マンションを相続で、相続税はいくら掛かる?計算方法と特例を解説

2022/8/14

マンションを相続したけど、相続税はいくら掛かる?計算方法と特例を解説
マンションの相続は専有部分と共有部分があるために、大まかな相続税を算出する際、戸惑う人が少なくありません。

マンションに限らず不動産の相続では、相続税が10ヶ月以内の期限内に現金一括で支払う義務があるため、最初に相続税の大まかな金額を算出する相続人は多いでしょう。

何らかの形で相続税を現金一括で支払うことが困難な場合、相続した不動産を売却して現金化する対処法などがありますが、早々に決断して売却活動を進めなければ、10ヶ月の納付期限内に売却して現金化することは難しいためです。

今回は、マンションを相続した時に役立つ、大まかな相続税の算出方法をお伝えします。
 

マンションを相続で、相続税はいくら掛かる?
計算方法と特例を解説

 

 

相続税とは?

相続税とは?
被相続人が亡くなり相続が発生すると相続人は、相続した財産によって算出された税金を支払わなければなりません。これが相続税です。

例えば、被相続人の父(預金額5000万円)が亡くなったとし、その被相続人の妻、もしくは子供に財産が残されることを「相続」と言います。
そして相続した財産に税金がかかることを「相続税」になるのです。

今回の記事ではマンションの相続税について計算方法を解説しますが、相続税は全体の相続財産に掛かる税金となります。
 

<相続人は?>

●第一順位
・配偶者
・子供
・孫
…など。

●第二順位
・両親
・祖父母

●第三順位
・兄弟姉妹

 
兄弟姉妹には一定の遺産配分が保証される「遺留分」はありませんが、故人に第一順位や第二順位に当たる肉親がいない場合は、兄弟姉妹がなることもあるでしょう。

また遺言により第三者へ財産を譲る、遺贈(いぞう)を利用するならば、血縁関係にない第三者に相続してもらうこともあります。
 

マンションの相続税は、「建物+土地」

マンションの相続税は、「建物+土地」
マンションの相続では、専有部分と共有部分があるため、どこまでが相続対象になるのかを理解しておくと分かりやすいです。

…と言うのもマンションを購入すると、部屋は土地に面しているフロアばかりではありませんが敷地を利用する権利として「敷地権」も購入しています。
 

<マンションの相続税は「建物+土地」>

●マンションの相続税は戸建て住宅と同じく「建物+土地」の構成です。

(1)建物部分…固定資産税×1.0
(2)土地部分…マンションの敷地(全体)×持ち分割合

 
持ち分割合」が前述した敷地権となり、その数字は登記簿で確認することができます。

(「敷地権の割合」などの名目で「1825624分の13256」など、「○○分の○○」で記載されている数字が持ち分割合です。)
 

(1)建物部分

マンションの相続税を算出する際、建物部分は「固定資産税×1.0」とお伝えしましたが、正確には相続税評価額×1.0となるでしょう。
ただ相続税評価額は固定資産税評価額と同じ数字です。
 

<固定資産税評価額の確認方法>

分譲マンションを所有している場合、毎年固定資産税の課税明細書が送付されますので、この固定資産税評価額を確認してください。

 
この固定資産税の課税明細書には、建物の固定資産税評価額とともに、土地の固定資産税評価額も明記されています。

課税明細書が家にない場合、固定資産税評価証明書を交付してもらうと良いでしょう。
マンション相続した市町村の役所、東京都の場合は都税事務所で交付してもらえます。
 

(2)土地部分

土地部分は分譲マンションを所有している持ち主との按分(あんぶん)ですので、まずはマンション全体の敷地に対する評価額を確認してください。

マンション全体の敷地に対する相続税評価額は、国税庁が出している「路線価図・評価倍率表」を確認します。
 

<路線価方式とは>

(1)路線価図を出す
(2)隣接する道路に記載されている数字が「路線価」
(3)特定の補正があれば、路線価より補正する
(4)補正した路線価×マンションの面積(㎡)

 
分譲マンションの一室を相続した場合は、この路線価方式で出したマンション全体の評価額より、持ち分割合を掛けて算出します。
 

路線価図による評価額の詳しい算出方法は、下記をご参照ください。
【沖縄の不動産相続】土地の相続税を計算する評価額を求める基準

 

相続税の節税対策

相続税の節税対策
マンションの相続税の大まかな算出方法は、このような計算式が一般の人々が最も算出しやすい方法ですが、マンションの相続税では節税対策もあります。

マンションを相続するに当たり、節税対策は以下の2種類です。
 

<マンション、2つの相続税対策>

(1)基礎控除
(2)配偶者控除

 
基礎控除と配偶者控除によって相続税の支払いを大幅にカットできる見込みがあり、それぞれの控除を理解しておくことが大切です。

(1)基礎控除とは?

マンションの相続税対策ができる「基礎控除」は、被相続人から相続される相続者全員が対象となり控除ができます。
基礎控除額の計算方法は以下のやり方です。
 

<マンションの相続税対策:基礎控除>

●基礎控除額=3000万円+相続人1人×600万円

 
基礎控除額は相続人1人に対し600万円を掛け合わせて算出されます。
つまり、相続人が多ければその分控除額が大きくなるということです。
 

<例>
・基礎控除額=3000万円+相続人1人×600万円=3600万円
・基礎控除額=3000万円+相続人2人×600万円=4200万円
・基礎控除額=3000万円+相続人3人×600万円=4800万円

 
相続評価額が基礎控除額を超えない場合は、相続税は課税されません。
申告する必要もないので、可能な限り活用する方が望ましいでしょう。

(2)配偶者控除とは?

マンションの相続に限らず、全ての遺産を相続する相続人は「配偶者控除」が利用できます。

この「配偶者控除」とは、以下の2種類を選択することで、より控除額が大きい方を選ぶことができるので、マンションの相続税対策にも利用できるでしょう。
 

<マンションの相続税対策:配偶者控除>

(1)控除額は1億6,000万円まで
(2)配偶者の法定相続分相当金

 
(1)マンションの相続税評価額が1億6000万円までなら相続税はゼロ円になりますし、(2)配偶者の法定相続分相当金の範囲内であれば、この場合も相続税はゼロ円です。
 

相続税で利用できる節税対策

マンションの相続税対策では、基礎控除や配偶者控除以外にも、基本的には課税対象となるものが多いです。

ただマンションの相続税対策を進めるならば、控除対応するもの以外の税は全て課税されることを覚えておきましょう。

ここでは、相続税で利用できる節税対策8つを紹介します。
 

<マンションの相続税対策:控除対象>

小規模宅地等の特例
配偶者の税額減税特例
贈与税額控除
・未成年者控除
・障がい者控除
・相次相続控除
・外国税額控除
・相続時生産課税制度における贈与税額控除

 
マンションに限らず相続税では、相続された遺産が高額で有ればあるほど、相続税も高額に伴い相続税額が高くなるので、可能な部分は賢く節税したいところです。
 

マンションを相続する際の注意点

マンションを相続する際の注意点
また、マンションに限らず相続税が発生する場合、支払いまでにいくつかの注意点があり、失敗談も多いので、確認しておくと後々までスムーズです。
 

<マンションの相続税対策:注意点>

(1)相続する財産は専門家に相談する
(2)不動産を相続した時期と購入日が近すぎると税務署から指摘される
(3)相続税の支払いは10ヶ月以内

 
特にマンションなどの不動産の相続では、預貯金財産のように現金で扱うものではないため、相続発生当初から、賢い納税対策が必要な事例は少なくありません。

仮にマンションを売却して相続税に充てるとしても、早々に動き出さなければ10ヶ月の納税期間には間に合わない可能性もあるからです。
 

(1)相続する財産は専門家に相談する

相続対策で、マンションや被相続人から相続された遺産を売却するなどで利用するなら、まずは早めに専門家に相談するようにしましょう。
 

<マンションの相続税対策:専門家>

●相続には、専門的な知識が問われたり精神面的にもリスクがあり、素人が自己判断をして相続対策をすると失敗してしまうことになりかねません。

 
このようなことから、マンションの相続税対策に失敗しないためにも、早め早めに専門家へ相談すると安心です。
 

(2)不動産を相続した時期と購入日が近すぎる

マンションや不動産を購入して税金を安く抑える相続税対策は、しばしば聞きますよね。

この税金対策は大変賢い方法ではあるのですが、不動産を相続した時期と、購入日が近すぎる場合、税務署から指摘を受ける可能性があります。
 

<マンションの相続税対策:購入日が近すぎる>

●税務署から指摘されることで、購入価格での申告が求められてしまいます。

 
つまり現金で相続した場合と変わらない税金が掛かってしまうため、この点も注意をしてください。
 

(3)相続税の支払いは10ヶ月以内

マンションに限らず相続税の支払いは、相続の発生を相続人が知ってから、10ヶ月以内に現金で支払わなければなりません。
 

<マンションの相続税対策:支払期限>

控除税率などで計算をする
・相続される場合は10ヶ月以内
現金で支払う
一括で支払う

 
また納付期限が過ぎると延滞課税がかかってしまいます。

マンションを相続した際、現金一括で10ヶ月以内に納付できない場合には、まず税務署に相談をして、分割にするなどの対策を取りましょう。
 

※マンションの相続税が期限内に払えない場合は、下記に詳しいです。
マンションの相続税が払えないと危険!納税ができない時の対処法も解説

 

最後に

いかがでしたでしょうか、今回はマンションの相続税を算出する方法をお伝えしました。

マンションの相続税は共有部分と専有部分の2つがあるため、相続税の算出方法に戸惑う声も多くありますが、土地部分の「持ち分割合」を理解することがポイントです。

またマンションに限らず相続税で用いる相続税評価額は固定資産税評価額が基準であり、民間の売買で用いる時価とは違う金額となります。

(相続税評価額は時価よりも低い傾向にあり、時価は不動産会社に査定依頼をすることで、査定金額を軸として大まかに予想できるでしょう。)

またマンションの相続税は、「[相続税評価額−控除額]×税率」でも算出できますので、こちらも参考にしてください。(基礎控除額=3000万円+相続人1人×600万円)

このような計算方法を駆使して、早めにマンションの相続税を引き下げると良いでしょう。

マンションを始めとした相続税の計算や、相続した遺産の活用や処分方法など、あらかじめ検討しておくことで、いざ相続するとなった時に円滑に手続きを進めることができます。
 

 
まとめ

マンションの相続税はいくら掛かる?

●マンションは建物部分と土地部分に分けて算出
(1)建物部分…固定資産税×1.0
(2)土地部分…マンションの敷地(全体)×持ち分割合

●控除額を確認する
(1)基礎控除
(2)配偶者控除

●その他の控除対象や特例
・小規模宅地等の特例
・配偶者の税額減税特例
・贈与税額控除
・未成年者控除
・障がい者控除
・相次相続控除
・外国税額控除
・相続時生産課税制度における贈与税額控除

●マンションの相続税、3つの注意点
(1)相続する財産は専門家に相談する
(2)購入日が近すぎると税務署から指摘される可能性
(3)相続税の支払いは10ヶ月以内

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