【沖縄の相続】小規模宅地の評価減とは?相続税対策で二世帯住宅?
2023/1/21
「小規模宅地の評価減」とは、被相続人の配偶者や同居家族が、相続後も住み続ける実家を相続する場合に、相続税を決める評価額が8割安くなる特例です。
ただ条件によって別居していた子どもも適用されます。
・相続税対策に二世帯住宅が増えたのはなぜ?
・「小規模宅地の評価減」の特例とは?
・小規模宅地の評価減は、二世帯住宅でも適用されるの?
また、小規模宅地の評価減の適用を意識した、二世帯住宅も増えました。
今回は、相続税対策としての二世帯住宅のメリットを解説します。
「小規模宅地の評価減」の特例とは
●小規模宅地の評価減の特例とは、相続した家に住み続ける人に対して、不動産の評価額が8割安くなる制度です
親や配偶者など、同居家族が住まいを相続した場合、相続後も住み続ける場合は、相続税額を決める不動産の評価額が8割減になります。
①同居家族が相続後も住み続ける場合…、
●不動産評価額が8割安くなる
・減額される面積は330㎡まで
②被相続人に配偶者や同居家族がいない場合…、
●過去3年間、同居していなかった人も適用
・持ち家を持っていない
・相続後に住み続ける
では、どれくらい相続後に住み続ければ良いのかと言えば、相続税の申告期限までに家を売却しなければ良いでしょう。
これは例えば高齢の配偶者など、住み慣れた家が必要なのに、相続税の納付ができずに家を売却しなければならない…、などの事態を防ぐために設けられた制度です。
小規模宅地の評価減の適用事例
●同居していた親または配偶者の、20万円/1㎡×300㎡の宅地を相続した場合の事例です
仮に1㎡あたり20万円の宅地300㎡を相続した場合、宅地の評価額は「20万円/1㎡×300㎡=6000万円」ですよね。
ではこの6000万円を、4つの相続パターンで確認してみます。
[20万円/1㎡×300㎡=6000万円の土地]
①小規模宅地の評価減の適用
・評価減額…20万円/1㎡×300㎡×80%=4800万円
・評価額…6000万円-4800万円=1200万円
②小規模宅地の評価減が適用するケース
・妻(配偶者)が相続(相続後の売却も可)
・同居、及び二世帯住宅で暮らす子どもが相続
・持ち家がない、同居していない子どもが相続
(相続発生前、過去3年間に同居実績がない)
③小規模宅地の評価減が適用しないケース
(評価額は6000万円のまま)
・子どもが相続し、相続申告期限内に売却
ここで注目したいポイントは、被相続人に同居家族や配偶者がいない場合、相続発生前3年間を遡っても別居していた子どもが、実家を相続して住み続けると、小規模宅地の評価減が適用する、と言う点です。
別居している子どもも適用するの?
●別居していた子どもも小規模宅地の評価減は適用しますが、条件があります
相続発生前、過去3年間において別居していた子どもが実家を相続する場合、小規模宅地の評価減を利用するならば、相続した実家に住み続けなければなりません。
けれども「住み続ける」基準は相続税申告時点で判断するので、究極な言い方をすれば、相続税の申告期限である10ヶ月が過ぎれば、相続した実家を売却しても、小規模宅地の評価減の特例が適用されることになります。
●別居していた子どもが小規模宅地の評価減を利用する条件は下記です。
・被相続人(親)に、配偶者や同居家族がいない
・持ち家がない
・相続後に住み続ける
(相続税の申告期限10ヶ月以降は売却も可)
別居をしていても条件が揃えば、小規模宅地の評価減の特例が適用し、不動産評価額が8割も減額されるのですから、誰もが利用したいところでしょう。
けれども実際に相続の現場では、別居している子どもが利用する事例はごく稀です。
●別居している子どもが、小規模宅地の評価減を利用するメリット
・相続税が大幅に減額される
・持ち家が手に入る
…けれども現実的に利用されるケースが少ない背景には、近年は高齢化が進んでいることも影響しているのではないでしょうか。
別居している子どもが、実際に利用しない理由は?
●高齢化が進む現代、相続人の年齢層が40代後半~50代になっているためです
小規模宅地の評価減の特例で、別居している子どもが利用するならば、「持ち家を持っていない」ことが条件となります。
けれども相続人の年齢層である40代後半~50代の人々は、すでに妻子がおりマイホームを建て、安定した生活を営んでいる人が多いのです。
①すでに「持ち家」がある
・持ち家を売却してまで利用する気がない
②すでに家族の暮らしが営まれている
・今の暮らしで安定している
・住み慣れた家から実家への移住は考えられない
(子どもの学校や友人関係)
(妻の近所付き合い)
相続人が20代・30代で独身であり、賃貸アパートやマンションで一人暮らしをしているのであれば、小規模宅地の評価減を利用して気軽に実家へ引っ越しもできるでしょう。
●相続税対策よりも暮らしが優先
けれども40代・50代になり家族の生活も安定した今、敢えてマイホームを売却してまで、実家へ引っ越してまで、小規模宅地の評価減は利用しない訳です。
小規模宅地の評価減には二世帯住宅?
●そこで増えているのが、子どもが幼いうちから実家を立て替えて二世帯住宅にする、相続税対策です
例えば夫の実家の相続税対策に、小規模宅地の評価減を利用したい場合、早い段階から同居していれば、問題がありません。
●相続時に同居とみなされる
・小規模宅地の評価減の特例が適用
・二世帯住宅でプライベートを守れる
・家族の暮らしの拠点が変わらない
けれども妻としては嫁姑問題など、相続税対策のために同居しようとは、なかなか思えない人も多いでしょう。
そこで二世帯住宅でプライベートを守り、相続時には小規模宅地の評価減を利用する対策です。
二世帯住宅は同居とみなされるの?
●2014年1月より、二世帯住宅も同居とみなされるようになりました
小規模宅地の評価減の特例について、二世帯住宅の相続税対策について話が及ぶと、「二世帯住宅は同居とはみなされないのでは?」との質問が必ず出てきます。
確かに以前、二世帯住宅は税務署で「同居」扱いではなく、小規模宅地の評価減の特例も適用されませんでした。
けれども2014年1月の改正より、二世帯住宅も同居とみなされ、2014年以降に二世帯住宅が増えたのです。
最後に
今回は小規模宅地の評価減の特例とは、相続税対策に二世帯住宅が増えた理由、(小規模宅地の評価減の特例が適用されるため)をお伝えしました。
ただ本文中でも少し触れましたが、小規模宅地の評価減の特例が適用された実家でも、相続税の申告期限である10ヶ月を過ぎたら売却することもできます。
・相続税の申告期限、10ヶ月を過ぎたら売却可
・配偶者(妻)が相続した場合、売却可
それでも、両親が高齢になり相続人と家族の暮らしが安定している場合、いくら大幅な相続税対策になったとしても、暮らしは優先される傾向です。
・【沖縄の相続】相続税申告期限10ヶ月とは?相続人のスケジュールとやる事
まとめ
小規模宅地の評価減の特例とは
①同居家族が相続後も住み続ける場合…、
●不動産評価額が8割安くなる
・減額される面積は330㎡まで
・二世帯住宅も適用される
・配偶者(妻)の相続では売却可②被相続人に配偶者や同居家族がいない場合…、
●過去3年間、同居していなかった人も適用
・持ち家を持っていない
・相続後に住み続ける