収入がある不動産を相続したらどうする?確定申告が必要なケースとは

2022/5/1

賃貸アパートなど、収入がある不動産を相続したらどうする?確定申告が必要なケースとは
収入がある不動産を相続した場合「確定申告はどうなるの?」と、戸惑う方も多いですよね。いずれにしても不動産を相続すると確定申告だけではなく、さまざまな手続きが出てきます。

さらに不動産の相続に限らず、確定申告には申告期限がある(毎年おおよそ2月15日~3月15日頃の申告)ので、早めに内容を確認して準備を進めると安心です。

ただ、どのような不動産の相続ケースにおいて確定申告が必要になるのでしょうか?今回は、収入がある不動産を相続した場合は、確定申告が必要なのかを解説します。
 

収入がある不動産を相続したらどうする?
確定申告が必要なケースとは

 

 

不動産の相続後、確定申告が必要な4つのケース

不動産の相続後、確定申告が必要な4つのケース
収入がある限り、不動産を相続する場合に確定申告を行わなければなりませんよね。ただ、「どのような収入だったのか」も気になるでしょう。
 

【 不動産相続後に確定申告が必要な4つのケース 】

● 不動産を相続により収入を得ると確定申告が必要ですが、そればかりではありません。寄付する場合にも確定申告を進めてください。

(1)収入がある不動産を相続する場合
(2)不動産自体を分割し現金化する場合
(3)相続した不動産を売却して現金にする場合
(4)相続した不動産を寄付する場合

 

…ただし不動産相続により収入を得たなら、確定申告により課税対象になりますが、不動産相続後に寄付をする場合、確定申告は必要ですが課税対象にはなりません。(もちろん、収入がないためです。)

それでは、以下より不動産相続後に確定申告が必要な4つのケースを、それぞれ詳しく解説します。
 

収入がある不動産を相続する確定申告

賃貸マンションやアパートなど、家賃収入がある不動産を相続する場合は、所有する方が亡くなられた年の1月1日から相続が発生します。

また、家賃収入だけではなく駐車場も収入がある場合でも、相続した際はすべて亡くなった「被相続人」のものとして確定申告を行わなければなりません。

そして、相続が発生した以降の得られた収入は、不動産を相続する「相続人」の収入になり、確定申告を行います。
 

【 家賃収入がある不動産相続の確定申告 】

● 例えば、被相続人が亡くなり9月1日から相続が発生するとします。

→ その場合、1月1日〜8月31日までの収入は「被相続人」の収入として確定申告を行い、9月1日からは「相続人の収入として」確定申告を行うということです。

※ 不動産相続後の確定申告は、「得た収入」から、「収入を得るまでに要した費用」を差し引いた所得、不動産所得とした申請するようになっています。

 

また被相続人が亡くなる日までの収入は、被相続人が確定申告をしなくてはなりません。ただ、当然亡くなった被相続人は申告が出来ませんよね。ですから代わりに相続人が、不動産相続後に確定申告をしなくてはなりません。
 

【 不動産を被相続人の代わりに確定申告 】

● 被相続人が相続人に代わり申告しなくてはならないことを「準確定申告」と呼び、被相続人が亡くなられて4ヶ月以内に行う必要があるので注意しましょう。

 

不動産自体を分割し現金化する場合

不動産の相続が複数人にいる場合は、遺産を分けやすいように現金化して分け合える事ができます。この場合にも現金化した収入を得ますので、不動産相続後の確定申告が必要です。
 

【 不動産相続後の確定申告☆換価分割 】

● 遺産を分け与える事を「換価分割」と呼び、不動産を売却した売却益は、差額を譲渡所得として、相続が発生した日から12月31日までの収入として申告する必要があります。

 

ただし、遺産を換価分割していると相続した全員に所得が発生していることになるため、相続人全員が確定申告を行う必要があるので注意しましょう。
 

相続した不動産を売却して現金にする場合

不動産を相続し売却した後、売却金額と財産を所得する場合に発生した所得費の差額は収入を得たことと同様になる為、譲渡所得として不動産相続後に確定申告を行う必要があります。
 

【 不動産相続後の確定申告☆売却収入 】

● 不動産の建物の所得費は、新築や売却するまでの間の減価償却を考慮した上で計算することになりますが、相続し収入が得られた場合は、亡くなられた被相続人が得た収入と取得した時期を引き継ぐことです。

 

もちろん、減価償却を行わない土地の場合でも確定申告が必要となっています。
 

不動産の相続後に寄付する場合の確定申告

不動産の相続後に寄付をした場合、確定申告が必要になります。ただ相続した不動産を国や地方公共団体に寄付するため収入は得ませんので、当然相続税も課税されません

…では、どうして不動産相続後に寄付する場合でも、確定申告を行うのでしょうか。
 

【 不動産相続後の確定申告☆寄付 】

● 相続人が「特定団体」以外の団体に相続する際は、一定の金額に対して寄付金免除を受けられるので、その場合は確定申告を行う必要があります。

 

つまり一般的な事業者所得の確定申告でも、寄付金が課税控除の対象となるように、不動産相続による確定申告でも、寄付を申告することで寄付金免除が期待できるためです。

預貯金財産は僅かであっても不動産が相続財産に入ると、相続税も大きくなります。少しでも課税控除されるよう、寄付などがあれば多少面倒ではありますが、ぜひ確定申告を行いましょう。
 

不動産相続後に確定申告を行う期間

不動産相続後に確定申告を行う期間
冒頭で「確定申告には提出期限がある」ことはお伝えしましたが、一般的に確定申告の提出期間は毎年2月15日~3月15日です。フリーランスなど個人事業主の方が大慌てする時期ですね。

ただ、収入がある不動産相続発生後の確定申告は、被相続人が青色申告ではなく白色申告で申告をしているかもしれません。亡くなる時期や申告の種類によっても、提出期間が変化しますので、注意をしてください。
 

【 不動産相続後に確定申告☆種類によって違う期間 】

(1)被相続人が白色申告で確定申告を申告し、なおかつ相続発生の年の1月16日以降に開業していた場合には、業務開始(相続発生)から2ヶ月までが期限です。
(それ以外は、一般的な青色申告と同じ、3月15日となります。)

(2)被相続人が青色申告で確定申告を申告している場合、被相続人が亡くなった日(命日)によって申告期間が違うので注意をしてください。亡くなった日が…、

<元旦~8月末日>被相続人が亡くなってから4カ月まで
<9月1日~10月末日>被相続人が亡くなった年の大晦日(12月末日)まで
<11月1日~大晦日>被相続人が亡くなった、翌年2月15日まで

 

具体的な確定申告の進め方については、別記事「収入がある不動産を相続した時の確定申告☆必要な書類や申告の手順」で詳しくお伝えしますが、国税庁でも「確定申告作成コーナー」のページを設けています。

 
 

いかがでしたでしょうか、今回は、収入がある不動産を相続すると確定申告が必要な4つのケースを詳しく解説しました。

改めて解説すると、(1)賃貸マンションやアパートなど、収入がある不動産を相続すると確定申告が必要なことは当然ですが、(2)不動産自体を分割し現金化する場合にも、収入を得ることには変わりがないため、確定申告を行います。

もちろん、(3)不動産の相続後に売却すれば確定申告が必要ですし(現金化されるため)、(4)不動産の相続後に寄付した場合も、確定申告により寄付金免除が期待できるでしょう。

いずれにしても不動産に限らず、相続が発生したら確定申告が翌年には必要になるだろう…、と言う点は意識して過ごすと安心です。

賃貸アパートやマンションを復活させるためのリフォームや修理修繕費は、経費として落とすこともできますので、不動産相続が発生した時点で確定申告を意識すると良いでしょう。

また空き家の相続では早めの売却が良い理由について、「【沖縄の実家相続】空き家の売却なら3年以内がお得な理由」でお伝えしていますので、コチラも併せてご参照ください。


 
まとめ

不動産相続後に確定申告が必要なケースとは

(1)収入がある不動産を相続する場合
(2)不動産自体を分割し現金化する場合
(3)相続した不動産を売却して現金にする場合
(4)相続した不動産を寄付する場合

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