財産目録の書き方に戸惑う方も多いですよね。遺言書を書き進める前に、財産を整理する意味合いでも、とても役立つ財産目録ですが、書き方や目的を間違えると、相続前も相続発生後も、結局役立つ資料にはなりません。
相続人の負担を軽減する目的が多い財産目録は、できるだけ詳細に書き方まで意識して作成するだけで、相続発生後に重要な資料になるでしょう。
今回は、相続発生後に財産目録が資料として役立つ書き方・項目を、財産目録を作成する目的や、メリットとともにお伝えします。
【沖縄の終活】財産目録の書き方☆
役立つ項目や注意点まで
財産目録とは
財産目録とは、所有している財産を克明に書き記した資料のことを言います。終活で役立つ財産目録の書き方としては、家財から負の財産まで、克明に細かく記載すると良いでしょう。
【 財産目録の書き方☆財産目録とは 】
● 「財産目録とは、財産を書き記した資料」とお伝えしましたが、財産目録の書き方としてはその財産の内容が大切です。
→ 財産には、下記3つの種類があります。
(1)公的財産 … 国や地方公共団体などの財産
(2)法人財産 … 企業などが保有する財産
(3)私的財産 … 個人が保有する財産
財産目録の書き方として、終活の場面での目的は(1)遺言書を書く時に役立てるため、(2)遺産分割協議をスムーズに進めるため、(3)相続人が相続税申告をする時に有効な書類として、の3つがあるでしょう。
【 財産目録の書き方☆記録される財産 】
● このような目的で作成する財産目録の書き方としては、下記のような項目が含まれることになります。
(1)現金・預金財産の詳細
(2)不動産などの資産
(3)借入金や住宅ローン(負債財産)
※期限内であれば、相続放棄の選択が良い場合もあるので、負債財産まで克明に記すことがポイントです。また長期療養をしている場合には、医療費の未払い分も入ります。
大まかにこのような内容を、当事者や関係する第三者にわかりやすく説明できる資料として一覧表などに記録するのが、財産目録の役立つ書き方です。
このように財産目録の書き方として、制度的に内部資料を目的としていること、広く公開できる資料として作成するという性格を理解して進めると良いでしょう。
終活目的の財産目録
財産目録の概観は以上ですが、それでは、これが個人いわゆる私的財産整理のために作成する財産目録の書き方になると、どこまで押さえて記録するとよいのか…、書き進めるのに戸惑う方も多いのではないでしょうか。
そこで日常生活における財産管理とは違う人生の終末を前提とした、終活目的の財産目録の書き方について紹介していきます。
【 財産目録の書き方☆終活目的の場合 】
● 終活とは「人生の終わりのための活動」ですので、下記のような事柄が盛り込まれるでしょう。
(1) 人生の振り返り
(2) 人生の終末へ向けた準備(他者への引継ぎ)
→ この2つを目的とした活動が終活ですから、財産目録の書き方としては、頭の中にある財産情報を整理して、他者に分かりやすく伝えることを意識してください。
預金通帳やネットバンキングなど、意外に自分でも整理をしないとごちゃごちゃと複雑になっている場合が多いです。この絡まりを解いて、他者へ資料として預けるような感覚でしょう。
【 財産目録の書き方☆書きやすさ 】
● ただ財産目録には、決まった書式はありません。従って、書き方に制約がないので自由に記録することができます。
→ そんなことも踏まえて下記のように進めて行けば、スムーズに進めやすいです。
(1)最初に自分の財産全てを洗い出す
(2)洗い出した財産の一つ一つを整理する
(3)財産目録に細かく書き込む
…終活を目的とした財産目録の書き方は、このようにしてまずは取り掛かると、自然と整理がつけやすくなります。
財産目録の書き方とメリット
前述したように財産目録の書き方には、このように書かなければいけないと言う決めはありません。まずはメモ書きでもよいですから、財産の全てを書き出して一覧にできるように整理していくとよいでしょう。
【 財産目録の書き方☆メモから始める 】
● 財産目録の書き方は、このメモから始まります。できうるならば、一枚に一資産というように整理がついていると書きやすくなるので試してみてください。
→ 実際、財産目録に書き写すときに資産ごとに並び変えることができて、更に書き忘れた資産の確認もしやすくなります。
メモの並び替えには、現金・預金などの資産と借入金や住宅ローンなどの負債資産に取り分けておくと更に整理はしやすくなるでしょう。
【 財産目録の書き方☆資産整理の項目 】
● 下記のように、手元に残る財産(正の資産)と返済や支払義務などがある財産(負の資産)に区分して整理します。
※ また、カードやインターネット関連の自分にしかわからないIDなどがついている資産の記録も記載してください。
具体的な書き方としては、このように正の資産から順に負の資産、そしてカード類と言うように項目順に財産名称・記号番号・金額というように、一覧表に整理して行くと、記録の書き直しや第三者への説得力のある財産資料を書くことができます。
財産目録を書くメリット
財産目録の最大のメリットは、遺族への貴重なメッセージになる点です。そして遺族にとっては、故人の残した財産の把握がしやすいでしょう。いずれにしても財産の大小に関わらず、故人の私有物は遺産相続の対象です。
【 財産目録の書き方☆遺産相続 】
● 遺産相続には、複数の法定相続人がいる場合「遺産分割協議書」を作成して、相続する資産の配分をしなければなりません。
→ そのためには、故人(被相続人)の財産状況が明瞭でなければなりません。そこで役立つものが終活で残された財産目録です。
それでは、財産目録を書くメリットには、どのようなことがあるのか列記します。
自分の財産の把握ができる
財産の形態は、形のあるものとないものがあります。相続財産の書き方に沿って進めることで、これらの物を、改めて財産目録に整理することで、財産の把握ができる点がメリットです。
そして相続資産として残すべきものと、そうでないものの生前整理が容易にできます。
遺言書が書きやすくなる
終活で記録した財産目録は遺言書を書くことにも役立ちます。財産目録に記録された遺品を誰に引き継ぐのかなど、記録の整理がつけやすいです。
相続のトラブルを未然に防ぐ
相続には、相続人間で遺産分割の必要があります。
【 財産目録の書き方☆トラブルを防ぐ 】
● 放棄する場合もありますが、大概の場合は、法定相続人の協議により財産の分割が必要です。
財産目録の書き方に沿って進めると、そんな時のための大切な資料として財産目録が重視され、相続のトラブルを未然に防ぐメリットがあります。
遺産分割協議書が書きやすくなる
故人(被相続人)が残した財産は、相続人の協議による遺産分割ができていなければ、相続することができません。そんな遺産分割協議のための資料としても、財産目録は大切です。
相続税申告の必要性の確認ができる
相続には、相続税の申告納付義務があります。しかし、この申告も相続財産の金銭価値で、申告の有無が決められています。
【 財産目録の書き方☆相続税申告 】
● 必要経費と法定控除額などを差し引いた、残りの相続額に税額が計算されます。
→ 財産目録は書き方通りに進めると、このようにして相続税申告納付の必要の有無の確認資料として役立つでしょう。
このように終活時に作成した財産目録は書き方に添って進めると、さまざまなメリットを発見します。何よりも自分の財産の再確認ができるため、改めて自らの残された人生設計を見直す機会ができる点は大きなメリットでしょう。
財産目録に記載する項目
財産目録の書き方には決まりはありませんが、本人以外の家族や第三者に分かりやすく整理して書くことが書き方のコツです。
その場合は、手書きでもパソコンでも書き込みの手段は選ばないのですが、パソコンの場合はパスワードや保存場所の記録も忘れないようにしてください。
【 財産目録の書き方☆エンディングノート 】
● 近年の傾向は、エンディングノートに書き残すと言う方法があります。
→ 但しエンディングノートは遺言書のように法的効力はないので記録として残すための手段ということの理解が必要です。(エンディングノートについては別記事「エンディングノートの役立つ書き方☆必要な7つの項目と注意点」をご参照ください。)
財産目録の書き方として、記載する項目は(1)正の資産と(2)負の資産、そして、(3)その他の資産の順で記載すると分かりやすいことは前の項で触れましたが、それでは記載する項目はどの様にするとよいのでしょうか。
以上の様に財産目録の項目の一例ですが、財産目録の書き方としては、分かりやすく項目整理していくことがおすすめです。項目は任意ですので簡潔に整理できる方法は、自分で決めて順次書き込んで行きましょう。
財産目録作成の注意点
財産目録の書き方ポイントは、自分にも家族にもわかりやすく一覧表にして書き残すことです。
そして項目別に整理して、(1)正の資産と(2)負の資産で書き分けることが、ポイントになるでしょう。そして、この事以外にも注意することが必要なものがあります。
【 財産目録の書き方☆注意点 】
(1)預金口座などには消滅期限がある
… 概ね10年を超えた取引がない預金口座には注意が必要です。職権による消滅や別扱いなどになっている可能性があります。
(2) 不動産の記載
… 所有区分、権利(借地権など)などの関係、市区町村などでの不動産管理(課税評価など)による権利齟齬などがある場合に注意をしてください。(公的機関の証明事項との照合も注意しておくと良いでしょう。)
<財産目録の書き方で、忘れがちな財産>
・宝飾品や貴金属類など価値のあるもの
・ネットバンキングによる取引状況の書き込み
例えば財産目録の書き方として、宝飾類の価値評価や買取時の金額など、一般的に評価のしにくい財産などの書き込みにも注意が必要です。
このようにして書き損じのないように、細心の注意をして情報の整理をすることでよりよい財産目録ができ上ります。
いかがでしたでしょうか、今回は財産目録の役立つ書き方について、必要な項目や記載する項目、財産の内容や注意点についてお伝えしました。
財産目録は終活で着手する方が多いですが、自分の財産を整理することは、その後の相続税対策や相続発生後に配偶者や子ども・孫の方々が相続申告や財産分割がしやすく、トラブルを未然に防止できる少ない方法です。
今、「家は相続に困るほど財産はないから…」と言う方も多いですが、家と言う不動産財産を一件所有していても、相続税や遺産分割のトラブルになり得る時代ですので、自分亡き後にも明瞭に財産を第三者が把握できる財産目録は大変役に立つでしょう。
終活で財産目録で役立つ相続税の掛かる財産については、別記事「【沖縄の終活】相続税が掛かる財産は預貯金だけ?課税対象になる財産」でお伝えしています。
まとめ
財産目録の書き方●財産目録に記載する内容
・現金・預金財産の詳細
・不動産などの資産
・借入金や住宅ローン(負債財産)●進めやすい財産目録の書き方
・最初に自分の財産全てを洗い出す
・洗い出した財産の一つ一つを整理する
・財産目録に細かく書き込む●財産目録の注意点
・預金口座などには消滅期限がある
・不動産管理の権利齟齬がないか確認●財産目録で忘れがちな項目
・価値のある宝飾品や貴金属類
・ネットバンキングの引状況