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離婚で請求できる「5つのお金」とは?慰謝料はどんな時に請求できる?


・離婚で請求できるお金は?
・できるだけ多く離婚でお金を請求するには?
・離婚で請求できるお金の未払い対策は?

離婚を決意したら、離婚後の生活費を確保するためにも、離婚で請求できるお金を把握して、確実に支払ってもらうことが重要です。

本記事を読むことで、自分の離婚ケースに添った、請求できるお金が理解できます。後半では離婚で請求したお金の未払い対策も解説していますので、どうぞ最後までお読みください。
 

 

離婚で請求できるお金とは


◇離婚で請求できるお金は、状況により5つの種類があります

離婚で請求できるお金は5種類ですが、離婚の状況で請求できる・できないお金があるので、そのうち3種類ほどの請求になるでしょう。
 

<離婚で請求できる5つのお金とは>
・婚姻費用
・財産分与
・慰謝料
・養育費
・年金分割

 
このなかでも財産分与は、離婚により請求する権利のあるお金です。
また養育費や年金分割は、該当するならば離婚時に必ず請求できます。
 

離婚で請求:婚姻費用


◇「婚姻費用」とは、婚姻期間に夫婦が必要な生活費です

離婚を見据えた別居期間などは、婚姻期間になるため、民法752条に基づき、収入が多い方の配偶者は、少ない方へ相応の婚姻費用を支払わなければなりません。
 

<離婚で請求:婚姻費用>
[民法752条]夫婦は互いに協力し扶助しなければならない
・同居しているのに、生活費を入れない
・別居中で生活費が支払われない

●離婚前の別居で請求できる期間
・別居から離婚成立まで
・別居から同居に戻るまで

 
婚姻費用は生活に必要な費用ですので、衣食住や医療費、養育費、教育費など暮らしにおける全てです。
ただし婚姻費用は、それぞれの収入に応じて請求します。
 

離婚前に婚姻費用を請求する注意点

◇婚姻費用は請求して以降の期間のみ、支払われます

婚姻費用は過去に戻って請求することは、基本的にはできません。
もしも過去に戻って婚姻費用を請求したいならば、以前に婚姻費用を請求したことが分かる音声や文面などの証拠を提示します。
 

<離婚後、過去に戻って請求>
・離婚前に請求したことが分かる証拠(音声、メールなど)
・相手が確実に「有責配偶者」であることの証明

 
「有責配偶者」とは、離婚原因が自分にある方の配偶者です。
有責配偶者は離婚で請求できるお金の種類が少ない他、自分から離婚訴訟を起こすことも難しいケースが多いでしょう。
 

離婚で請求:財産分与


◇「財産分与」とは、婚姻中に夫婦で築いた財産を分けることです

離婚で請求できる財産分与は、それぞれの貢献度に基づいて割合を決め分配することになっていますが、一般的には夫婦折半が多いでしょう。

ただし夫婦の離婚理由や状況により、請求できる財産分与の分配方法には、種類があります。
 

<離婚で請求:財産分与の種類>
・清算的財産分与…夫婦で築いたお金を貢献度で分配
・慰謝料的財産分与…慰謝料も考慮して分配
・扶養的財産分与…一方の配偶者の扶養目的も考慮した分配

 
扶養的財産分与は、一方が婚姻中に専業主婦で収入がない場合などです。
生活保障としての役割を果たし、離婚後に再就職に至るまでの生活費を考慮しており、時には定期的に支払うケースもあります。
 

離婚で財産分与を確実に請求する

◇離婚で、財産分与を確実に請求するには、家の収入や財産を把握することが重要です

財産分与では、しばしば一方が意図的に財産を隠し財産分与を減らす「財産隠し」が行われます。
 

<離婚で請求:財産隠し>
・へそくり
・隠し銀行口座
・隠し株式口座

 
この他にもお金を財産として価値のある不動産や骨董品などに変え、隠し持つケースなどもありました。

離婚を切り出す前に夫婦の共有財産を把握し、別居をするなら事前に控えをコピーしておくと良いでしょう。
 

財産隠しの事例や、財産を探す方法は下記コラムをご参照ください。
離婚の財産分与とは?財産分与で損しないため、離婚前の5つの準備

 

離婚で請求:慰謝料


◇「慰謝料」とは、有責配偶者が相手に与えた精神的苦痛や損害に対する賠償です

そのため全ての離婚で請求できるお金ではありません。

浮気や不倫、モラハラなど、離婚訴訟が認められる「法定離婚事由」に該当する、決定的な精神的苦痛を相手にもたらした有責配偶者がいるケースに限ります。
 

<離婚で請求:慰謝料>
●一般的には約100万円~300万円
・夫婦合意であれば金額に上限はない
・それぞれの状況で判断する

 
浮気や不倫により離婚に至った場合、請求は配偶者の不倫相手にも可能です。
不倫相手に関しては、離婚しなくても請求はできますが、離婚に至ったことでさらに多くの慰謝料が見込めます。
 

離婚で慰謝料を請求できるケース

◇「有責配偶者」と家庭裁判所が認定できるケースで請求できます

そのため性格の不一致や長期間の別居など、夫婦双方に理由がある、離婚理由が曖昧なケースでは、慰謝料の請求には至りません。
 

<離婚で慰謝料を請求できるケース>
・不倫や浮気
・DV
・モラハラ
・悪意の遺棄

 
「悪意の遺棄」とは、夫婦関係が破綻すると分かっていながら、長期間家に帰らないなど、意図的に配偶者を放置したことを差します。
そのため離婚前に別居するならば、夫婦間の合意が必要です。

離婚で慰謝料を請求するならば、婚姻関係を続けている時点から、水面下で少しずつ証拠を集めておくと良いでしょう。
 

※離婚で慰謝料を請求するための証拠集めは、下記に詳しいです。
離婚を有利に進める証拠集めとは。浮気やモラハラ、パターン別に解説!

 

離婚で請求:養育費


◇「養育費」とは、子どもの養育に必要な費用を差し、親権を持たない親が、親権を持つ親へ定期的に支払います

離婚前に請求できる「婚姻費」が配偶者自身の生活費も扶助するのに対して、離婚後は子どもの養育にのみ責任を持ち、金銭的な相互扶助をするのが違いです。
 

<離婚で請求:養育費>
●養育費の平均額
母子家庭への支払い月額…平均50,485円
父子家庭への支払い月額…平均26,992円

 
[参考]厚生労働省「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果」より

基本的に養育費は毎月支払います。
また養育費には学生服やランドセルなどの入学費用や、入学金、習い事などの費用は考慮されません。
 

離婚で請求する養育費の目安

養育費は支払う側、もらう側双方の収入や子どもの数など、それぞれの環境や事情により判断されるため、養育費の幅も広いです。
 

<離婚で請求:収入による養育費の目安>
●支払う側の養育費による相場は下記になります。
・年収350万円…約2万円~10万円/月額
・年収400万円…約2万円~12万円/月額
・年収500万円…約2万円~12万円/月額
※子ども1人の場合

 
養育費は未成年の子どもに対して支払うため、成人年齢である20歳までが目安です。日本では20歳以降も大学生活が続くので、もらう側は準備や対策が必要になるでしょう。
 

離婚で請求:年金分割


◇離婚では年金分割として、原則年金の50%が請求できます

日本では熟年離婚が増えましたが、あまり知られていない財産分与が年金分割です。国民年金であれば50%、その他の年金でも原則50%の分与が期待できます。
 

<離婚で年金分割の請求>
●日本年金機構で手続き
・離婚成立の翌日から2年の日まで

 
離婚後に年金分割を請求するには、離婚手続きとは別に、日本年金機構で請求を行わなければなりません。
期限も2年と定められているので、早急に手続きを進めましょう。
 

離婚で請求したのに、払われない!


◇離婚で請求したお金が未払いのまま放置された場合、調停ができます

離婚で請求したお金で、後々揉めやすい要因は「未払い」です。
特に毎月、定期的に支払う「養育費」などは、支払う側の再婚など、生活の変化から放置されるケースもしばしばあります。
 

<離婚で請求したお金が未払い>
●離婚調停で請求する
・調停委員がそれぞれと話しをする
・調停費用は約3千円~4千円ほど

 
離婚時に口頭で決めた養育費なども、調停を起こし成立することで、「調整証書」として書面に残すことが可能です。
調停証書の効力により、養育費の支払いを未払い分まで強制できるでしょう。
 

離婚で請求したお金の未払い対策

◇確実に離婚で請求したお金を支払ってもらうためには、公正証書を残します

ポイントは離婚調停で出される「離婚協議書」とは別に、法的効力のある「公正証書」を作成することです。
 

<離婚で請求したお金の未払い対策>
●公正証書に「滞納による強制執行」を明記する
・離婚協議書…決め事をまとめた書面、法的効力がない
・公正証書…お金の請求など、強制執行力がある

 
手元に離婚協議書があり公正証書がない場合は、訴訟により公正証書を作る必要があります。

また近年では、養育費の保証をしてくれる「養育費保証サービス」も見受けるようになりました。養育費の未払いが発生すると、保証会社が立て替え、相手に催促してくれます。
 

 

離婚前に請求できるお金を把握しましょう


離婚の最大の不安は、離婚後の生活費ですよね。特に子どもが幼い頃の離婚は、親権を得た養育者も、自由に働くことができません。

そのため離婚を決意したら、離婚を切り出す前に充分に離婚後の生活を保証できるだけの準備を整えます。

相手の収入状況や共有財産を改めて洗い出す他、浮気や不倫が離婚原因であれば、証拠を確実に集めて、離婚時には充分な慰謝料請求も検討しましょう。
また、離婚後に利用できる公的支援も調べておくと、より安心です。
 

※離婚後に利用できる公的支援の種類については、下記コラムをご参照ください。
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