ひとつの沖縄の家で起きる相続は、一次相続・二次相続と二回訪れます。そのため沖縄の家では二次相続まで考慮した相続税対策を踏まえつつ、財産を分けますよね。
けれども現実的な生活を鑑みた時、沖縄の家族では一次相続の時点で、子ども達が相続放棄を行い、母親(若しくは父親)が全ての相続財産を受け取るケースを多く見受けます。これはどのような理由からでしょうか。
今回は、沖縄の家庭で一次相続に多い、相続財産の全て、若しくはほとんどを母親(若しくは父親)が受け取る事例、そしてその方が良い理由についてお伝えします。
【沖縄で家の相続】一次相続では
母親(父親)が相続する方が良い理由
沖縄の家、一次相続と二次相続のあらまし
ひとつの沖縄の家で相続が発生するのは、子ども達から見て、父親若しくは母親が亡くなった時の一次相続、そして両親ともに亡くなった時の二次相続です。
【 沖縄で家の相続☆一次相続と二次相続 】
(1) 一次相続 … 配偶者が亡くなった時の相続を一次相続と言います。子どもの立場から見ると、両親の片方が亡くなった時の相続です。
→ 一次相続では法的に、配偶者に全相続財産の半分が配分され、残りの半分を子ども達が均等に分けます。
(2) 二次相続 … 残された配偶者が亡くなった時、子どもの立場から見ると、両親ともに亡くなった時の相続です。
→ 二次相続では法的に、残された全財産を子ども達が均等に分けます。遺言書などで被相続人(故人)の遺志が偏っていたとしても、子ども達にはそれぞれ「遺留分(いりゅうぶん)」と言う、一定の相続財産を受け取る権利があるでしょう。
一次相続では残された母親(若しくは父親)である配偶者に、全相続財産の半分が配分されることが法的に決まっていますし、子ども達も母親(若しくは父親)を前にして不平不満を言うことはほとんどありません。
そのため多くの沖縄の家で相続時にトラブルへ発展するケースは、二次相続の時点です。
ただ今回は、沖縄の家で一次相続時点で、子ども達が相続放棄をし、配偶者(子どもの立場から見ると両親)が全財産を受け取るケースが多い背景についてお伝えします。
沖縄の家で、相続税のシュミレーション
沖縄の家で相続税対策のみを考慮してしまうと、一次相続時点で配偶者(両親)の配分を半分より少なくして、残りを子ども達で分けた方が、二次相続時点での数字としては理にかなっているケースが少なくありません。
【 沖縄で家の相続☆配分で違う相続税のシュミレーション 】
● それでは、沖縄の家で相続する家が評価額8,000万円、預貯金財産7,000万円とした場合のシュミレーション(相続財産1億5,000万円)
※ 父親・母親に二人兄弟、父親が先に亡くなった場合
(1) 法的な配分(法定相続分)に基づいた相続 … 母親が半分(7,500万円)、子ども2人が1/4(3,750万円)を相続することになります。
・母親は配偶者控除(※)により相続税0円
・子ども達の相続税は兄弟合計で745.5万円
(2) 母親が一次相続で全財産を相続する場合
<一次相続>
・母親が全相続財産(1億5千万円)を相続し、配偶者控除(※)により相続税は0円
<二次相続>
・母親が相続財産を使わなかった場合、1億5千万をそれぞれ半分に配分したとして、兄弟合計で1,840万円
…とは言え、このシュミレーションは少し現実的ではありません。一次相続から二次相続までの間に母親が全く相続財産を使わないケースはほぼないからです。
また、多くの沖縄の家で相続には不動産財産が入りますから、売却でもしない限りは、全く法定相続分通りに配分されることはほとんどありません。
けれども母親が一次相続と二次相続の間に、どれくらいの相続財産を使用するかは未知数と言えます。
ただひとつ言えることは、沖縄の家を一次相続時点で母親が相続した場合、「配偶者の税額軽減」措置、もしくは「小規模宅地の評価減」措置によって、多くの沖縄の家で相続税が0円となる点です。
【 沖縄で家の相続☆配偶者に適用する税額軽減 】
● 沖縄の家で一次相続(配偶者の相続)において、相続税の支払い義務により、今まで住み慣れた家を売却するなどの事態を避けるため、下記のような税額軽減措置が取られます。
(1) 配偶者の税額軽減 … 配偶者が相続する場合、1億6千万の上限まで相続税が掛かりません。
(2) 小規模宅地の評価減 … 同居家族が沖縄の家を相続して住み続ける場合、評価額が80%まで下がります(その評価額に基づいて相続税も下がる仕組みです)。
…このいずれかの軽減措置により、多くの沖縄の家で一次相続において、母親(もしくは父親)に相続税はほとんど掛かりません。
※ 詳しくは別記事「沖縄で家の相続をする機会は二回☆一次相続と二次相続で違う問題とは?」などをご参照ください。
沖縄の家、一次相続から二次相続までの期間
一方、沖縄の家で、敢えて一次相続で子ども達が相続放棄を行い、「お母さん(お父さん)が全て相続すると良いよ」とするケースが多いのは、親子の良い関係性のためであると同時に、両親のその後の生活を考慮した結果です。
2014年度税理士法人レガシイ調べでは、妻を亡くしたケースでの二次相続までの期間は10.6年、夫を亡くしたケースでの二次相続までの期間は17.6年でした。
また、2020年に厚生労働省が発表した簡易生命表では、男性の平均寿命が81.64歳、女性の平均寿命が87.74歳となり、その記録は最高年齢を示しています。
【 沖縄の家で一次相続に母親(父親)が相続する理由 】
● そこで沖縄では家の一次相続で、相続税の節税以上に、「両親のその後の生活(老後生活)」を考慮した結果、母親(父親)に全財産を相続してもらうケースが多いです。
→ 同居・二世帯住宅で母親名義にした事例
※ 相続税対策としては、二次相続時点での相続税まで検討されましたが、それよりも、母親が肩身の狭い気持ちにならないよう、母親の相続分にしました。
実際にこの沖縄の家庭では、相続税シュミレーションをしてみると、この家では二次相続時点での相続税まで考慮した場合、本来であれば一次相続時点で子どもが相続した方が数十万円だけ得をする結果が出ています。
けれども母親の性格を考慮して、また、「そもそも父親が建て、母親が住み続けた家であれば、母親の持ち分としよう。」と子ども達で話し合い、沖縄の家は母親の相続としました。
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄の家で、一次相続時点で母親(もしくは父親)が100%全額相続をするケースが多い理由についてお伝えしました。
「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地の評価減」によって、配偶者が相続した方が沖縄の家で、一次相続時点の相続税が掛からないことは確かですが、両親ともに亡くなった二次相続まで考慮すると、必ずしも相続税対策として得策とは限りません。
ケースによってそれぞれシュミレーションすると、沖縄の家では相続財産によってさまざまです。
けれども一次相続から二次相続までが10年~17年ほど(の平均値)と長くなった現代、沖縄の家では相続税対策以上に、配偶者を亡くした両親の今後の生活を考慮して、母親(若しくは父親)の今後の生活を重視した結果と言えます。
沖縄の家では相続税対策シュミレーションによる数字も大切ですが、実際に両親の暮らしを想像して、より自由で充実した暮らしへの配慮が大切になってくるのかもしれません。
まとめ
一次相続で両親の100%相続が多い理由
●ひとつの家で二回の相続がある
・一次相続…配偶者が亡くなった時
・二次相続…両親ともに亡くなった時●二次相続までの相続税対策
・法定相続通りの方が税金対策になる事例もある●全額配偶者が相続する事例が多い理由
・配偶者亡き後の暮らしに考慮した結果