の死亡を知った時から10ヶ月以内に、現金・一括払いで相続税を支払わなければなりません。
まずは税務署にマンションの相続税が期限内に支払えないことを相談して、(1)延納制度(分割払い)を利用すると良いでしょう。
延納制度は相続税の支払い義務はありますが、分割での支払いができます。
(1)延納制度(分割払い)を利用する
(1)の延納制度、(2)の物納制度は共に税務署に相談して税務署の支払いを進める手続きです。
マンションの相続税を納付する期限となる10ヶ月以内に相談をしてください。
まず延納制度とは、相続税は本来一括で納めるものだが、分割で支払いができる制度です。
ただ延納制度を利用するにあたり、下記の条件をクリアしなくてはなりません。
<マンションの相続税を延納する条件>
・相続税額が10万円以上
・一括で納付することが困難な金額であること
・延納申請書や担保提供関係書類を納税者が申請する
・延納税額に相当する担保を提供しなくてはならない
延納制度は一括で払うべきマンションの相続税を分割にできるため、助かる制度ではありますが、民間金融機関の融資と同じように、延納期間中は利子税がかかるので注意が必要です。
(2)物納制度を利用する
物納制度とは原則、現金で納める相続税を不動産などの一定の財産で代わりに納めることができる制度です。
延納制度と同じく利用するにあたり、下記4つの条件をクリアしなくてはなりません。
<マンションの相続税を納税する条件>
・延納でも金銭で納めることが難しい
・物納財産が定められた種類の財産でなくてはならない
・物納申請書や物納手続関係書類を納税者が申請する
・一定の相続財産を物納することで納めることができる
延納制度とおなじように物納制度を利用する場合にも、延納制度と物納制度を利用するに当たり一定の審査があります。
また審査が希望に沿わない場合があるので、注意しましょう。
(3)相続したマンションを売却
マンションの相続税を払うため、相続したマンションを売却する選択も多いです。
マンションの相続税が払えない場合、延納制度と物納制度はとても有効的な手段ですが、審査がある上に仮に審査が通ったとしても、利子税を支払わなくてはなりません。
制度を利用する以前に気軽に利用するには少し難しい側面もあるうえ、維持管理が難しいと判断したならば、売却の選択肢もあります。
<マンションの相続税を売却して支払う>
・マンションの維持管理に負担やリスクがある
・相続されたマンションを売却し、現金化する
そもそもマンションに限らず、相続した不動産を売却するには、名義変更「相続登記」をしなくてはなりません。
このような手間があり、尚且つマンションに住んでいない場合であれば、維持するのにもコストがかかり将来性が見えないでしょう。
(4)金融機関から資金を調達する
ただ、前項でお伝えしたマンションを売却して相続税を支払う方法の場合、いつマンションが売却されるのか、分からない点はデメリットです。
相続税は10ヶ月の納付期限があるため、マンションの売却により相続税を支払うのであれば、10ヶ月以内に売却し現金化しなければなりません。
<マンションの相続税を金融機関から借りる>
●その場合、金融機関にマンションを担保としてお金を借入できるか確認するのも有効的な手段の1つです。
ただ、金融機関にマンションを担保してお金を借り入れするのであれば、マンションは相続して「相続登記」へと手続きを進めます。
また金融機関にお金を借り入れすると言うことは、つまり借金ですから、各種ローンと同じように利子を支払わなければなりません。
利子は分割回数によって変化しますので、利子の支払いと相続税額の支払いとを比較して検討する必要はあります。
また多くの相続した不動産を担保に金融機関に借り入れをするケースでは、相続税の支払いのためのまとまった現金がないため、マンションの売却を決めたものの、相続税の納付期限である10ヶ月以内に売却できるか未定になるため、先に民間金融機関に借り入れを決める流れが多いです。
この場合、売却を済ませて相続税を納付した後、残金で借り入れを完済する家が多いです。
いずれにしてもマンションの相続登記の手続きが済んでから、不動産を担保として金融機関に相談します。
(5)相続を放棄する
また、マンション以外の相続はないでしょうか。
全ての相続ではプラスの財産もあれば、マイナスの金銭も相続することになります。
<相続放棄>
●マンションの相続税の支払いだけではなく、マイナスの財産である借金も相続財産にあった場合、相続放棄の選択もあるでしょう。
ただ一概にマンションの相続税が払えない、マイナスの財産があるからと言って、相続放棄を選ぶ必要はありません。
相続状況によってしっかり検討してから手続きに進むことをオススメします。
最後に
いかがでしたでしょうか、今回はマンションの相続税が支払えない時にできる、4つの対処法をお伝えしました。
一般的にはマンションの相続税が払えない場合、まずは税務署に相談して分割払いができる延納、もしくは物納を選ぶ人が多いでしょう。
マンションの相続税が払えない時に大切なことは、まず、相続税の支払い期限である10ヶ月が過ぎる前に、税務署に相談をすることです。
また相続放棄や金融機関にマンションを担保として、お金を借入する方法もご紹介しましたが、債務整理をしている方の場合、金融機関での取り扱いができない場合があるので、そこも要チェックしておきましょう。
まとめ
マンションの相続税が払えない時、5つの対処法
(1)延納制度(分割払い)を利用する
・相続税額が10万円以上
・一括納付が困難な金額
・延納申請書や担保提供関係書類を申請
・延納税額に相当する担保を提供(2)物納制度を利用する
・延納でも金銭で納めることが難しい
・物納財産が定められた種類の財産
・物納申請書や物納手続関係書類を申請
・一定の相続財産を物納することで納める(3)相続したマンションを売却
・維持管理に負担やリスク
・マンションを売却し現金化(4)金融機関から資金を調達する
・マンション売却の場合の利用が多い
・マンションの相続登記が必要
・マンションを担保に借り入れ(5)相続を放棄する
・マイナス財産があった場合など