・離婚裁判とは?
・離婚裁判に至る流れとは?
・離婚ができないケースとは?解決策は?
・離婚訴訟が認められる5つの法定離婚事由とは?
・離婚裁判の費用は?誰が払うの?
本記事を読むことで、離婚裁判とはなにか?離婚訴訟が認められる5つの理由「法定離婚事由」、離婚裁判に掛かる費用相場が分かります。
離婚を考えている人、離婚裁判を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
離婚裁判とは?
◇「離婚裁判」では、離婚調停でまいとまらなかった離婚問題を、最終的に第三者が判断します
夫婦間の話し合いや離婚調停で合意に至らなかった時に進む、最終的な場が離婚裁判です。離婚裁判では主に下記の問題を決定します。
・離婚の可否
・不動産の分割
・子どもの親権
・資産分割
離婚裁判でに進むと、夫婦間の話し合いによる解決ではなく、法的な専門家である第三者「裁判官」が、両当事者から提出された証拠に基づいて決定する点が大きな違いです。
離婚裁判に至るまでの流れは?
◇離婚裁判の前に離婚調停を試みることが、法律で定められています。(調停前置主義)
離婚届には離婚理由の項目がありますが、夫婦間で合意があればどのような理由でも問題はありません。
離婚裁判に至るのは、離婚の可否や離婚による財産分与、子の親権など、何らかの事情で夫婦の合意が得られなかった場合です。
けれども離婚裁判に至る前に、必ず離婚調停を試みます。
●離婚裁判に至るまで
・夫婦間協議で合意がない
・離婚調停がまとまらない
・家庭裁判所へ離婚訴訟
家庭裁判所へ夫婦のいずれかが離婚訴訟を起こすことで、離婚裁判に入ります。
けれども第三者が判断する離婚裁判に至るためには、離婚訴訟の内容が検討されるでしょう。
内容によっては離婚裁判に至る「離婚訴訟」が認められない可能性もあるのです。
離婚裁判が認められないケース
◇自分が「有責配偶者」であること、決定的な離婚理由がない場合、離婚訴訟が認められません
「有責配偶者」とは、自分自身が夫婦関係を破綻させた側であることです。
例えば、浮気が原因で離婚に至る場合、浮気をしている側が「有責配偶者」となり、離婚訴訟が認められません。
・5つの法定離婚事由に当てはまらない
「法定離婚事由」とは、家庭裁判所など第三者が、法的に離婚を認めるに足る、充分な離婚理由です。
離婚裁判が起こせる5つの「法定離婚事由」とは
◇「法的離婚事由」とは、長期間の別居、配偶者の遺棄・不貞など、離婚訴訟が認められる5つの離婚を請求する理由です
離婚裁判では、夫婦間で話し合う離婚調停とは違い、第三者が夫婦の間に入り、裁判官が俯瞰的に判断します。
そのため相応の離婚理由が訴訟に盛り込まれていなければ認められません。その判断基準となるのが、5つの「法定離婚事由」です。
「法定離婚事由」は、民法第770条に定められています。
[民法第770条]
・不貞な行為
・悪意の遺棄
・配偶者の生死が3年以上明らかでない
・配偶者が強度の精神病で、回復の見込みがない
・その他婚姻を継続し難い重大な事由がある
薬物乱用や虐待なども離婚訴訟には充分です。
ただし上記「法定離婚事由」に該当する離婚訴訟でも、婚姻関係を継続した方が夫婦にとって良いと判断されると、離婚訴訟が棄却されることはあります。
法定離婚事由(1)不貞な行為
◇「不貞な行為」は、通常、不倫や浮気と呼ばれる行為を意味します
不貞を疑う場合には、証拠が破棄される前に集めることが重要です。
具体的には、不倫や浮気相手とのやりとりが分かるもの、証拠写真などの調査記録があるでしょう。
・SNSやメールでのやりとりのログ
・手を繋ぐ、肩を組んだ写真など
性行為を伴う関係が判断されるような、具体的な内容のメールや、ホテルに同行する写真などがある場合、不貞行為の証拠として受け入れられやすくなります。
法定離婚事由(2)悪意の遺棄
◇「悪意の遺棄」とは、夫婦で義務付けられた相互扶助を放棄しています
例えば、配偶者を家に入れない、配偶者が困窮しても生活費を渡さない、意図的に家に帰らない、などの行為です。
・収入があるにも関わらず、生活費を放棄する
・頻繁に家に帰らない
・配偶者を家に入れない
…などが「悪意の遺棄」にあたりますが、例えば「生活費を渡さない」ケースなどは、あくまでも収入が充分にある場合です。
生活費を渡すだけの充分な収入がないと判断された場合には、悪意の放棄とみなされません。
法定離婚事由(3)生死が3年以上明らかでない
◇「配偶者の生死が3年以上明らかでない」とは、正に生死が不明の状態です
単純に配偶者が家に帰ってこないなどではなく、家族が配偶者の生死確認を試みたものの、確認できない場合に「3年以上の生死不明」とみなされます。
・捜索願が出ているなど
・最後の生存確認から3年が過ぎている
「最後の生存確認」とは、最後に配偶者や家族が見ていたり、電話などの連絡があった時です。ここから通算3年経って行方不明である場合、離婚裁判に至ります。
法定離婚事由(4)強度の精神病
◇配偶者の精神病を理由とした離婚訴訟では、「回復の見込み」の可否が重要です
配偶者の強度の精神病による離婚訴訟は、躁うつ病や社会不安障害など、継続的な治療により回復が見込める精神的な病気については、法定離婚事由として認められにくいでしょう。
・回復の見込みがない精神病
・離婚後も相手が変わらぬ治療環境を維持できる
ただし過去の判例を鑑みると、強度の精神病を患った相手が、離婚後も離婚前と変わらぬ生活や療養環境が整えられることを前提としています。
相手が充分に治療できる、離婚前と変わらぬ環境を整えることができず、離婚が認められない判例もありました。
法定離婚事由(5)婚姻を継続し難い重大な事由
◇上記4つの法定離婚事由に該当しない理由でも、離婚裁判に至る訴訟です
現代では例えば、モラハラやDV、子どもの虐待などがこの項目に当てはまる他、配偶者の過度な浪費や借金、ギャンブルなども該当します。
・DV(子どもの虐待)
・モラハラ
・ギャンブル
・借金
・長期間の別居
ここで注目したいのは「長期間の別居」です。
相手が合意をしない場合、決定的な離婚理由である「法定離婚事由」に該当しなければ、離婚裁判ができない問題が生じますよね。
別居を経ることで「婚姻を継続し難い重大な事由」と判断される可能性が出てくるためです。
離婚裁判に至らない時の解決策
例えば「性格の不一致」など、決定的な離婚理由がない場合、相手が合意しなければ離婚ができず、離婚裁判への訴訟もできないことがあります。
離婚裁判が認められるのは、上記5つの「法定離婚事由」に基づく訴訟です。
そこで「婚姻を継続し難い重大な事由」による離婚訴訟を検討します。
ただし一方的に別居をしてしまうと、「法定離婚事由」のひとつである「悪意の遺棄」と判断されてしまうため注意が必要です。
・離婚前に別居するケースとは?期間やメリットデメリット、別居の注意点
離婚裁判の費用はどのくらい?
◇離婚裁判の費用は、約20万円~100万円と幅が広いです
離婚裁判の費用は、問題の複雑さや裁判にかかる時間の見込みによって異なります。離婚調停で速やかに離婚が成立するならば、約2千円ほどで終わることもあるでしょう。
離婚手続きの費用は誰が払う?
◇離婚裁判の申し立て時は原告側ですが、判決により負担割合が決められます
離婚を申請する当事者は、手続きにかかる費用を負担しますが、離婚裁判の判決で双方の離婚裁判費用の負担割合が決められるでしょう。
一般的な裁判では敗訴者が裁判費用を負担しますが、離婚裁判においては100:0でどちらかが悪い、と言うケースは少ないため、負担割合に添う流れが多いです。
ただ離婚裁判は単純に裁判費用だけではなく、弁護士や調査費用などもあります。
・裁判所費用
・弁護士費用
・必要な調停サービス
・調査費用(証拠集めなど)
…など、離婚を切り出してから離婚裁判の判定が出るまでには、離婚裁判費用以外の細かな諸費用が出ることも頭に入れておきましょう。
また離婚裁判を負担する配偶者が支払いできなかった場合、もう一方の配偶者が費用を負担する可能性があります。
離婚裁判の流れは?
◇離婚裁判では双方が本人尋問や証人尋問を家庭裁判所で行い、最終的な判決を受けます
離婚調停がまとまらず、家庭裁判所に訴状を提出すると、家には第1回口頭弁論期日の通知が届くでしょう。
そこで訴訟を受けた「被告」側は、答弁書を提出する流れです。
・被告による答弁書の提出
・家庭裁判
・本人尋問、証人尋問
・判決
離婚裁判を始めるにあたり、裁判官の決定に拘束力があると理解しておきます。
各配偶者は弁護士を通して証拠を提示するでしょう。
また、裁判官からの質問に答えられるように準備しておく必要があります。
・離婚を有利に進める証拠集めとは。浮気やモラハラ、パターン別に解説!
離婚は情報を把握して俯瞰的に進めましょう
離婚裁判を経た離婚は、長くて費用のかかる手続きです。
離婚を有利に進めて離婚後の安定した暮らしを得るためには、離婚裁判に至るまでの流れや、離婚理由が認められる「法定離婚事由」を理解します。
離婚裁判に関する情報を正確に把握することで、自信を持って段階的に、離婚裁判の準備を進め、冷静に臨むことができるでしょう。
そのためにも一時期の感情で離婚を切り出さず、俯瞰的にタイミングを見計らうことも大切です。
・離婚で請求できる「5つのお金」とは?慰謝料はどんな時に請求できる?