エンディングノートの書き方が分からず、途中で挫折する方は意外と多いですよね。
遺言書と違い、正確にはエンディングノートに書き方はありません。大学ノートなどで書き進めても良いですし、市販のエンディングノートの項目に沿って進めることも可能です。
ただ、だからこそ何をどのように書けば良いのか…、遺言書の補足として利用する方も多いだけに、書く手が止まる方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、より自由に進めながら相続発生時に役立つよう、エンディングノートの書き方で押さえるべきポイントをお伝えします。
エンディングノートの役立つ書き方☆
必要な7つの項目と注意点
エンディングノートとは
人生を振り返り思いの丈を記録して、自分の今とこの先の希望を書き記すと言う、ポジティブな記録を残す手段がエンディングノートと言えます。
エンディングノートには、形式もなく自由に書くことができると言うメリットがあります。
よく遺言書などと勘違いすることがありますが、エンディングノートには法的効力もなく、いわゆる自分の身の回りのさまざまを記録しておく備忘録的性格が強く、自分本位に自由に書き綴ることができるのです。
【 エンディングノートの書き方☆自由な形式 】
● 自由に自分本位に書き綴るエンディングノートは、こうしなければいけないという書き方のルールやこの書式に則った書類を用意しなければいけないという様なことは一切ありません。
→ この頃では市販されているエンディングノートもありますが、基本自分で用意した記録紙や市販のノートでOKと言う、形式にこだわらないことがエンディングノートのメリットです。
このようにエンディングノートとは、形式にこだわらない自分本位のさまざまを書き残して、後につなげるという希望があります。
なぜエンディングノートを書く?
エンディングノートは確かに法的効力はないものの、万が一の場合を想定した相続の場面で参考になる備忘録です。
相続に関する財産などのことには正確な記録が必要になります。エンディングノートは、自分以外の人に自分の全てを記録して残すと言う重要な役割があります。
【 エンディングノートの書き方☆目的 】
(1) 自分を振り返るため
… 自分の記憶の確認と家族が知らなかった人生の歩みを書き残すと意味合いがあります。
※ そんなエンディングノートは、箇条書きでも文章化してもか構いません。分かりやすく簡潔に書き残すことがポイントです。
(2) 家族への負担を減らすため
… 特に資産に関することなどは、できる限り詳細に書いておくことが重要なポイントです。
※ 普段は、表面には出てこない自分にしか分からないことなどを、メッセージとして残すことで家族への負担が軽減されます。
エンディングノートは、自分を知ってもらうという意味では最も重要で意義のあるものです。そのためには自分に正直にそして正確に記録しておくことが、自分以外の人に残す重要なメッセージなります。
エンディングノートに書く基本情報
偏に、相続に関するいたずらなトラブルを未然に防ぐための記録とも言えます。
【 エンディングノートの書き方☆基本情報 】
(1) 基本情報
… 住所(本籍地)・氏名・生年月日と血液型の他、簡単な家系的な記録(家系図等)も残しておくと相続発生時に役立ちます。
※ また住所等の記録は、市区町村に登録されている情報(住民登録)と同一であるよう、注意をしてください。
(2) 個人情報(デジタル情報など)
… 人的な部分の個人情報は、基本情報と重複するところはあります。最近では、マイナンバーカードにより公的機関で管理されています。
※ もう一つの個人情報は、SNSやカードなどのデジタル情報として登録したIDやパスワードです。
登録先のデータには、多分に個人情報が含まれています。解約しない限りデーターは残ってしまいますから、自分にしか分からないIDやパスワードは必ず記しておくことです。
エンディングノートに書く資産情報
エンディングノートは遺言書と違い法的効力はありませんが、もしも遺言書で財産分割の支持をした場合、その理由やそれぞれの相続人に対するメッセージなど、相続時にトラブルが起きないよう、補助的な役割を果たします。
またエンディングノートに財産目録を記載する方が増えました。財産目録のように細かくリスト化された資産情報は、相続人にとって相続税申告書の作成に役立ちます。
【 エンディングノートの書き方☆資産情報 】
(3) 資産情報
・土地や建物などの不動産
・預貯金(預金通帳や届出印の保管場所)
・インタネットバンキングの利用状況
・有価証券などの流動的資産
・謄本(権利書)や証書(証券)などの保管場所
・貸付(ある場合)
…などなど。
預金通帳と届出印の在りかは、明確に記入しておくことをおすすめします。インターネットバンキングなどの利用状況も同様です。
因みに、預貯金などは本人の死亡が確認されると金融機関で凍結されてしまいますから注意してください。
【 エンディングノートの書き方☆負債財産 】
● また、負債資産まで細かく記載します。この情報を元に相続人はプラスの財産と比較検討しながら、期限内に相続放棄の選択もできて役立つでしょう。
(4) 負債財産情報
・借入金
・住宅ローン
・固定資産税など、税金の延滞金
・医療費の延滞金
…などなど。
医療費の延滞金はギリギリまで分からない方も多いでしょう。終末期の医療費などは未払いのままになるケースも多いです。医療費に延滞があることだけでも記しておくと、家族はすぐに把握できます。
生命保険などの情報
この他、一部金額までは相続税の課金対象にはなりませんが、生命保険や受取人なども記載してください。
※ 生命保険の非課税枠については別記事「【沖縄の終活】相続税が掛からない?生前に購入したい非課税枠の財産」で詳しくお伝えしています。
【 エンディングノートの書き方☆生命保険など 】
(5) 保険関係
→ 公的には、健康保険証と年金証書があります。年金受給に関する情報も合わせて記入しておくことがよいでしょう。
※ そして任意的保険である生命保険や介護保険、傷害保険など人的補償に関する保険、建物やマイカーにかけている物的補償に関する保険など、証書の内容を記入しておくことも大切です。
エンディングノートは、遺言(遺書)とは違い法的効力はありませんが、記入された内容は、相続に関わる重要な情報が記されています。
【 エンディングノートの書き方☆生命保険など 】
(6) 特に現代、デジタル関連の情報で有形無形の記録が、被相続人亡き後も浮遊することも少なくありません。デジタル関連の情報は漏れなく記入してください。
家族や友人知人へのメッセージ
エンディングノートには、家族の心情的負担を軽減するため、また遺産分割協議がスムーズに進むために、個々に残したいメッセージがあります。
自分亡き後に、家族が罪悪感に苛まれないよう、後悔や哀しみよりも温かい思い出を過ごすよう、メッセージを残す目的でエンディングノートを完成させる方は多いです。
【 エンディングノートの書き方☆家族へのメッセージ 】
(7) 家族へのメッセージ
… 家族それぞれへの想いの他、それ以上に延命治療や献体、臓器提供など、家族が判断に思い悩んだり、むやみに親族に非難されることのないよう、配慮できる内容が役立ちます。
・延命治療/臓器提供/献体の有無 → 家族の負担などを考慮して延命治療は望まないというメッセージは多いです。
・信仰する宗教(宗派)や葬儀の方法(密葬・家族葬など)
→ 特に0葬(火葬場で遺骨を引き取らない葬儀)や散骨(遺骨を粉骨して自然に撒く葬送)など、まだ馴染みがなく賛否両論がありそうな形を残す場合、故人の遺志として明瞭に記載してください。
この他に細かな希望があれば、供養・納骨の方法や場所(お墓・霊園など)や遺影に使う写真も書き残すことができますし、遺言書がある場合には保管場所をエンディングノートで示しておきます。
【 エンディングノートの書き方☆友人知人 】
(8) 友人知人へのメッセージ
… 必要に応じて別紙を使って手紙の形で残しておくと、後々家族が便利です。
また、訃報を知らせて欲しい友人知人のリストや、それぞれの連絡先までエンディングノートに記入しておくと良いでしょう。
トラブルにならないポイント
エンディングノートは自分亡き後に、家族が相続に対するさまざまな手続きをスムーズに進めるために役立つツールです。遺産分割協議がトラブルなく進んだり、相続税申告が楽になるでしょう。
ですからトラブルの種を作らないよう書き進めることも、エンディングノートの書き方ポイントです。
【 エンディングノートの書き方☆トラブルを避ける 】
(1) 定期的に見直す
… エンディングノートは自分の終末を予期して書き記すものですが、その内容は変わることがあります。
※ 記入したエンディングノートは、その都度状況の変化に応じて後々のトラブルを防ぐためにも見直すことが大切です。
(2) 本心を明確に書き綴る
… どちら着かずの優柔不断な書きようは、得てしてトラブルのもとになります。たとえ法的効力のないエンディングノートでも、相続には重要な資料になるからです。
残された家族には寂しさもあり、これからの希望もあります。そんな家族が円満な生活が送れるよう、トラブルにならないよう、克明且つ正確に記載することが、トラブルにならないエンディングノートの書き方です。
いかがでしたでしょうか、今回は自分の人生を振り返りながら、相続発生後に家族に役立つ、エンディングノートの書き方についてお伝えしました。
エンディングノートは、自らの死期を想定した上で書き残すメッセージです。遺言書のような効力はありませんが、ダイレクトに相続に関する内容も含まれ、無視できない生前の記録となるでしょう。
ですから相続財産や残したい事柄を洗いだしたら、一つ一つ整理して書き進めます。今では40代50代からエンディングノートを書き始め、定期的に見直すスタイルも多いでしょう。
※ 財産目録については別記事「【沖縄の終活】財産目録の書き方☆役立つ項目や注意点まで」でお伝えしています。
まとめ
エンディングノートの書き方
・基本情報
・個人情報(デジタル情報など)●財産目録
・資産
・負債財産
・保険関係●メッセージ
・家族(延命/臓器/葬送の希望)
・友人知人●トラブルを避ける
・定期的に見直す
・本心を明確に書く