相続した不動産を売却すると掛かる税金とは?節税対策になる3つの特例
2022/7/14
相続した不動産を売却する場合、どのような税金が掛かってくるのでしょうか。
現代は不動産財産のみの相続なども多いですが、相続税は現金で支払うため、税金に関する知識は重要です。
相続税は手元に現金が残るか残らないかに関わらず、遺産を相続すると10ヶ月以内に現金一括での支払いが義務付けられています。
そのため相続した不動産を売却して、税金の支払いに充てる人は少なくありません。
ただ相続した不動産は売却した場合にも、税金はかかってきますよね。
そこで今回は、相続した不動産を売却した場合、どのような税金がかかるのか、節税対策はないのかを解説します。
相続した不動産を売却すると掛かる税金とは?
節税対策になる3つの特例
相続から不動産の売却までの税金
不動産を相続し、売却するまでにかかる税金はさまざまな種類がありますが、具体的にどのような税金が課税されるのでしょうか。
時系列に不動産を相続してから売却までに掛かる税金を、下記にまとめてみました。
<相続→不動産売却までの税金>
(1)相続税
(2)登録免許税
(3)印紙税
(4)譲渡所得税
(5)住民税
(6)復興特別所得税
もちろん相続した不動産がどのようなものなのか…、家賃収入がある場合などでも変わりますし、相続ではあっても法定相続人ではない第三者による「遺贈(※)」であれば、不動産所得税も掛かります。
けれどもここでは、ごく一般的な相続から不動産売却までに掛かる税金として解説するので、ご了承ください。
※「遺贈(いぞう)」とは、遺言により法定相続人ではない第三者へ遺産を継承・譲渡することを差します。
一般的に遺贈のなかでも一部財産を指定した「特定遺贈」において、不動産所得税が発生する仕組みです。
遺贈について詳しくは下記をご参照ください。
・【沖縄の相続対策】遺言書で第三者へ遺産を譲る「遺贈」、3つの注意点
・【沖縄の実家相続】相続で不動産所得税はかかる?課税されるケースとは
(1)相続税
まず、相続した不動産を売却するまでに掛かる税金が「相続税」です。
「相続税」とは、相続した財産の総額にかかる税金のことで、遺産の課税価格が、相続税の基礎控除額を超えると発生する様になっています。
<相続税>
・相続発生から10ヶ月以内に納付
・支払いは現金一括払い
相続税を申告するまでに期限があり、相続を開始し始めた日の翌日から10ヶ月以内とされるため、ここで相続した不動産を売却して税金の支払いに充てる人は少なくありません。
※相続税が10ヶ月以内に払えない場合の対処法は、下記をご参照ください。
・沖縄で相続税が払えない時はどうする?延納・物納など3つの対処法とは
(2)登録免許税
次に相続した不動産を売却するまでに掛かる税金は「登録免許税」です。
「登録免許税」とは、不動産を相続し名義変更をする際にかかってくる税金を差します。
また相続した土地・建物などの名義変更をする作業は「相続登記」です。
<登録免許税>
●登録免許税の税率は登記の種類によって異なり、不動産の場合は(1)土地(2)建物、両方の相続をする際「不動産価格が0.4%」の税率がかかります。
一般的な不動産売買による登録免許税は、不動産価格の2%(1,000分の20)ですが、相続により得た土地建物の登録免許税は0.4%(1,000分の4)になります。
詳しくは国税庁ホームページより、下記をご参照ください。
・No.7191 登録免許税の税額表
・相続による土地の所有権の移転登記に対する登録免許税の免税措置について
(3)印紙税
続いて、相続した不動産を売却するまでに掛かる税金が「印紙税」です。
印紙税とは、契約・領収書などにかかる税金を差します。
相続した不動産を売却する際の税金に、この印紙税も入るでしょう。
印紙税は契約金額により支払う税金の額も幅広く設定されています。
印紙税の税額を表にしましたので、下記をご参照ください。
<契約金額で違う、印紙税の税額>
(4)譲渡所得税
その次に、相続した不動産を売却するまでに掛かる税金が「譲渡所得税」です。
「譲渡所得税」とは、相続された不動産を売却して利益を得るところに対して、課税される税金を差します。
<譲渡所得税>
(1)所有期間が5年間以下(=短期譲渡所得)…税率が30%
(2)所有期間が5年間以上(=長期譲渡所得)…税率が15%低くなる
このように譲渡所得税は不動産を保有している期間によって税率の変動があるので注意をしてください。
(5)住民税
続いて、相続した不動産を売却するまでに掛かる税金が「住民税」です。
「住民税」は譲渡所得税と同様、不動産を保有している期間によって税率が変動します。
(6)復興特別所得税
最後に、相続した不動産を売却するまでに掛かる税金が「復興特別所得税」です。
復興特別所得税とは、東日本大震災の復興に充てられる税金を差します。
相続した不動産の売却、3つの税金対策
以上が相続した不動産を売却するまでに掛かる税金のあらましです。
では、相続した不動産を売却する際、税金を節税する方法はあるのでしょうか。
主に考えられる対策は、下記の3つです。
<相続した不動産の売却、3つの税金対策>
(1)居住用の家を売却…3,000万円控除
(2)保有期間が5年以上…1,000万円控除
(3)相続した空き家を売却…3,000万円控除
相続した不動産を売却する場合、税金対策としては「どのような不動産を売却するのか」によって、いくつかの特別控除が適用されるでしょう。
下記より、それぞれの特別控除について詳しく解説していきます。
(1)居住用の家を売却
相続した不動産が居住用の家だとして、売却すると税金が3,000万円の控除対象になる可能性があるでしょう。
不動産を売却した際に発生する利益にかかる税金を軽減させる特別制度があるためです。
<売却額に掛かる税金を軽減>
●不動産の売却額が3,000万円以下の場合、課税対象外として免除の可能性があります。
ただし課税対象外になるには、売却する家が持ち家であることが前提です。
そのうえで、事実上売買価格が3,000万円以下であれば控除対象になるので、譲渡所得税が発生しません。
(2)保有期間が5年以上
平成21年以降・平成27年以降・平成22年以降・平成28年以降に所得した土地で有れば、1,000万円の特別控除が受けられる制度です。
(3)相続した空き家を売却
相続した不動産を売却する時の税金対策として、昭和56年5月31日以前の古い家屋であれば、国の空き家対策として施行されている3,000万円までの特別控除の対象になるかもしれません。
ただしボロ屋になった空き家を解消することが目的なので、さまざまな要件があります。
<古い空き家で3,000万円の特別控除☆要件>
・被相続人がひとり暮らしだった家屋
・昭和56年5月31日以前に建てられた家屋
・相続発生から空き家の状態が継続されている
空き家対策の特別控除が適用されるためには、被相続人に同居人がいなかったこと、相続が発生した時点で空き家になっており、そのまま誰にも賃貸されないまま、空き家の状態が今日まで続いていることが要件です。
また相続発生から不動産の売却まで、税金の特別控除を受けるには、3年以内と期限も定められているので注意をしてください。
※相続した空き家を売却する場合の特別控除について、下記をご参照ください。
・【沖縄の実家相続】空き家の売却なら3年以内がお得な理由
・【沖縄の実家相続】特例の3年間は、要件と数え方に注意!
最後に
以上が相続した不動産を売却するまでにかかる税金と、少しでも税金を節約できる可能性がある、3つの特例です。
不動産を相続した場合、誰にも使われないまま放置していると、それだけでもさまざまなコストが掛かります。
人が居住しない不動産の固定資産税は割高になりますし、近隣トラブルを避けるためには、定期的なメンテナンスを行わなければなりません。
沖縄の場合は相続した不動産を売却するまでに、税金対策以上に茂った雑草の定期的な草刈り業務などに経済的・肉体的な負担が掛かった…、との声も多いです。
放置すればするほど、相続した不動産は売却が難しくなり、税金は払い続けますから、手放すのであれば、経済的には早め早めの対策が不可欠でしょう。
まとめ
相続した不動産、売却までの税金とは
(1)相続税
(2)登録免許税
(3)印紙税
(4)譲渡所得税
(5)住民税
(6)復興特別所得税●税金対策
(1)居住用の家を売却…3,000万円控除
(2)保有期間が5年以上…1,000万円控除
(3)相続した空き家を売却…3,000万円控除