離婚すると親権はどうやって決まる?母親が親権を取れないことはある?
2023/5/1
・離婚すると親権はどうなるの?
・離婚の親権は母親が有利って本当?
・離婚で親権を取るための対策は?
離婚で真っ先に考えるのは親権ですよね。
日本の離婚では母親が親権を持つ流れが一般的ですが、経済的な不安がある女性も少なくありません。
本記事を読むことで、離婚で確実に親権を取るための対策や、離婚裁判で親権を判断する基準、配慮するポイントが分かります。
離婚すると親権はどうなる?
◇離婚で親権者について夫婦合意がない場合、家庭裁判所で判断します
離婚をすると親権者の決定は、通常夫婦間協議や離婚調停で決めますが、夫婦の意見がまとまらないケースが多々あります。
離婚訴訟などの法的手続きを経て、離婚裁判により親権を争うことになります。
離婚により親権が取れない場合、少なくとも日常的に子どもと会うことができなくなるため、重要な争点です。
離婚で「親権を分ける」とは?
◇子どもの責任を、親権者と監護親で分ける方法です
財産や法的な管理者と、日常的な養育者を分けることで、両親はそれぞれ、子どもの成長を見守ることができます。
・監護親…子どもを監護すべき親
親権者になることにより、子どもは了承を得る必要があるので、監護親でも子どもと一定の交流を保つことができます。
一方、監護親は暮らしを監護するため、共に暮らし育てることができる親です。
離婚時に親権をどちらも拒否した場合
◇原則、離婚により親権を両親ともに手放すことはできません
未成年の子どもがいた場合、離婚により両方の親が親権を手放すことは原則できず、離婚が成立しません。
ただし何らかの事情で、離婚後の親権を持つことが難しいと家庭裁判所が判断した場合、「親権者の辞任」「親権者の変更」手続きを進める可能性もあるでしょう。
離婚の親権は母親が有利?
◇離婚協議では親権者が母親とされるケースが圧倒的に多いです
離婚により親権者を決める時は、夫婦間協議で決める流れが理想ですが、夫婦間協議や離婚調停で親権者が決まらない場合、離婚裁判に進みます。
子どもが乳幼児であれば、離婚裁判に進むと親権は「母性優先」が働くため、母親が有利です。
・離婚で母親が親権を取る確率…約80%
・離婚で父親が親権を取る確率…約13%
また、離婚裁判へ発展する際、親権を得た確率は母親が約90%、離婚裁判に進んだとしても、特別な事情がない限り母親が有利と言えるでしょう。
離婚の親権で母親が有利なのはなぜ?
◇離婚裁判で親権を決める5つの指標は、母親に有利な状況が多いためです
離婚時に乳幼児の親権を判断する基準「母性優先」だけではなく、その後の離婚による親権争いの5つの判断基準を鑑みると、現代の日本では母親が有利な状況になるでしょう。
・監護継続性の原則
・養育への積極性
・兄弟姉妹不分離の原則
・子どもの意思
・経済能力
主に子育てを母親が担うことが多い現代の日本では、経済能力こそ父親有利の判断基準ですが、その他の項目において、母親有利な状況になりやすいためです。
離婚の親権(1)監護継続性の原則
◇「監護継続性の原則」とは、子どもの生活環境は、できるだけ現状を尊重とする、と言うものです
特別な問題がない限り、離婚後の生活環境が変化しないよう、親権を決める方針を差すため、今まで、より長く子育てに携わってきた親が、親権を得やすくなります。
一般的に現代の日本では、日常生活で母親が子育てを担う夫婦が多いです。
そのため離婚時の親権争いでは、母親が有利に働く要素になるでしょう。
離婚の親権(2)養育への積極性
◇「養育への積極性」とは、より積極的に養育に関わって来たのかを差します
現代では変化しつつありますが、昔ながらの日本の価値観では、父親は外に出て働き、母親は家のことや子育てを一手に担ってきました。
子どもの養育は母親が担う夫婦が多いことから、結果的に離婚時の親権争いでも、母親有利に働きます。
離婚の親権(3)兄弟姉妹不分離の原則
◇「兄弟姉妹不分離の原則」では、兄弟姉妹は一緒に暮らす方が良いとします
兄弟姉妹がいる夫婦の離婚の場合、乳幼児の親権は「母親原則」により母親が親権を持つことが多いです。
離婚時に母親が乳幼児の親権を得ることに伴い、その兄弟姉妹の親権も、母親に渡りやすくなります。
離婚の親権(4)子どもの意思
◇「子どもの意思」とは、子どもに聴取し意向を汲んで、離婚後の親権を決めます
法的に子どもの意見が採用されるのは15歳からですが、10歳前後から子どもに意思を確認し、尊重して離婚後の親権を判断するようになるでしょう。
現代の日本では母親が主たる養育者であることが多く、必然的に子どもは母親を選びやすい傾向です。
離婚の親権(5)経済能力
◇「経済能力」とは、経済力がある方が離婚時に親権を得やすい指標です
現代の日本では、子どもが幼い時代は男性が働き、女性が子育て・家事を担う役割分担が多く、経済能力面では男性が有利でしょう。
ただし子どもがいる離婚裁判では、親権のない親は親権を持つ親へ養育費を払います。
そのため他の離婚時の親権判断の基準と比べると、経済能力による重要度は低い傾向です。
離婚で母親が親権を取れないケースは?
◇離婚時に父親が親権を得たいならば、少なくとも就学してからの離婚が良いでしょう
乳幼児期は「母性優先」の原則が働きますから、よほどのことがない限り、離婚後も母親が親権を得るケースがほとんどです。
・母親による子どもへの虐待
・母親の育児放棄
・母親の家出
・子どもが父親を希望している
そのなかでも父親が離婚後の親権を取る場合、母親の育児放棄や虐待など、子どもの養育にとって、明らかにリスクが高いケースでしょう。
離婚で父親が親権(1)虐待
離婚時に父親が親権を取るに至る母親の虐待事例は、必ずしも暴力ばかりではありません。子どもへのモラハラや罵声も、虐待にあたります。
・虐待跡と捉えられる傷などの写真
などを記録として残すことで、証拠提出ができるでしょう。
もちろん、離婚時に父親から親権を取る場合でも有利です。
離婚で父親が親権(2)育児放棄
離婚時に父親が親権を取るために育児放棄を証明する場合、周囲の人々の証言を集めることが有効です。
また離婚時の親権判断の基準となる「養育への積極性」を主張するため、離婚を決意した時点から、子どもの養育に関わる記録やメモ、写真などを積極的に残すと良いでしょう。
離婚で父親が親権(3)家出
母親が家出をした場合、育児放棄とみなされます。
また母親が家出をして、父親が子どもを養育する環境が続くことで、現状を尊重する「監護継続性の原則」に該当すると見なされるため、離婚後の親権争いでは、父親が有利です。
離婚で父親が親権(4)子どもの希望
離婚による親権争いでは、離婚裁判に発展した場合、乳幼児期の子どもに対しては、証拠や主張を確認したうえで、第三者による客観的な判断によるでしょう。
けれども子どもの年齢が10歳頃の学童期に達している場合、子どもの意向が尊重され、離婚後の親権が父親に渡るケースもあります。
離婚で親権を得るためには?
◇離婚裁判で親権を得るには、婚姻中の養育実績がポイントです
基本的に母親であれば離婚裁判で親権を得るには有利ですが、確実に離婚後の親権を得るならば、婚姻中から養育実績が分かる日記を書くなど、記録として残しておくと良いでしょう。
・養育実績を残しアピールする
・家庭裁判所の調査官に理解してもらう
離婚裁判では親権を判断するために、家庭裁判所の調査官が調査に訪れます。
家庭訪問や子どもの学校訪問、面談もあるでしょう。
この時に家庭裁判所の調査官に好印象を持っていただき、状況を理解してもらうことも重要なポイントです。
離婚で親権を得るために避けたいことは?
◇離婚で親権を得たいなら、子どもを置いて別居することは避けます
夫婦間の合意が得られない場合など、離婚ができずに別居するケースもありますが、子どもを置いて別居を強行してしまうのは危険です。
離婚後の親権者としてふさわしくない「親の家出=育児放棄」と捉えられるリスクがあります。
・子どもを置いて別居をしない
・子どもを味方に取り込もうとしない
(相手の悪口など)
また離婚問題では夫婦がお互いに憎しみ合う構図が生まれやすいですが、子どもの精神に悪影響を及ぼします。
両親が憎しみ合う構図は、その間に産まれた子どもにとって、自分が2つに分かれるようなものですので、子どもの前での悪口は避けましょう。
離婚の親権は母親有利ですが、20%は父親が取っています
厚生労働省の発表によると、離婚後に母親が親権を得た確率は約80%、離婚裁判へ発展した後、母親が親権を得た確率になると約90%です。
けれども残る20%は離婚後に父親が親権を取っています。
また夫婦間協議で合意さえすれば、子どもの親権は父親・母親、どちらでも良いでしょう。
ひとつの注意は、必ずしも不貞が離婚後の親権に影響する訳ではない点です。
不貞により子どもの養育に影響が出た場合、育児放棄と判断されます。
離婚後の親権を取りたい方は、本記事を参考にしながら、婚姻中から記録を残すなど、確実な対策を検討してみてはいかがでしょうか。