沖縄で家を相続した後も住み続ける時の小規模宅地の評価減とは?

2022/2/20

沖縄で家を相続した後も住み続けると適用する「小規模宅地の評価減」とは?
同居家族が沖縄の家を相続した場合、相続後も住み続けるケースでは「小規模宅地の評価減」制度が適用する可能性が高いです。

今後も住み続ける沖縄の家を相続したいものの、不動産財産は評価額も高くなりがちですから、「相続税の支払いによって家を手放さなければならないのでは?」と不安の声も多いですよね。

沖縄で家を相続後も住み続けるケースは、高齢の配偶者も多いです。そのためこのような事態を避けるために整備された制度と言えます。…ただ、80%も評価額が下がる制度ですから、要件も細かく複雑です。

今回は、沖縄の家を相続して住み続ける時に利用したい「小規模宅地の評価減」制度についてお伝えします。
 

沖縄で家を相続した後も住み続けると適用する
「小規模宅地の評価減」とは?

 

 

「小規模宅地の評価減」とは

「小規模宅地の評価減」とは
同居家族や生計を共にしている家族が、沖縄の家を相続した場合、その後も住み続ける時に適用する制度が、「小規模宅地の評価減」です。

この制度を利用することで、相続税額を決める基礎となる評価額が、居住用の宅地の場合では80%も引き下げられます。

ただ居住用の宅地ばかりではなく、賃貸用や事業用の宅地でも、今後も継承する場合に適用するケースが多いです。

【 沖縄で家を相続☆小規模宅地の評価減とは 】

● 故人が居住用、事業用、賃貸用として所有していた土地を、要件を満たした相続者が相続し、その後も居住、継承・継続した場合に「小規模宅地の評価減」が適用するケースは以下の三種となります。

(1)故人と被相続人が居住していた宅地
→ 故人と同居していた家族、もしくは生計親族(生計を共にしている家族)、配偶者が相続し、相続後も住み続ける場合(要件)、330㎡以下の住宅用地まで80%の評価減を受ける制度です。

(2)故人が事業を行っていた事業用の宅地
→ 要件を満たした相続人が相続し、その後も事業を続ける場合、400㎡以下の宅地において80%の評価減を受けられます。

(3)故人が賃貸用に所有していた宅地
→ 要件を満たした相続人が相続し、その後も続けて賃貸を継続したケースにおいて、200㎡以下までは50%の評価減が可能です。

例えば、故人(被相続人)が生前に夫婦で事業を営んでいたとして(事業主は故人)、配偶者が居住用の宅地(1)事業用の宅地(2)の双方を相続した場合、居住用宅地(1)と事業用宅地(2)の小規模宅地の評価減制度は併用できます

この場合、居住用の宅地(1)が上限330㎡まで、事業用の宅地(2)が400㎡までなので、合計730㎡までの適用です。
 

要件は合っている?


このように沖縄では特に同居家族が家を相続した場合に適用される、「小規模宅地の評価減」制度ですが、実際に適用する場面に遭遇すると、「これって要件に適用していないのでは?」との相談も多く見受けます。

【 沖縄で家を相続☆小規模宅地の評価減に適用する? 】

(1)故人(被相続人)が亡くなる日まで老人ホームに居住していた場合

→意外に相談が多いケースです。配偶者であれば問題なく適用を受けますが、子どもなどの場合、どのような経緯で老人ホームに入ったのか、がポイントです。

※例えば、要介護認定を受けて老人ホームに入ったケースなどでは、小規模宅地の評価減に適用します。

(2)故人(被相続人)と一緒に暮らしていない学生の子ども

→例えば、高校や大学進学によって実家を出て暮らしているものの、家賃など生活費は故人(被相続人)となった親が出していた…、などの事例ではどうでしょうか。

※「同居家族と生計を共にしている家族」、法的には「生計一親族」に当たり、多くのケースで適用します。故人と同じ家計で暮らしていることを差しますので、多くは子どもが多いでしょう。

しばしば見逃されがちなのですが、(2)のように、小規模宅地の評価減制度を子どもの相続に適用する事例では、何も二次相続(両親共に亡くなった場合の相続)に限った話ではありません。

例えば、親子三人(父親・母親・大学生の子ども)がいたとして、子どもは大学進学により仕送りを受けながら上京しひとり暮らしの家族でも、父親が亡くなった時には小規模宅地の評価減制度を適用したいところです。

詳しくは次項で説明していきます。
 

配偶者の税額軽減とは

配偶者の税額軽減
沖縄では配偶者が家を相続し、その後も住み続ける場合に「小規模宅地の評価減」制度を利用するケースが多いですが、配偶者にはもうひとつ、「配偶者の税額軽減」制度が適用します。

けれども「小規模宅地の評価減」と「配偶者の税額軽減」制度は併用できません。そのため、いずれか減税額の多い制度を適用することになるでしょう。

そこで、沖縄で同居する子どもが家の相続で適用したい制度が、「小規模宅地の評価減」です。子どもと配偶者、双方で制度を利用することで、どちらも利用できます。

【 沖縄で家を相続☆配偶者と子どもで減税制度を利用する 】

● 一次相続(※1)では多くが、配偶者が相続財産の約半分を相続し、残りを子ども(複数いた場合は残りを分割)が相続します。

→そこで、今回は一人っ子(父親・母親・大学生の子ども)家族で父親が亡くなったケースとしてパターンを出していきましょう。

(1)「配偶者の税額軽減」では、相続財産の上限1億6千万まで、相続税が掛かりません。そこで配偶者(母親)は、相続財産の半額を相続し「配偶者の税額軽減」制度を利用します。

(2)「小規模宅地の評価減」では相続した宅地評価額×20%(80%減のため)で、相続税が計算されます。同居中の子どもはこの制度の利用が可能です。

※ ただし、子どもが「小規模宅地の評価減」制度を利用して相続した方が割安なのかは、それぞれの相続財産や家の評価額など、状況により違いますので、実際にシュミレーションを起こして検討してください。

また、このように沖縄の家を相続する時、配偶者と子どもが賢く減税措置を利用するためには、二次相続(※2)まで考慮してシュミレーションを出した方が安心です。

(※1)一次相続とは、一家族で最初に訪れる相続です。つまり夫婦のいずれかが亡くなり、配偶者が財産の半分を相続するパターンが多いでしょう。子どもの立場から見ると、両親のいずれかが亡くなった時が一次相続です。

(※2)二次相続とは、子どもの立場から見ると両親共に亡くなった時の相続が二次相続です。子ども同士で相続財産を分割するため、この時点で相続トラブルが多発します。
 

住み続けるか、売却するか

住み続けるか、売却するか
この他、故人(被相続人)に同居家族や配偶者がいなかった場合には「家なき子」と呼ばれる、相続人や小規模宅地の評価減制度の適用までありますが、一般的に沖縄で家を相続した場合、多いパターンは以上です。

一方、沖縄では家を相続しても「家が広すぎる」「思い出が詰まっていて、住んでいるのが辛い」などの理由で、配偶者にしろ子どもにしろ、相続後に引っ越す事例も急増しました。

このような場合には、築年数の古い家屋であれば、3年以内の売却で3,000万円までの特別控除の特例を受けましょう。

【 沖縄で空き家になった家を売却。相続後に住まない場合 】

● 沖縄で家の相続発生後、要件を満たした築年数が古い、空き家になった家屋を3年以内に売却した場合、不動産売買による譲渡取得額3,000万円までの控除の特例が認められます。

特に高齢者の一人暮らしになると、相続税は軽減されたとしても、その後のメンテナンスコストや掃除も一人では大変です。

3,000万円までの特別控除特例を利用するには3年の期限があるので、まずは相続発生後、早々に仲介不動産会社に査定を受け、相談をしてから決めても良いかもしれません。

※詳しくは別記事「【沖縄の実家相続】空き家の売却なら3年以内がお得な理由」や「【沖縄の実家相続】特例の3年間は、要件と数え方に注意!」をご参照ください。
 
 

いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で相続した家に住み続ける場合の減税措置、「小規模宅地の評価減」制度についてお伝えしました。

このように沖縄で家を相続した場合、その後も居住する配偶者や同居家族は、80%の評価減による相続税の軽減措置を受けることができますが、一点、注意したい点は、婚姻関係のない内縁の家族はそれに当たらない点です。

長く居住していた実態があっても、婚姻関係による配偶者が前提ですので、この点は注意をしてください。一方で生計を共にしているならば(家賃や生活費を故人が出していたなど)、別居していても配偶者であれば適用するケースも多くあります。

いずれにしても今後も住み続ける場合、築年数が古い家屋などはメンテナンスコストもままなりません。3,000万円までの特別控除特例と比較しながら検討してみてはいかがでしょうか。
 

 
まとめ

小規模宅地の評価減制度とは
●相続後も継承・継続・居住する場合

(1)故人の居住用宅地(同居家族/配偶者)
・330㎡以下
・80%の評価減

(2)故人の事業用宅地
・400㎡以下
・80%の評価減

(3)故人の賃貸用宅地
・200㎡以下
・50%の評価減

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