【沖縄の相続対策】遺言書で第三者へ遺産を譲る「遺贈」、3つの注意点

2022/6/28

【沖縄の相続対策】遺言書で第三者へ遺産を譲る「遺贈」、3つの注意点
沖縄の相続では、遺言による「遺贈(いぞう)」を検討する人も多いですよね。
「遺贈(いぞう)」とは法定相続人ではない第三者へ、被相続人が遺言によって遺産を譲ることを差します。

内縁の妻や介護などでお世話になった嫁など、法定相続人には当たらない人へ、遺産を譲りたい時に選ばれますが、デメリットまで考慮して決めなければなりません。

沖縄の相続対策で遺贈を選ぶ場合、遺言の種類によっては相続人にも秘密で進めることもできます。
だからこそ相続人同士のトラブルを避けるためにも、デメリットまで理解して選びます。
 

【沖縄の相続対策】遺言書で第三者へ遺産を譲る
「遺贈」3つの注意点

 

 

遺贈の基礎知識

遺贈の基礎知識
沖縄の相続対策にもしばしば用いられる「遺贈(いぞう)」は、被相続人が生前に遺言によって第三者へ遺産を譲る方法です。

遺贈(いぞう)により遺産を受け取る人を「受遺者(じゅいしゃ)」と言います。
 

<沖縄の相続対策☆遺贈(いぞう)>

●受遺者は人だけではなく、団体(NPO法人)などもケースもあります。

・婚姻関係にない内縁の夫や妻
・お世話になった介護の人々・ヘルパーさん
・子どもの
NPO法人

…などなど。

 

NPO法人の場合、遺贈の受け入れをしている団体を選ぶと良いでしょう。
また、遺産を残す第三者だけではなく、「遺産の譲り方」にも指定方法が2種類あります。
 

遺贈、2つの指定方法

沖縄の相続対策では、譲る遺産を細かく指定する「特定遺贈(とくていいぞう)」を検討する人も多いですが、この他にも、対応しやすい「包括遺贈(ほうかついぞう)」があります。
 

<沖縄の相続対策☆遺贈の指定方法>

(1)特定遺贈(とくていいぞう)
…被相続人が譲る遺産の内容を、具体的に指定する方法です。
遺贈者は相続人と同じ責任を負う必要がなく、相続人とのトラブルも起こりにくいでしょう。

(2)包括遺贈(ほうかついぞう)
…「財産の1/2を○○へ譲る」など、大まかに指定します。
生前の財産構成に柔軟に対応できるメリットがある一方、遺贈者は相続人と同じ責任が伴います。

 

包括遺贈において「相続人と同じ責任」とは、たとえば借金などの負の財産や、相続における事務手続きです。
遺贈者も相続人と同じ権利と責任を受ける一方、特定遺贈は無償で遺産を受けます。
 

遺贈以外に第三者へ譲る対策

遺贈以外に第三者へ譲る対策
第三者へ遺産を譲りたい場合、沖縄の相続対策では遺贈の他にも養子縁組生命保険などの方法があるでしょう。
 

<沖縄の相続対策☆第三者へ贈る対策>

●例えば、遺贈以外には下記のような方法があるでしょう。

養子縁組により相続人にする
生命保険の受取人にする

…などなど

 

ただ生命保険の場合、相続税は掛からないもののあまりに多くの保険を掛けると、裁判所に遺留分対策、相続税対策を疑われます。

また養子縁組により第三者へ遺産を譲る場合、必然的に相続人全員へ養子縁組の事実が知れ渡ることになり、相続発生(被相続人の死後)まで計画を隠すことができません。
 

※養子縁組生命保険は下記の記事でも詳しいです。
【沖縄の実家相続】遺言書で遺留分を侵害したら無効?生前にできる対策

 

遺贈の種類

沖縄の相続対策で養子縁組を利用して第三者へ遺産を譲ると、その工程で推定相続人(将来相続人になる人々)が、第三者の存在を知ることになります。

けれども遺贈の場合、指定する遺言書の種類によっては、推定相続人に秘密裏で進めることも可能です。
 

<沖縄の相続対策☆遺言書の種類>

(1)公正証書遺言
公証役場で証人2人の前で公証人が作成するため、有効性の信頼度は高いのですが、完全に秘密とは言い難いです。

(2)自筆証書遺言
…自筆で作成して自分で保管するため秘密にはできますが、紛失や隠ぺい・偽造の可能性の他、無効になる可能性も高くなります。

(3)秘密証書遺言
…自分で作成するものの、遺言書の存在は公証役場に証明してもらう遺言です。
無効にならないよう書き方には注意が必要ですが、存在は証明されながら遺言の内容は秘密にできます。

 

…ですから自筆証書遺言や秘密証書遺言によって、秘密裏に第三者への遺贈を進めることは可能です。
ただし相続人にとっては寝耳に水になることも多く、そうなるとトラブルにもなりやすいので、注意をしてください。
 

※遺言の種類については下記に詳しいです。
【沖縄の実家相続】遺言書で安心できる種類は?状況で選ぶ3種の方法

 

遺贈のメリット

遺贈のメリット
遺贈のメリットは、前述したように他の推定相続人には秘密裏に、第三者へ遺産を譲ることができる点です。
 

<沖縄の相続対策☆遺贈のメリット>

・将来的な相続人である推定相続人には秘密で、第三者へ遺産を譲る計画ができる。

 
例えば相続発生(被相続人の臨終)の後、相続トラブルが予想される場合には、推定相続人全員に秘密にして、第三者である法人団体へ全額寄付をしてしまう…、などのケースがありました。
 

遺贈のデメリット

ただし配偶者や子どもなど直系の相続人には、最低限の遺産を相続する権利「遺留分(いりゅうぶん)」があります。
 

<沖縄の相続対策☆遺贈のデメリット>

・相続人の遺留分減殺請求(※)による相続トラブル。
相続税が二割増しで課税される。

 

遺贈を検討するケースでは、相続人の遺留分が侵害されるケースも少なくありません。

相続人が納得して遺産分割協議に印を押せば問題はないのですが、納得できずに遺留分減殺請求権を行使した場合、遺言内容が執行されない可能性もあるでしょう。

そのため「確実に」第三者へ遺産を譲りたい人は、前述したように養子縁組などで相続人の一人とする選択が増えています。
 

包括遺贈に相続トラブルが多い

包括遺贈は「遺産の1/2を○○へ譲る」など、財産に対する割合で大まかに指定し、受贈者は他の相続人と同じ責任と権利を持つものです。

そのため他の相続人としては、もう一人、第三者の相続人が増えたようなもので、遺留分も侵害されるケースが多いでしょう。
 

<沖縄の相続対策☆トラブルは包括遺贈に置きやすい>

●そのため相続人と受贈者によるトラブルは、包括遺贈で起きやすい傾向にあります。

→ できるだけトラブルのない遺贈を願うならば、「○○の土地を○○(第三者)へ譲る」など、細かく指定した特別遺贈を検討すると良いでしょう。

 
受贈者としても無償で遺産を譲り受けることができます。
 

より確実に遺言を執行するには

沖縄の相続対策に多い遺言ですが、遺言はあくまでも被相続人が亡くなった後、残された者同士で対応するものなので、被相続人としては不安が残るとの声は多いです。

そこで相続発生後のトラブルが心配される場合には、より確実に遺言が執行される対策を取ると良いかもしれません。
 

<沖縄の相続対策☆遺言の有効性を高める>

●例えば、下記のような方法が考えられます。

(1)最も信頼性の高い公正証書遺言で作成する。
(2)遺言執行者を選定する

…などの方法です。

 

公正証書遺言の作成には公証人への報酬や手続き料などお金は掛かりますが、管理も公証役場で行われ、最も信頼性の高い遺言の種類となります。

遺言執行者は、残された遺言を執行する人で、基本的には誰でも遺言執行人になれますが、一般的には、行政書士や司法書士、弁護士などの法の専門家に依頼する人が多いでしょう。

専門的な第三者が遺言執行人になることで、費用は掛かりますが、より有効性が高まります。
 

※より確実な遺言書の書き方などは、下記をご参照ください。
【沖縄の相続対策】公正証書遺言の作成方法☆手続きや費用5つの基本
【沖縄の相続対策】自筆証書遺言を確実にする5つのチェックポイント

 

最後に

少し前まで、沖縄の相続対策で遺言を残す人々は僅かでした。
2010年~2013年に掛けて、全国でも遺言書を残す人は平均で10%以下でした。

けれども分割できない不動産財産で相続トラブルを起こす事例が増え、実家も含めた遺産総額が5千万円以下の家でもトラブルが多発するようになりました。
そこで最近は、遺言書を残す選択が増えつつあります。

遺言書にはメモ書き程度に相続人にメッセージを残す「付言事項」の項目もありますが、より詳しく気持ちを伝えたい、説得したい場合には、エンディングノートを活用しても良いでしょう。

エンディングノートは法的な拘束が無い反面、書き方にも指定がなく自由なので、それぞれの相続人や受贈者に対して、充分なメッセージが残ります。
 

※エンディングノートについては下記でお伝えしています。
エンディングノートの役立つ書き方☆必要な7つの項目と注意点

 

まとめ

遺贈、3つの注意点

●遺贈とは、遺言で第三者へ遺産を譲ること
・遺贈を受ける人を受贈者と言う
・第三者は人の他、団体(NPOなど)でも良い
・受贈者は遺贈の放棄もできる

●遺贈には2種類ある
・包括遺贈
大まかに指定、受贈者は相続人と同じ権利と責任を持つ
・特定遺贈
細かく指定、受贈者は無償で譲り受ける

●遺贈、3つの注意点
・相続税が二割増し
・遺留分侵害による相続トラブル
・遺言書の無効

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