沖縄で戸建てを旅館業に転用☆不動産投資の新しい形
2020/6/7
沖縄では今、戸建ての家を一棟貸し切り旅館として営業する投資方法が注目されていますよね。
民泊特区でもある沖縄ですが、旅館業法が2018年に緩和された後、コロナショックを迎えた2020年になっても尚、民泊から旅館へとシフトチェンジが起きています。むしろ、コロナショックを経て、「だからこそ」と、沖縄では戸建て住宅を建て、旅館業へ投資する人も増えました。
そこで今日は、沖縄で戸建ての家を建てる旅館業への投資が注目されている理由とともに、沖縄で戸建ての家を旅館として投資するために、最初にチェックしておくべき「ポイント」をお伝えします。
沖縄で戸建てを旅館業に転用☆
不動産投資の新しい形
そもそも、「旅館業」とは
沖縄で戸建ての貸し切り旅館への投資が増え、「それって民泊じゃないの?」と、疑問に思う人も多くいました。確かに「旅館」と言えば和風の美味しい食事が出る、割烹旅館のイメージも大きいですよね。
2018年6月に旅館業法が改正され、規制が緩和されたため、戸建て貸し切り旅館が産まれた…とも言えます。最も、同じ2018年6月に民泊新法が施工される前は、戸建て貸し切り旅館は「民泊」のカテゴリーに含まれていました。
ただ、個人が家族が住むような沖縄の戸建てを旅館業へ転用する投資方法は、「民泊」の響きとは違い、少し不安が伴いますよね。
【 沖縄で戸建てを旅館業に転用投資☆「旅館営業法」 】
☆ では、1948年法律第138号「旅館営業法」から、「旅館業とは何か」を見てみると、下記の条件が記されています。
① 施設を設けて、
② 宿泊料を受け、
③ 宿泊させる「営業」
「①施設を設けて」の「施設」が一般的にイメージされる大掛かりな日本家屋の旅館などではなく、今回は「戸建ての家」になりました。
ただ、法律的な見解を理解しておきたい点が、「②宿泊料を受け、」の「宿泊料」と、「③宿泊させる営業」の「営業」です。
そこで続いて法律的な「宿泊料」と「営業」の定義をチェックしていきます。
「宿泊料」とは
もちろん「宿泊料」とは、寝泊まりする料金を払うか・払わないか、なのですが、一泊したからと言って、食事代やTV視聴料金を払っただけでは、「宿泊料を払った」とは法律的には言いません。
他にも「休憩料金」など違う言い方もありますが、「寝泊まりするためには、必ず必要な物事に料金を払った」場合に、「宿泊料」として定義されます。
【 沖縄で戸建てを旅館業に転用投資☆宿泊料 】
〈 宿泊料に含まれる料金 〉
・ 宿泊料
・ 休憩料金
・ 寝具貸し出し料金(ロッジや山小屋など)
…この辺りは名前を変えただけ、とも言えますね。この他に…、
・ 清掃料金
・ 光熱費
・ クリーニング料金
…などなども、広義の「宿泊料」です。
この考え方は例えば…、寝泊まりをしなければ(喫茶店などでは)、当然清掃作業は必要ありませんし、光熱費も掛かりません。
寝泊まりをすることで、必ず必要になる物事に対して発生した料金は、宿泊料に入ると考えてください。では、宿泊料に当てはまらない項目とは、一体何なのでしょうか。
〈 宿泊料から外れた料金 〉
・ 食事代
・ TV視聴料
・ ランドリー使用料
…などが挙げられます。
つまり、寝泊まりをしても宿泊料をいただかず、お食事代を受けたとしても、旅館を営業しているとは捉えられません。
また先にも触れたように、この「営業」自体でも、法律上の定義を理解しておくと安心です。もちろん友人・知人や親族が宿泊料なしで泊ることは、どちらかと言えば「民泊」に値しますが、旅館の営業ではありません。
「営業」とは
では、法律の上での「営業」とは、どのような状態を指すのでしょうか。ここでのポイントは「社会性があるかないか」、そして「継続反復~その状態が継続的に繰り返されているのかどうか」の2点です。
【 沖縄で戸建てを旅館業に転用投資☆「営業」とは① 】
☆ 法律から見た「営業」の定義とは、「社会性をもって」「継続反復されるもの」を指しています。
① 社会性をもって … 家族や親せき、友人知人などの個人間ではなく、不特定多数の人々へ「宣伝」をして、宿泊サービスを提供する状態が「社会性」です。
ですから、民泊で流行した宿泊施設の仲介サイト「Airbnb」を利用して、世界に「宣伝」し、初見のお客様など不特定多数の人々へ、宿泊サービスを提供する(宿泊料をいただく)場合には、「営業」とみなされます。
一方、よくお盆休みなどに帰省した親族を泊めることもありますよね。これらの行為は「社会性」とはみなされず、「営業」に当たりません。
続いて、もうひとつのポイント「継続反復」について紐解いて行きます。
【 沖縄で戸建てを旅館業に転用投資☆「営業」とは② 】
② 継続反復されるもの … 不特定多数の人々に宣伝をし、宿泊料を取って宿泊サービスを提供する状態が、繰り返し続いている状況です。
→ 「民泊」と「旅館業」の違いがここで顕著に出てきます。民泊のカテゴリーのなかには、夏祭りなどのイベントに合わせた「民泊」要素があります。この場合、イベント中のみの宿泊提供(民泊)なので、繰り返し続くことはありません。
賃貸住宅と旅館業の違い
今まで多くの不動産投資家が賃貸住宅を購入してきました。けれども近年では、空き部屋問題が深刻ですよね。そのために、賃貸住宅をリフォームして旅館業に転用するケースも増えています。
この他にも転勤族の家庭であれば、戸建て住宅を他の家族に賃貸として貸し出す方法もありますが…、「賃貸住宅」と「旅館業」では、主に何か変わるのでしょうか。
【 沖縄で戸建てを旅館業に転用☆「賃貸との違い」 】
《 賃貸住宅 》
・ 一か月以上の契約とする
・ 利用者の「生活拠点」になっている
《 旅館業 》
・ 一泊からの利用ができる
・ 利用者が「生活拠点」としていない
…ですから、ビジネスマンに人気が高いウィークリーマンションは一か月以内からの契約なので、旅館業に当たることになります。一方で一か月以上の宿泊もできますから、旅館業の方がより融通が利く投資です。
ただ旅館業許可を得た物件で、一か月以上の宿泊契約をした場合に気を付けておきたいポイントが、「生活拠点」となります。
法律から見た時、何をもって「生活拠点」と判断するか、が重要だからです。
【 沖縄で戸建てを旅館業に転用☆「生活拠点」の判断 】
☆ 「誰が衛生管理をしているか」を注意してください。「衛星管理」とは、部屋の清掃や寝具のクリーニングなどです。
① 賃貸住宅 … 衛生管理(掃除など)は主に、利用者が行います。
② 旅館業 … 衛生管理(掃除など)は、長期宿泊者の部屋でも、貸し出し側が行わなければなりません。
…法律で見た時の「生活拠点」は、掃除や寝具クリーニングなど、生活に必要な衛生管理を、「誰が主に行っているか」で決まります。
利用者が掃除をしているなら、利用者の生活拠点とみなされ「賃貸住宅」のカテゴリーに入り、一方で、貸し出し側が掃除をしているなら貸し出し側の生活拠点になるため、「旅館業」と判断される…、と言うしくみです。
民泊と旅館業の違い
以前、沖縄が(法律が緩和される)特区に選ばれたことで、ブームになったため、民泊は「一般の人が民家を提供して、宿泊料をもらえる副業」のイメージが強いですよね。
けれども本来は、自治体が先導する地域イベントに伴う民家の宿泊提供や、文化交流としての「民泊」ももともと存在し、そのなかにはもちろん、無償で提供する「民泊」もあります。
ですから副業としての民泊が注目されてから、「ヤミ民泊」と呼ばれる施設も増えてしまい、無法地帯状態となります。
そのため2018年6月の民泊新法の施工から、一般的にイメージされる副業としての民泊は、「簡易宿泊所」の位置づけになりました。
では民泊と旅館業では、いったいどのような違いがあるのでしょうか。ここに沖縄で戸建て住宅を旅館業に転用投資する流れができた理由が分かります。
【 沖縄で戸建てを旅館業に転用☆民泊との違い 】
☆ 民泊は「届出」を行うのみの手続きで、旅館業は「許可」を得なければなりません。そのため、最初の手間暇は旅館業の方が掛かります。
《 民泊 》 一般の人が空き家・空き部屋を提供する
・ 申請は「届出」のみ(より簡易)
・ 家主不在型と、家主同居型がある(利用者が掃除をしても良い)
・ 年間最大営業日数は180日
《 旅館 》 旅館業者が宿泊サービスを提供する
・ 申請は「許可」が必要
・ 社会性をもって反復継続されている
・ 営業日数に制限なし
…「えっ!」と感じた方も多いのではないでしょうか。そう、民泊ではどんなに投資をしても、年間180日(6か月)までしか、営業ができないのです。
先述した「生活拠点」について言及のない民泊ですが、全国的にも地価が比較的高い沖縄で、戸建て住宅を購入し旅館業へ転用投資するとなれば、年の半分しか営業できないとなると、「回収できない!」と考えるのも納得です。
いかがでしたでしょうか、今日は、今沖縄で戸建てを貸し切り旅館業へ転用投資するための基本を、賃貸住宅や民泊との違いと共にお伝えしました。
インバウンド需要を目的とした戸建て貸し切り旅館が多いため、今は戸建て住宅を一棟購入して、旅館業法に合うように整えるケースが多いです。
ただ、この他にも沖縄では空き家を旅館へ転用投資するケースや、空き室で困っている賃貸アパートを旅館転用するオーナーも増えました。
詳しくは別記事「沖縄の空き家・空き室☆旅館業への転用投資術」でお伝えしていますので、こちらも併せてご参照ください。
まとめ
戸建て旅館を始める基礎知識
・旅館営業法の「宿泊料」と「営業」がポイント
・泊るうえで欠かせない「料金」が「宿泊料」
・食事など泊るうえで必須ではない料金は除外
・不特定多数へ宣伝して宿泊サービスを提供する
・以上の状態が続いて繰り返される状態が「旅館業」
・賃貸との違いは「生活拠点」
・生活拠点の判断は「誰が衛生管理をしているか」
・民泊との違いは最大営業日数
・民泊では最大180日の営業制限がある