【沖縄の実家相続】遺言書で安心できる種類は?状況で選ぶ3種の方法

2022/6/14

【沖縄の実家相続】遺言書で安心できる種類は?状況で選ぶ3種の方法
沖縄では相続対策に遺言書を利用する人が増えています。
せっかく遺言書を作るですから、極力遺言内容が確実に執行される、有効な種類を選びたいですよね。

遺言書には(1)自筆証書遺言(2)公正証書遺言(3)秘密証書遺言の3種類があります。

それぞれに特徴やメリットデメリットがあるので、「信頼性が最優先」なら公正証書遺言にする、「メッセージ性を高くする」なら自由度が高い秘密証書遺言にするなど、目的に合わせて選ぶと良いでしょう。
 

【沖縄の実家相続】遺言書で安心できる種類は?
状況で選ぶ3種の方法

 

 

遺言に関する意識調査

遺言に関する意識調査
沖縄では遺言書による相続対策が増えつつありますが、現実的には遺言書への知識がないために、残さないまま相続が発生する(臨終を迎える)ケースは少なくありません。

全国的には「遺言書を残したい人がいる」と答えた人が、1人いる・複数人いるケースを合わせて64%という結果に対し、「相談できる人がいない」と答えた人々は42%に上っています。

「ネット検索すれば良い」とする人は47%いましたが、現実的に沖縄で遺言書による相続対策を進めるなかで、信頼できる情報なのかどうか、不安な人もいるでしょう。
(株式会社グッドオフ2020年「遺言書に関する意識調査」より)

そこで、これから自分で遺言書を残すに当たり、遺言書3つの種類から目的に合わせたものを選ぶ必要があります。
 

遺言書3つの種類

遺言書3つの種類
冒頭でお伝えしたように、遺言書は(1)自筆証書遺言(2)公正証書遺言(3)秘密証書遺言の3種類です。
 

<沖縄の相続対策☆遺言書3つの種類>

(1)自筆証書遺言
(2)公正証書遺言
(3)秘密証書遺言

 

一般的に自筆証書遺言は遺言者(被相続人)が思い立った時にいつでも作成できる一方、保管を個人が行うために隠ぺいや紛失、変造の恐れがあるとデメリットも強調されてきましたが、2020年の相続税法改正によって、選ぶ基準も変化しつつあります。
 

自筆証書遺言メリット

自筆証書遺言メリット
自筆証書遺言は遺言者(被相続人)が自筆で作成する遺言書です。

ひとりで作成して保管できるため、将来的に相続人になる「推定相続人」に秘密裏に沖縄で相続対策ができるとして、比較的選ばれます。
 

<自筆証書遺言のメリット>

・相続人に秘密で相続対策ができる
・費用がほとんど掛からない
証人が必要ない
いつでも書き直しができる

 

ただし全てを自筆で書かなければならず、若い頃であれば大したデメリットではないものの、高齢になると面倒として、避けられることも多くありました。
 

自筆証書遺言のデメリット

自筆証書遺言のデメリットは、カジュアルであるがゆえにリスクも多い点です。
まず、遺言者(被相続人)ひとりで作成できる種類のため、無効にもなりやすいでしょう。

書き損じには二重線と印鑑など、一定の決まり事を満たさなければなりません。
 

<沖縄の相続対策☆自筆証書遺言のデメリット>

・書き損じなど、形式による無効の可能性
・発見後、家庭裁判所による検認が必要

●対策ができるデメリット
・隠ぺいや紛失、変造リスク
発見されないリスク
・全て自筆で書かなければならない

 

…などなどデメリットは5つほどありますが、2020年の相続税法の一部改正により、いくつか対策が取れるようになりました。
 

自筆証書遺言☆対策ができるデメリット

前項でお伝えした「対策ができるデメリット」は、(1)隠ぺいや紛失、変造リスク(2)発見されないリスク、そして(3)全て自筆で書かなければならない、3点です。
 

<沖縄の相続対策☆自筆証書遺言の対策>

(1)自筆証書遺言書保管制度

…遺言者(被相続人)が希望した場合、法務省で遺言書の保管ができる制度です。
遺言者の希望により、相続発生後に遺言者ひとりに付きひとりのみ、遺言書保管の通知ができます。

(参考:法務省「自筆証書遺言書保管制度」)

(2)遺言に添付する財産目録についての法改正

…2019年1月13日より、自筆証書遺言であっても添付する財産目録について、ワープロ文書などでも署名捺印をすることで有効になりました。

(参考:法務省「自筆証書遺言に関するルールが変わります。」)

 

…以上のことで自筆証書遺言であっても、信頼できる法務省により保管され、紛失へ変造・隠ぺいリスクが軽減されることになりました。

また、自筆による作成で最も大変だったのは財産目録ですが、この財産目録がワープロ文書も可能になったことで、ぐっと作成が楽になります。

ただし財産目録への署名捺印は全てのページに関して行わなくてはなりません。
またいずれにしても、相続発生後の家庭裁判所による検認はあるので、形式には注意して作成しないと、無効になる可能性はあるでしょう。
 

自筆証書遺言を無効にしないチェックポイントについて、下記に詳しいです。
【沖縄の相続対策】自筆証書遺言を確実にする5つのチェックポイント

 

公正証書遺言のメリット

公正証書遺言のメリット
沖縄で遺言による相続対策を進める場合、最も有効性が高く信頼できる種類が、公正証書遺言です。
ただし手間暇や費用が掛かるため、敷居も高いでしょう。
 

<沖縄の相続対策☆公正証書遺言のメリット>

・相続発生後、家庭裁判所による検認がない
・公証人が作成するため、無効の可能性がほとんどない
・公証役場で原本が保管される

 

公証役場で弁護士や司法書士など、法の専門家である公証人が遺言者(被相続人)から遺言内容を聞き取り作成するので、書き損じや形式間違いなどによる無効の可能性がほぼありません

さらに作成後は公証役場が原本を保管、コピーを配布するので、紛失や隠ぺい、変造リスクもほとんどないと言えるでしょう。
 

公正証書遺言の仕組み

これだけ信頼性が高い公正証書遺言ですが、デメリットは手間暇や費用が掛かり敷居が高い点ではないでしょうか。
 

<公正証書遺言の仕組み>

(1)証人2人に依頼
(2)公証役場に予約
(3)公証人による遺言書の作成(公証役場にて)
(4)公証役場にて原本の保管
(5)家庭歳場所による検認なし

 

…このような流れになるため、遺言者(被相続人)は、証人2人への依頼公証役場への予約をしなければなりません。

また証人2人は相続人や公証人に関わる人々でなければ、基本的に誰でも依頼できるものの、一般的には司法書士や行政書士、弁護士などの法の専門家が多いです。

公証人への手数料証人への報酬など、何かと費用が掛かるでしょう。
 

全国の公証役場一覧は下記をクリックしてください。
・日本公証人連合会「公証役場一覧

 

公正証書遺言のデメリット

そのため公正証書遺言の最大のデメリットは敷居が高く、費用が掛かる点です。
また証人2人が遺言者(被相続人)に近しい人の場合、遺言内容が外部に漏れる可能性も否定できません。
 

<公正証書遺言のデメリット>

公証役場手数料証人への報酬などの費用
証人2人に依頼しなければならない
・遺言書の存在は、推定相続人に分かる
・証人から遺言書の内容が漏れる可能性もある

…などなどが挙げられます。

 

公証人手数料は遺産額によって決められていますが、一般的には1万7千円ほどではないでしょうか。

また証人も公証役場で相談すると、紹介してくれます。
この場合、証人報酬の目安は5千円~1万円×2人分、公証人手数料も含めると、2万7千円~3万7千円ほどは掛かる計算です。
 

※公正証書遺言の作成方法や報酬については別記事に詳しいです。
【沖縄の相続対策】公正証書遺言の作成方法☆無効になった判例まで解説

 

秘密証書遺言のメリット

秘密証書遺言のメリット
秘密証書遺言は、自筆証書遺言と公正証書遺言の中間的な立場です。

自筆証書遺言と同じく、自分で作成し封までできますが、証人2人とともに公証役場に申請をすることで、遺言書の存在を証明することができます。

そのため遺言書の内容は秘密にしながらも、推定相続人に遺言書の存在を知らせることができ、発見されないリスクはありません。
 

<沖縄の相続対策☆秘密証書遺言のメリット>

ワープロ文書代筆でも適用される(遺言者の署名・捺印が必要)
・文章に定型がない
・遺言書の存在は証明するが、内容は秘密にできる

 

何よりも遺言者の署名・捺印があれば、ワープロ文書他者による代筆が可能なので、手が自由ではないなど遺言者の事情により自筆が難しい場合には、大変便利です。

一方で、署名・捺印のみで有効になる遺言書でもあるので、相続トラブルが起きた時には、作成時の遺言者の遺言能力が問われるかもしれません。

遺言能力」とは遺言者が充分に遺言を残せる状態にあったかどうかを差し、例えば認知症などの症状があった場合、無効になる可能性もあります。
 

秘密証書遺言のデメリット

沖縄で遺言による相続対策を検討した場合、秘密証書遺言も公正証書遺言ほどではありませんが、公証役場で遺言の存在を証明するため、手数料や手間暇は掛かります。

遺言の存在を証明する時には、公正証書遺言と同じように2人の証人も必要です。
ただし公正証書遺言のように、内容まで証明しませんので、相続人と関係のない知人や友人んど、第三者に依頼をしても良いでしょう。
 

<沖縄の相続対策☆秘密証書遺言のデメリット>

・公正証書遺言ほどではないが、費用はかかる
証人2人へ依頼をする
・遺言書の存在は公になる

・形式や書き損じによる無効リスク
・相続発生後、家庭裁判所による検認アリ

 

上記3点は公正証書遺言に近いデメリット、下記2点は自筆証書遺言に近いデメリットと言えるでしょう。

秘密証書遺言は中身まで確認して証明しませんので、相続発生後は家庭裁判所による検認の後、有効・無効が分かります。
コチラも個人で遺言書を保管していれば紛失や隠ぺい、変造リスクはあります。
 

最後に

以上が沖縄の相続対策で増えつつある遺言、3つの種類の特徴やメリットデメリットですが、最も信頼性の高い公正証書遺言であっても、無効になった判例はありました。

特に子どもや配偶者など、直系の相続人が最低限の遺産を相続できる権利「遺留分(いりゅうぶん)」を侵害した遺言内容だった場合に、相続人の遺留分減殺請求権行使による無効が多いでしょう。

遺留分減殺請求とは遺留分を主張することです。
ですから遺留分にまで配慮した遺言書を残すことが、何よりの沖縄の相続対策とも言えます。

公正証書遺言でも無効になった判例については「【沖縄の相続対策】公正証書遺言の作成方法☆無効になった判例まで解説」に詳しいです。

また遺留分への沖縄の相続対策については「【沖縄の実家相続】遺言書で遺留分を侵害したら無効?生前にできる対策」でもお伝えしています。
 

 
まとめ

状況で選ぶ遺言書3つの種類

(1)自筆証書遺言
・自筆証書遺言書保管制度がある
・財産目録はワープロ文書でも可(署名捺印が必要)

(2)公正証書遺言
・公証役場で公証人が作成
・遺言書は原本を公証役場で保管
・証人報酬や公証人手数料などがかかる

(3)秘密証書遺言
・ワープロ文書や代筆も可(署名捺印が必要)
・遺言書の存在を公証役場で証明する
・証人2人が必要

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