【沖縄の相続】不公平にならない寄与分5つの型とは?証拠がポイント!

2022/12/7

【沖縄の相続】不公平にならない「寄与分」5つの型とは?主張には「証拠」がポイント!
沖縄の相続で相談が多い「寄与分(きよぶん)」とは、被相続人(故人)の介護や生活費の負担など、被相続人(故人)の生前に特別な貢献を行ってきた相続人に対して、相応の遺産分配の増加を認める制度です。

・どのような貢献が寄与分にあたるの?
・寄与分を主張するのに、必要な証拠は?
・寄与分に時効はあるの?

今回は、沖縄の相続シーンで多い寄与分に関する質問について、上記の内容を中心に寄与分5つの型の解説とともに回答します。
 

 

相続で寄与分が認められる5つの型

相続で寄与分が認められる5つの型
●相続で認められる寄与分には、基本的な5つの型があります

相続において寄与分として認められる事例では、主に5つの型(パターン)があり、扶養や家事、介護などの生活面と、財産管理など遺産の維持や増加に因果関係がある財産面、2つの側面が大きいです。
 

<沖縄の相続:寄与分5つの型>
(1)家業従事型
(2)金銭等出資型
(3)療養看護型
(4)扶養型
(5)財産管理型

 
被相続人(故人)の財産を管理していたり、晩年の被相続人(故人)の扶養をしていたなど、金銭が動く寄与行為であれば、金銭の動きが分かる預貯金通帳などが証拠になるでしょう。

難しいのは介護や看護などの寄与行為ですので、生前から相続で寄与分を主張するつもりがあれば、介護日誌などの記録を残しておくことがポイントです。
 

※そもそも「寄与分」とは?寄与分が認められる要件については下記をご参照ください。
【沖縄の相続】介護の苦労が報われる「寄与分」とは?主張が通る7つの要件を詳しく解説

 

(1)家業従事型

●被相続人(故人)が行っていた事業を手伝っていた場合です

例えば被相続人(故人)が経営する飲食店が、被相続人(故人)の病気などの事情により手伝っていた場合などは、相続で家業従事型として、寄与分が認められる可能性があります。
 

<沖縄の相続(1)家業従事型の証拠>
●寄与行為の事実を証明
勤怠記録(タイムカードなど)
・契約書
・仕事の内容が分かるやり取り(メールなど)

●報酬を(妥当に)受けていないことを証明
・寄与分を主張する者の給与明細書
・被相続人(故人)の預貯金通帳

 
ただし給与をもらっていたならば、当然相続で寄与分は認められません。

・無償で働いた
・格段に少ない給与で手伝っていた

などなどの事情があれば、相続で寄与分として認められるでしょう。
 

(2)金銭等出資型

●被相続人(故人)へ寄与分を主張する者が、特別な出資をした場合です

例えば、被相続人(故人)の老人ホーム代を立て替えたり、借金を代わりに返済していた場合は、故人の財産維持に繋がるため、寄与分が認められる可能性があります。
 

<沖縄の相続(2)金銭等出資型の証拠>
クレジットカードの明細書
振込通知書
・寄与分を主張する者の預貯金通帳など

 
この他、例えば被相続人(故人)に家を購入したなどのケースでは不動産売買契約書など、金銭の移動が証明できる書類があれば良いでしょう。
 

(3)療養看護型

●被相続人(故人)の介護や看護などです

例えば、被相続人(故人)の介護に長期間の間勤めていた場合、寄与分が認められる可能性があります。
 

<沖縄の相続(3)療養看護型の証拠>
介護記録など
・被相続人(故人)の診断書
・被相続人(故人)の要介護認定通知書

 
ただし長期間勤めていた場合でも「介護」でなければなりません。
たとえば長期入院をしている被相続人(故人)の話し相手や、身の回りのお世話だけでは、相続において寄与分として認められる可能性は少ないでしょう。
 

(4)扶養型

●被相続人(故人)の生活費を、継続的に負担していた寄与行為です

被相続人(故人)が生活するために必要な費用を、通常の家族間の相互扶助の範囲を超えて、継続的に負担していた場合、寄与分が認められる可能性があります。

この場合にも被相続人(故人)の生活費として金銭が動いていた証拠を提示してください。
 

<沖縄の相続(4)扶養型の証拠>
・寄与を主張する者の預貯金通帳など
クレジットカードの明細書など
家計簿

 
相続で扶養型の寄与分を主張する場合、他の型のように被相続人(故人)が特別に病気だったりするわけではありません。

例えば①定期的な仕送り、②継続的な生活費の負担、③(同居家族による)衣食住の生活費の負担、などでは、相続で寄与分が認められる可能性があります。
 

(5)財産管理型

●被相続人(故人)の財産を無償、もしくはごく少ない報酬で、継続的に管理をしていた場合などです

例えば被相続人(故人)の不動産を売買する場合、代わりに不動産売買の手続きをしたり、立ち会い交渉などの貢献をした場合は、寄与分が認められる可能性があります。
 

<沖縄の相続(5)財産管理型の証拠>
●管理していた財産の記録
・預貯金通帳など

●財産を管理していた証拠
・被相続人(故人)とのやり取り
(メールや手紙など)
・契約書

 
また譲り受けた財産(不動産)を無償で管理すると寄与分が認められます。
いずれにしても寄与分を主張する者が寄与行為を行ったことで、被相続人(故人)の財産が維持された、増加したと認められる必要があるでしょう。
 

相続の寄与分に時効はあるの?

相続の寄与分に時効はあるの?
●相続の寄与分に時効はありません

仮に、被相続人(故人)である母親が20年前に亡くなったとしましょう。

「母親の家業を20年前まで無償で手伝っていたけど、過去の行為は寄与分として認められるの?」と言った場合は、通常認められます。
なぜなら、寄与分には時効がないからです。
 

<沖縄の相続:寄与分に時効はない>
●何年、何十年と経過していても、家業を手伝った証拠さえあれば有効になります。

 
ただし、何十年も経過していると手伝っていた記録がないことが多く、寄与分が認められずに終わってしまう事例も多くあります。
このような事態を防ぐためにも次の対策方法を覚えておきましょう!
 

相続で寄与分の代わりとなる対策方法

認知症後の遺言書を有効にするポイント
●相続で寄与分の主張が通らない可能性も高く、生前に対策を取る人も多いです

このように相続における寄与分は、証拠があり他の相続人が充分に納得できれば、寄与分として遺産分配が増加しますが、実際には証拠の提示で戸惑う人が多くいます。

そこで被相続人(故人)が、生前に相続の寄与分の代わりとなる対策を取る事例が多いです。
 

<沖縄の相続:寄与分の代わりとして>
(1)遺言書を残す
(2)生前贈与

 
充分に証明できる資料が揃わず、相続で寄与分が認められずに終わってしまう事例も多いため、被相続人本人が希望しているならば、生前に対策を取るのも良いでしょう。
 

(1)遺書を残す

●遺言書を残すことで、寄与分の証拠資料になります

例えば、兄弟で平等に分割されるべきAさんに遺産の4割、BさんとCさんには残りの遺産を3割ずつ相続させる。
と証拠とともに明記すれば遺言書に書かれたAさんは心が救われ、残りの2人は遺言書に従う可能性が高くなります。
 

無効にならない遺言書の準備について、下記をご参照ください。
【沖縄の実家相続】遺言書で安心できる種類は?状況で選ぶ3種の方法

 

(2)生前贈与

●生前に財産の一部を譲る「生前贈与」は、寄与分の代わりになります

生前贈与によって財産を渡しておけば、特別受益の持ち直しの免除が受けられる可能性があるので、財産を多く引き継ぐ人は必須事項でしょう。
 

生前贈与や特別受益については、下記に詳しいです。
相続トラブルが多い「特別受益」とは?時効や対象となる贈与を解説!

 

 

最後に

このように沖縄の相続トラブルに多い寄与分ですが、寄与分が認められるには、被相続人(故人)への家族間の扶助義務を超えた、多大な貢献度がポイントです。

相続における寄与分は、被相続人(故人)の財産維持や増加に貢献した人に相続分を多くする制度ですので、金銭面や事業面での寄与分については、証拠も集めやすいでしょう。

そもそも相続で寄与分が認められるには、自分から申告しなければ認められません。
一方で相続における寄与分の主張には、時効もないのです。

ですから過去に寄与分だと認められる行為をしていたなら、寄与分について主張することも、検討してみてはいかがでしょうか。
 

まとめ

寄与分として認められる5つの型とは
●寄与分5つの型
・家業従事型
・金銭等出資型
・療養看護型
・扶養型
・財産管理型

●寄与分の代わりの対策
・遺書を残す
・生前贈与

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