【沖縄の相続】「無申告加算税」とは?相続税申請の期限後申告は加算される!
2023/1/1
「無申告加算税」とは、相続税など法的に定められた申告期限に申告を済ませなかった時に加算される国税です。
相続税申告のみならず、準確定申告や確定申告でも期限が過ぎると加算されます。
・無申告加算税とは?
・相続税申請の期限後に申請したらどうなる?
・税務署からの事前通知が届いた!
今回は相続税等の申告期限に申告を済ませなかった時や、税務署から「相続税についてのお尋ね」が届いた時などの対処法についてお伝えします。
無申告加算税とは?
●「無申告加算税(むしんこくかさんぜい)」とは、必要な申告を期限後に行った時に加算される税金です
相続税では、相続税申告や準確定申告などに期限があるので、無申告加算税を請求されたくないならば、期限を厳守して申告しなければなりません。
●無申告加算税が課せられるもの
・相続税の申告(納付)…10ヶ月以内
・準確定申告…4か月以内
●その他
・相続放棄・限定承認…3ヶ月以内
・遺留分減殺請求…1年以内
この他にも手続きとしては死亡届(火葬許可申請)や年金受給停止手続きなどがありますが、相続税等、税金に関する期限は上記が主な手続きです。
※相続税以外の手続きは、下記をご参照ください。
・【沖縄の相続】親が亡くなったら行う21の手続き一覧。相続以外の事とは
申告期限1ヶ月以内
●ただし、申告期限1ヶ月以内であれば、無申告加算税は適用されません
例えば相続税の申告期限は、家族が亡くなったことを相続人が知った時点から10ヶ月以内が申告期限です。
けれども10ヶ月の申告期限の1ヶ月以内であれば、期限後と判断されず、無申告加算税も適用されません。
無申告加算税の税額
●無申告加算税の税額は、追加で納付した税金×約5%(自主申告)~20%(税務署調査後)です
相続税の申告期限後の申告は無申告加算税の課税対象になりますが、その課税額はタイミングや状況により異なります。
●50万円以下
・自主申告(税務署調査前)…5%
・税務署調査の事前通知後…10%
・税務著調査後…15%
●50万円以上
・自主申告(税務署調査前)…5%
・税務署調査の事前通知後…15%
・税務著調査後…20%~40%
つまりは相続税申告の準備を進めていたものの、あえなく申告期限に間に合わなかった場合と、相続財産(の一部も含む)を隠す意図があった場合とでは、無申告加算税の税額が変わる、と言うことです。
財産の隠蔽や偽装があった場合
●相続税の申告内容に隠蔽(いんぺい)や偽装があったと判断された場合、無申告課税ではなく、重加算税として課税されます
相続税申告で最も追徴課税が加算されるのは、相続財産の全てもしくは一部を隠蔽や偽装した場合、また相続税の支払いを免れるため、意図的に相続税申告を済ませていないケースです。
・申告書の内容に隠蔽や偽装が認められた…35%
・意図的に申告しなかったと判断された…40%
実は平成28年まで、無申告加算税は5%でした。
けれども平成28年2月29日以降、税務署の事前通知が届いた世帯においては、無申告加算税であっても10%~15%に税率が上がっています。
●しばしば、なかには「すぐに相続税申告をせず、税務署より通知が届いたら、急いで申告をしてみよう」と考える相続人もいるためです
この時、相続人の多くが専門的な第三者(会計事務所や金融機関、不動産会社など)に相談に訪れるものの、そのまま「検討してみます」と持ち帰る事例も多くあり、これを税務署が把握していることが分かります。
相続税額200万円として計算
●相続税額200万円として計算すると無申告課税額は、10万円~80万円です
そこで相続税額200万円として、①税務署調査前の自己申告、②税務署調査の事前通知後、③税務署調査後、3つのパターンに分けて、実際に無申告加算税を計算してみます。
(申告期限から1年間を経過とする。)
税務署調査後の課税に関しては、④意図的に申告をしなかった重課税40%、でも算出してみましょう。
①税務署調査前の自己申告
・200万円×5%=10万円
②税務署調査の事前通知後
・50万円×10%=5万円
・150万円×15%=22万5千円
—————————
合計=27万5千円
③税務署調査後
・50万円×15%…7万5千円
・150万円×20%…30万円
—————————
合計=37万5千円
④意図的に申告をしなかった重課税40%
・200万円×40%…80万円
ただし、意図的に相続税申告を行っておらず、真っ当な理由があると認められた場合には、無申告加算税が適用されないケースもあります。
無申告加算税が適用されないケース
●無申告加算税が適用されないケースは主に、①不可抗力の相続トラブル、②天災による遅延、の2点です
無申告加算税は、申告期限に間に合わない理由が真っ当であると認められれば課税されませんが、主には震災など相続人の力ではどうにもならない出来事です。
①不可抗力の相続トラブル
・申告期限直前に遺言書が発見された
・申告期限直前に(認知の存在など)相続人が増えた
②天災などの遅延
・震災などで通信や交通が途絶えるなど
相続人にとって不可抗力であると認められた場合、相続税申告期限を過ぎても無申告加算税は適用されません。
遺産分割協議が未了でも申告は済ませる
●遺産分割協議が未了の場合、法廷相続分を適用して、期限内に相続税申告を済ませます
無申告加算税の請求が来た時、「遺産分割協議が完了していないのに!」との相談もありますが、遺産分割協議の未了は、無申告加算税が適用されないケースに相当しません。
この場合は、法定相続分で相続税申告を済ませた後、修正の必要があれば、修正申告や更正請求で調整します。
①期限内に法定相続分で申告
②特例や控除は、改めて修正申告や更正を行う
・配偶者控除
・小規模宅地等の特例
・後の納税猶予の特例
(等)
遺産分割協議が未了の時に行う相続税申告では、相続税における特例(小規模宅地や配偶者控除等)は適用されません。
そこで一度期限内に相続税申告を済ませた後、遺産分割協議の完了後に修正や更正を行い調整します。
税務署は相続の発生を知っているの?
●税務署は、相続の発生や相続財産について、概ね知っています
これは相続税法58条によるものです。
人が亡くなると死亡届を役所に提出しますが、この時に相続税法58条により、役所は死亡届が提出されると税務署へ申告します。
①死亡届の提出により、役所が税務署に知らせる
②相続財産の情報を、役所が税務署に知らせる
また相続発生の有無ばかりではなく、不動産財産の固定資産税評価額など、発生した相続に関して、役所が管理している情報も一緒に提出されるためです。
●税務署から「相続税についてのお尋ね」の書面が届く家もしばしばあります
「では死亡届を出さなかったら?」などの質問もありますが、根本的に死亡届は提出しなければ、何も葬送が進みません。
死亡届を提出すると埋葬許可証が発行されますが、この埋葬許可証がなければ火葬ができません。
ですから税務署は、もれなく国民の相続発生を把握することになるでしょう。
最後に
以上、相続税申告期限10ヶ月を過ぎ、申告を済ませていない時に課税される、無申告加算税について解説しました。
今回は相続税申告について解説しましたが、無申告加算税は準確定申告や、一般的な確定申告でも適用されます。
●相続税申告期限を過ぎると起こり得る追徴課税
・無申告加算税
・重加算税
・延滞税(相続税の納付)
・過少申告課税
相続税申告期限を過ぎると、必然的に相続税の納付期限も遅れますので、その分延滞税は掛かるでしょう。
「過少申告課税」は相続税の申告をしたものの、相続財産の一部が足りないなど、内容に誤りがあったケースです。
まとめ
無申告加算税とは
・申告期限を過ぎた時に加算される国税
・申告期限後、1ヶ月以内なら課税されない
●50万円以下
・自主申告(税務署調査前)…5%
・税務署調査の事前通知後…10%
・税務著調査後…15%
●50万円以上
・自主申告(税務署調査前)…5%
・税務署調査の事前通知後…15%
・税務著調査後…20%~40%
●重加算税が適用するケース
・申告書の内容に隠蔽や偽装が認められた…35%
・意図的に申告しなかったと判断された…40%
●無申告加算税が適用されないケース
①不可抗力の相続トラブル
・申告期限直前に遺言書が発見された
・申告期限直前に(認知の存在など)相続人が増えた
②天災などの遅延
・震災などで通信や交通が途絶えるなど
●なぜ、税務署は知っているの?
①死亡届の提出→役所が税務署に知らせる
②相続財産の情報→役所が税務署に知らせる