【沖縄の木造住宅】耐用年数の真実☆22年でも30年でもない?

2021/2/20

【沖縄の木造住宅】耐用年数の真実☆22年でも30年でもない?
沖縄でも木造住宅が増えてきましたが、高温多湿な気候が特徴の沖縄だけに、木造住宅だとシロアリ被害などの床下のカビ対策など、寿命が気になるところですよね。

沖縄で木造住宅が今普及している背景には、通風環境の良い設計や基盤、湿気に強い木材の使用、そしてシロアリ対策ができる液剤など、さまざまな技術の進化により、RC住宅よりも安価ながらも、湿気に強い家ができるようになったことを挙げることができます。

けれども、一般的にRC住宅の耐用年数がと比べて沖縄の木造住宅は各段に短く、22年とも30年とも言われてきました。けれども耐用年数と寿命はまた違います。

何よりも沖縄で木造住宅を選ぶことで、RC住宅よりも割安に建てることができるのですから、寿命がより長いのであれば、ぜひ選びたいと考える方が多いです。

今回は、沖縄の木造住宅で耐用年数が22年とも30年とも言われる理由とともに、実際の寿命はどうなのか…、少しでも長く暮らすための方法や、中古物件選びのポイントなどをお伝えします。

 

【沖縄の木造住宅】耐用年数の真実☆
22年でも30年でもない?

 

耐用年数は4つある?

耐用年数は4つある?
沖縄の木造住宅で良く言われる耐用年数は22年・30年が多いのですが、実は住宅全般において「耐用年数」に当たるものは4種類あります。

沖縄の木造住宅においても、中古住宅市場で価値を計るための耐用年数や、実際に住むことを考えた耐用年数(希望年数)など、それぞれに違う方向から見た年数と考えてください。

【 沖縄の木造住宅☆4つの耐用年数 】

① 法定耐用年数 → 税務上(原価償却)のために財務省が定めた年数で、「何も問題なく暮らしていた場合に想定する、耐え得る年数」です。

※ そのためあくまでも減価償却の計算のために用いられる年数で、多くはこの法定耐用年数を超えても住み続けています。(これが沖縄の木造住宅で言われる22年です。)

② 経済的残存耐用年数 → 経済的残存耐用年数は主に不動産売買市場において、特に不動産鑑定士が査定の後に算出する耐用年数となります。

※ そのため不動産市場においての価値を示す指標になり、税制上定められた法廷耐用年数よりも長くなることも多いです。対象家屋があとどれくらい、不動産売買市場で価値を持つのかが判断されます。

③ 物理的耐用年数 → 国土交通省が定める梁や杭などの構造物などの耐久性などから判断する、物理的な耐用年数です。

※ しかし全ての木造住宅で使われる木材が同一であり、建てられる家屋の気候が全く同じであれば問題はないのですが、現実的ではありません。沖縄の木造住宅もさまざまな資材を活用し、気候も違うため正確な数字とは言い難いと考えてください。

④ 期待耐用年数 → 物理的耐用年数が家屋の構造部分や資材が劣化するまで住み続けた場合の年数を出すのに対して、期待耐用年数は快適に暮らすことができる年数を差すことが多いです。

※ そのため沖縄の木造住宅の多くは、不動産売買市場の価値を計る経済的残存耐用年数と物理的耐用年数の間の数字になることが多いのではないしょうか。

 

…このように、「耐用年数」とひと口に言ってもこれだけの見方があり、それぞれの見方によって大きく年数は開きます。

そのなかでも最も短い耐用年数が法定耐用年数で22年、一方で物理的耐用年数は沖縄の木造住宅の場合65年と言われてきました。

これは沖縄木造住宅の平均値を計ったものですが、こちらも上記でお伝えしたように、それぞれの家屋で用いられている木材や基礎、その後のメンテナンスで大きく変わるため、目安でしかありません。

 

耐用年数30年はどこから?

耐用年数30年はどこから?
沖縄の木造住宅において耐用年数22年は法定耐用年数によるものだと言うことは分かりましたが、では、「30年」の耐用年数は一体どこからきたものなのでしょうか。

これは沖縄の木造住宅において、新築で設置したキッチンなどの設備の多くが、約30年で寿命を迎えることが多いためとの説もありますが、実際のデータから判断した年数です。

【 沖縄の木造住宅☆耐用年数30年の理由 】

☆ 長年の統計データにおいて、築27年~30年の沖縄の木造住宅が取り壊される率が多いため、「耐用年数30年」の数字が出ました。

→ けれども実際には取り壊しの全ての家屋が老朽化によるものではありません。なかには沖縄の木造住宅自体はまだまだ丈夫であっても、都市計画により立ち退きや、ライフステージの変化による引っ越しなども多く見受けられます。

 

実際に前述したように、沖縄木造住宅のキッチン設備などは、30年を目途に取り換えることが多いです。

さらに沖縄の木造住宅自体は丈夫でも、新築時に産まれた子どもも30年も経てば成人し家庭を持ち子どもも生まれる時期になる訳で、ファミリー層を対象とした家屋にシニア夫婦二人では広すぎて住みにくいかもしれません。

このような沖縄木造住宅の老朽化意外の理由から、取り壊すケースも多々あるため、実際の「寿命」とはまた違う数字と言えます。

 

ただし、1981年以前は注意

1981年以前は注意
全国的には古民家など、100年経っても住むことができる家屋があるように、沖縄の木造住宅でも、上質な木材と通気性の良い設計や基盤による建築とともに、完成後の定期的なメンテナンスと修理修繕によって、寿命年数はかなり長くなることも期待できます。

けれども沖縄木造住宅も含めて、いくら一見見が丈夫そうであってもぜひ注意をしたい家屋が、1981年以前の住宅です。

1981年ですから築30年以上と、古民家の域に達していますが、不動産売買市場の価値としては0になっている物件が多いため、その安さから購入するケースも見受けられます。

この場合、多くが構造部分を残して残りを取り壊し、現代風に自由にアレンジを施す「リノベーション(大規模なリフォーム)」の元家として購入するケースが増えましたが、ここで注意をしたいポイントが「耐震基準」です。

【 沖縄の木造住宅☆耐震基準の改正 】

☆ 実は1981年に大幅な耐震基準の改正があったため、1981年以前の沖縄の木造住宅では、現代の耐震基準を満たしていない家屋も多い傾向があります。

→ 現代の耐震基準を満たすために、基礎部分の補強再工事が必要になるケースもあり、そのために予定よりも大幅に予算をオーバーしてしまうことにもなり兼ねません。

 

このように耐用年数はどれも沖縄の木造住宅における実際の寿命とは異なります。むしろどの沖縄の木造住宅も使用する木材から設計、基盤、住まい方まで多種多様なので、目安にはなるものの、正確な耐用年数は分からないと考えてください。

ですから、沖縄で木造住宅をこれから購入するのであれば、購入後(完成後)の計画的な点検とメンテナンス、こまめな修繕、そして丁寧な暮らしによって、少しでも快適に暮らすことができる期待耐用年数を長くする必要があります。

 

沖縄木造住宅の寿命を延ばす

沖縄木造住宅の寿命を延ばす
沖縄の木造住宅において快適に暮らすための寿命を延ばすためには、何といっても新築時からの計画的な対策と定期的なメンテナンスです。

特に高温多湿の沖縄では木造住宅ですからシロアリ対策は万全でなくてはなりません。沖縄ではシロアリ仕様の徹底的に通気対策を施した設計や、シロアリを地面から入り込ませない、「ベタ基礎」などの対策があります。

【 沖縄の木造住宅☆寿命を延ばすメンテナンス 】

☆ 一方、キッチンなど水回りの設備については、多くが30年を目途に老朽化が目立ってしまうことは否めません。この時期に交換が必要になる沖縄の木造住宅は多いです。

→ 沖縄木造住宅の寿命の要となるのは構造部分ですので、基礎内部も含めて専門家による定期的な点検を進めてください。

※ 理想は5年に一度の点検と言われています。

 

…ちなみに最近では築20年、30年以上の沖縄の木造住宅を購入する事例も増えましたが、このような沖縄の木造住宅を購入する場合にも、見学時のチェックポイントとなりますので、参考にしてください。

例えば、以前に修繕を施した場合にはその履歴をチェックします。さらに、躯体部分や雨漏り跡がないかを確認し、前項でお伝えしたように1981年以前の耐震基準に基づいた耐震構造ではないかもチェックします。

 
 

いかがでしたでしょうか、今回は沖縄の木造住宅における耐用年数について、一般的に言われる22年・30年の仕組みをお伝えしました。

沖縄の木造住宅では「耐用年数」とひと口に言っても、法定耐用年数や物理的耐用年数、経済的残存耐用年数に期待耐用年数とさまざまです。

けれどもいずれにしても、少しでも耐用年数を延ばすには(法定耐用年数は除く)、こまめなメンテナンスと修繕、丁寧な暮らしと言えます。

メンテナンスの理想は5年ごとの基礎部分までチェックする点検とメンテナンス、10年ごとの大幅修繕です。

一概には言えませんが、不動産売買市場では築20年を超えると沖縄の木造住宅では価値がなくなるとされていますので、築20年前後は大規模修繕や大幅リフォームの目安でもあります。

このような数字も参考にしながら、ぜひ沖縄の木造住宅購入後のライフプランニングを立ててみてはいかがでしょうか。

☆注文住宅に関しては別記事「沖縄の注文住宅は土地探しから☆購入までの流れと注意点」などでお伝えしていますので、コチラも併せてご参照ください。

まとめ

沖縄の木造住宅の「耐用年数」は?

・法定耐用年数・経済的残存耐用年数・物理的耐用年数・期待耐用年数がある
・22年と言われるのは法廷提要年数
・経済残存年数は不動産売買市場で残る価値
・30年は家屋の取り壊しのデータによる
・1981年以前は旧耐震基準に注意
・計画的なメンテナンスと修繕、丁寧な暮らしで寿命を延ばす

 

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