遺産相続でもめる家には特徴があります。特に遺産相続でもめることの多い二次相続(両親が亡くなった後の相続)では、後々の兄弟関係にも影響するでしょう。
相続をきっかけに関係性が希薄になる兄弟も多いですが、今度は自分達の老後が迫るなか、子ども達のためにも兄弟・親族関係は良好でありたいところです。
・相続でもめる8つの原因とは?
・相続でもめない3つのポイントとは?
・相続でもめるとどうなる?
・相続でもめないためには?
・もめた相続の解決方法は?
今回は、遺産相続でもめる8つの原因をもとに、理解して相続前から意識したい予防方法や、トラブルに発展した時の解決策までお伝えします。
遺産相続で、もめる原因とは?
●遺産相続でもめる原因は、遺産総額によるものばかりではありません
遺言書がない、もしくは無効の場合、相続は遺産分割協議を完了しなければなりません。そして遺産分割協議を完了するためには、相続人全員が話し合い納得して、遺産分割協議書へ署名・捺印が必要です。
(1)分割方法
・不動産財産の維持方法
・不動産財産の分割方法
(2)不平等
・生前贈与
・不平等な遺言書
・介護負担の不平等
(3)不明瞭
・相続人同士が疎遠
・故人の再婚など
・事業継承による複雑化
…などなど詳しくは後述しますが、両親が2人とも亡くなり子どもだけで相続をする二次相続は、兄弟間の関係性において、人生のなかでも最も大きな節目でしょう。
兄弟姉妹のなかには二次相続と言うイベントの後、次第に関係性が希薄になるケースも少なくはありません。
遺産相続でもめない3つのポイント
●遺産相続でもめる原因を理解すると、事前に3つの対策ができます
そこで遺産相続でもめる原因を理解して、予め相続トラブルを予防するためには、両親が元気なうちから下記3つのポイントを押さえておくと良いでしょう。
・家族会議を頻繁に行う
・相続人(兄弟)で隠し事をしない
・税理士や行政書士など専門的な第三者に依頼する
専門的な第三者に依頼する場合、「弁護士に依頼する時は相続トラブルが起きた時」などとも言われます。
これは家庭裁判所へ相続人の一人が「遺留分減殺請求」などを申し立てることで、弁護士に依頼することが多いためとも思われますが、まずは税理士や行政書士などへ依頼すると良いでしょう。
それでは、下記より遺産相続でもめる3つの原因を、より詳しく解説します。
(1)分割方法
●相続財産の50%以上が不動産財産の相続では、分割方法でもめることが多いです
遺産総額が5,000万円以下の相続でもめる家族が増えましたが、これは不動産財産が遺産相続の50%以上を占め、相続人の間で分割方法に相違があるためでしょう。
●相続財産の50%以上に不動産がある
①不動産を売却する
・いつ、どのタイミングで売却するか
・誰が中心に売却活動をするか
②不動産を維持する
・誰が中心に維持管理をするか
・長男が住むべきではないか
特に築年数の古い実家が残された場合、相続財産の取り合いばかりではなく、「誰も相続したがらず」遺産相続でもめるケースも少なくありません。
・【沖縄の実家相続】不動産相続の評価額☆遺産分割で揉めるのはなぜ?
(2)不平等
●遺産相続でもめる家族の多くは、相続人の誰かが「不公平/不平等だ!」と感じたケースです
両親が亡くなり子ども同士で遺産分割をする二次相続では、遺産相続の不平等は単純に金銭面だけの主張ではなく、愛情面で不公平を感じる相続人も多いため、一度遺産相続でもめると、兄弟関係にしこりが残りかねません。
③特定の相続人が財産管理をしている
④特定の相続人への優遇
・高額な生前贈与があった
・家督相続
・遺言書の内容が偏っている
⑤生前の不満
・介護の負担が偏っていた
生前の老後の生活資金対策として、認知症になる前に高齢の両親が、信頼できる特定の家族に財産を任せる「家族信託」などを設定することがあります。
このようなケースでは、日ごろから他の兄弟間で情報を共有していないと、相続人間で遺産相続財産が不明瞭になりがちです。
・【沖縄の終活】家族信託で財産管理を託す?メリットとデメリット
(3)不明瞭
●遺産相続の内容や相続人が不明瞭な場合にも、遺産分割協議が進みません
「父親が亡くなって初めて、認知した子どもの存在を知った」などの話は良く聞きますが、相続人が何人で誰か(どのような人か)、遺産の内容が不明瞭な相続は、遺産分割協議に混乱をきたします。
⑥相続人同士が疎遠
・連絡が取れない
⑦親が事業者、事業継承者
・後継者問題
・相続内容が複雑
⑧家族関係が複雑
・故人が再婚している
・認知された子どもがいる
・内縁の配偶者がいる
相続人調査が複雑になりそうな場合は、行政書士や司法書士など専門家に依頼してしまうと便利です。
・【相続問題】後妻の連れ子は相続できる?連れ子が相続できる2つの方法
相続でもめると何が起きる?
●遺産相続でもめることで遺産分割協議が完了しないと、相続税や遺産の分配に支障が出ます
遺産分割協議自体に期限はありませんが、相続税の申告は10ヶ月が期限です。
遺産分割協議が完了していなくても、相続税の申告はできますが、遺産分割協議が完了していないために申請できない相続税控除の特例も発生するでしょう。
・相続税控除の特例が利用できない
・不動産の売却ができない
・故人の預貯金がおろせない
相続税控除の特例とは、家に住み続けることで相続税を軽減できる「小規模宅地の評価減」や、配偶者であれば「配偶者の税額軽減」などがあります。
また不動産財産が遺産に含まれている場合、遺産分割協議が完了するまで売却ができません。
相続でもめない兄弟がしていること
●相続でもめない兄弟は、相続前からお互いに気遣いをしています
相続でもめる原因を辿ると、その根源には関係性が日ごろから薄くコミュニケーションがありません。一方相続でもめない兄弟は、相続前からお互いに気遣いをしています。
☆家督相続や家制度は現代の法律上はありませんが、法事を主に行う施主、親と同居してきた家族として、本家・分家意識が根付いている地域も多いです。
また、2023年の現代においても沖縄では「本家・分家」意識が根強く、特に本家として、分家としてのコミュニケーションを意識している家族で、遺産分割協議がスムーズです。
本家としての気遣い
●本家(長兄)としては相続前から「細やかな気遣いと、大きなお金」を使う人々が多い傾向にあります
沖縄では本家が今も残る家が多いですが、本家として実家や分家より多くの遺産相続が想定されるのであれば、後々分家(弟以降)からの反発を和らげるためにも、相続前から気遣い・お金遣いを多く行う人が多いです。
①分家のお祝いは大きく出す
・入学・卒業祝い
・結婚式
・成人祝い
…など
②本家の冠婚葬祭では気を遣う
・交通費は持つ
・お土産を用意する
…など
本家から分家へは、相続前から親の気持ちで「心を使い、お金を使う」とも言われます。
●目先の損得にとらわれず、将来的な相続も見据えて配慮することがポイントです
遺産相続でもめることのなかった事例では、姪や甥にランドセルやピアノをプレゼントしていたり、妻から「そこまですることないのでは?」と言われるほど、分家である兄弟にお金を使っていた…、などのケースもありました。
分家としての気遣い
●一方、分家(弟以降)としては一回一回の金額は少なくて良いので、頻繁にコミュニケーションを取る人が多いです
沖縄でもめない相続だった家で分家は、本家が両親と同居していることへの感謝を事あるごとに伝え、ちょっとしたコミュニケーションを密に取っているケースが多いでしょう。
①金額は少なめ
・お土産や手土産
・お中元、お歳暮
…など
②細かなコミュニケーション
・細やかに連絡する
・事あるごとに感謝を伝える
…など
相続前も相続後ももめることなく、とても円満に遺産分割協議が完了した事例では、次男がちょっとした旅行や出張をする度に、本家である兄へ、必ず現地での名産品を贈っていた…、などがあります。
最後に
以上、遺産相続でもめる8つの原因と、相続でもめるとどうなるのか、そして相続でもめない兄弟には、どのような特徴があるのか、をお伝えしました。
ただいざ相続でもめる事態が起きてしまったら、司法書士や弁護士など、専門的な第三者に相談する方法が最もスムーズではあります。
・第三者に適切な遺産の分け方を指南してもらう
・相続人同士での交渉を避ける
第三者が仲介することは、相続でもめる原因を少しでも緩和して、できるだけ穏便に遺産分割協議を完了できる方法です。
まとめ
遺産相続でもめる8つの原因とは
●相続でもめる8つの原因
・不動産を売却方法
・不動産を維持方法
・特定の相続人が財産管理をしている
・特定の相続人への優遇
・生前の不満
・相続人同士が疎遠
・親が事業者、事業継承者
・家族関係が複雑●相続でもめるとどうなる?
・相続税控除の特例が利用できない
・不動産の売却ができない
・故人の預貯金がおろせない●相続でもめない3つのポイント
・家族会議を頻繁に行う
・相続人(兄弟)で隠し事をしない
・専門的な第三者に依頼する●相続前からしていたこと
<本家/同居家族>
・お祝いは大きく出す
・冠婚葬祭では気を遣う
(交通費は持つ/お土産を用意する)<分家/別居家族>
・細かなコミュニケーション
(お土産や手土産など)
(金額は少なめ)●相続でもめたら
<専門的な第三者に依頼する>
・適切な遺産の分け方を指南してもらう
・相続人同士での交渉を避ける