沖縄では相続した実家の売却が顕著ですよね。親世代が80代90代以上まで元気に暮らす近年、沖縄で実家を相続する頃にはすでに、子ども世代はマイホームを持ち安定した暮らしを築いている方が多くいます。
そのため今、沖縄では実家を相続しても空き家になるケースが多く空き家は維持費も掛かるため、少し思い出として残す期間を持ちながらも、最終的には売却を検討する家庭がほとんどです。
そんな沖縄で相続した空き家になった実家の売却ですが、「3年以内がお得」として売り急ぐケースも見受けますが、背景には平成28年に改正された特別控除の特例があります。
そこで今回は、沖縄で相続した実家を売却するのに「3年以内がお得」な理由、3,000万円の特別控除の特例についてお伝えしますので、どうぞ実家売却スケジュールの参考にしてください。
【沖縄の実家相続】空き家の売却なら
3年以内がお得な理由
3000万円特別控除の特例
沖縄の実家相続問題のみならず、全国的に深刻化しているのが「空き家問題」です。そのため国では少しでも空き家を解消するため、平成28年3月の税制改正により、国民が自ら放置された空き家を積極的に売却するように進めます。
これが築年数の古い空き家の売却時、3,000万円までの特別控除の特例です。
「あれ?以前から相続時には3,000万円の特別控除が適用されていなかったっけ?」と思った方もいることでしょう。ところが平成28年3月の税制改正では、より適用する範囲が広がりました。
【 沖縄の実家相続☆3,000万円特別控除、改正前と改正後の違い 】
(1) 3,000万円の特別控除、改正前
→ 3,000万円の特別控除が適用するのは、被相続人(亡くなった人)と同居していた家族のみです。
(2) 3,000万円の特別控除、改正後
→ 3,000万円の特別控除が適用するのは、被相続人(亡くなった人)の同居家族の他、同居していない相続人にも適用するようになりました。
以前は同居家族のみ適用されたため、多くは妻や夫などのパートナーに適用されるケースがほとんどでした。そうなると相続したパートナーも高齢者ですので3,000万円の特別控除が適用するとしても、住み慣れた家を手放す選択は少ないでしょう。
沖縄で二次相続により子ども世代が実家を相続しても、売却時に特別控除が適用する訳でもないため、実家は空き家のまま放置されます。
一方改正後の税制では、子ども世代まで3,000万円の特別控除が適用しますから、「空き家(実家)を放置して固定資産税など出費が続くよりも、適用期間内で売却してしまおう!」となることを見越した税制改正です。
【 沖縄の実家相続☆相続税や空き家に関するコラム 】
★ 沖縄の相続に関するお金や空き家に関しては、下記の記事でもお伝えしています。
・不動産を相続登記するメリット☆登記にかかる費用とは?
・【沖縄にある実家の相続】空き家相続に掛かるお金とは
・【沖縄の実家相続】相続税は2人に1人が払う時代って本当?
…などなど、どうぞ参考にしてください。
「3,000万円の特別控除」ってどれくらいお得?
とは言え、相続税に触れることは滅多にありませんから、3,000万円までの特別控除によって実際にどれくらいの違いになるのか…、ピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
簡単に言えば沖縄で相続した実家が5,000万円で売れた場合、3,000万円まで課税対象外になるため2,000万円分の課税です。
【 沖縄の実家相続☆3,000万円で空き家を売却した場合 】
★ それでは沖縄で相続した空き家(実家)が、3,000万円の譲渡額で売却できたとします。
→ 特別控除が適用されない場合20.315%の課税として(3,000万円×20.315%で)694万5千円です。
※ この3,000万円がまるまる非課税になるため、694万5千円の違いになります。
沖縄で実家を相続した後、売却するために解体業者に依頼して更地にしたり、リフォームをして売却するなどを考えると、お金も労力も掛かりますよね。
最近では沖縄から離れて本州で暮らす方々も多いため、仲介不動産会社に任せるとしても、売却活動の節目節目には帰沖しなければならず、交通費も掛かるでしょう。
一方でこのような労力や金銭面だけではなく、「生まれ育った故郷の実家がなくなるのは寂しい」として、なかなか心の整理が付かないまま、一年・二年と経ってしまうケースも多く見受けます。
このような気掛かりによって、沖縄では実家相続後に空き家になった物件は、ついついそのまま放置されてしまいがちでしたが、「3年以内の売却によって、694万5千円(上記ケースの場合)得をする」として、後押しされるケースは多いです。
【 沖縄で実家相続☆実家を売却する方法 】
★ 沖縄で相続した実家を査定、もしくは売却活動を進める流れやポイントについては、下記のコラムなどでもお伝えしています。
・沖縄で相続した不動産の査定☆住む選択も?売却するタイミング
・相続登記した不動産を売却する☆申請と準備の流れ
・【沖縄の不動産売買】空き家の価格相場☆賃貸・売却どっちがいい?
などなど、参考にしてみてはいかがでしょうか。
特別控除3,000万円を検討する際の注意点
ただ、沖縄で相続した実家を売却して3,000万円特別控除の適用を検討している場合には、要件はチェックしてから進めると良いでしょう。
国としては空き家の解消を目的としていますから、確かに明らかに築年数の古い(表現が悪いですが)いわゆる「ボロ家」であればだいたいが適用しますが、いくら沖縄で実家を相続したとしても築年数の浅い物件は適用外だからです。
また今回の特別控除3,000万円は適用期間が定められているので、事前にチェックしながら早め早めに売却活動へ歩を進める必要があります。
【 沖縄の実家相続☆特別控除3,000万円適用の注意点 】
(1) この税制改正の目的が築年数の古い空き家を解消することなので、1981年(昭和56年)以前の旧耐震基準の時代に建てられた家であることが要件です。
(2) 今回の特別控除3,000万円は平成28年(2016年)4月1日~令和5年(2023年)12月31日までの譲渡に適用されます。(2021年12月現在)
※ ただし、平成31年(2019年)12月31日から令和5年(2023年)と、以前にも適用期間が延長されたので、今後も動向は注目すると良いでしょう。
(3) 相続発生時から3年(の12月31日)までに売却を済ませた場合に適用します。
(4) 1億円以下の売却ケースでの適用です。
(5) マンションは適用されません。
…同じ沖縄で相続した実家の売却でも、国が「空き家」と認めるいくつかの要件を満たした売却において適用する制度なので、検討時には予めチェックをして、今後の売却計画を進めると良いでしょう。
沖縄で相続した実家を売却したケースでの失敗例や、要件において勘違いしやすいポイントなどについては別記事「【沖縄の実家相続】特例の3年間は、要件と数え方に注意!」にてお伝えしていますので、コチラを合わせてご参照ください。
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で相続した実家の売却を検討している場合、3年以内の売却がお得だと言われる理由、「3,000万円の特別控除」についてお伝えしました。
現代では「終活」も盛んになり、被相続人となる親の世代が積極的に生きているうちに相続税対策を進めようと、生前贈与を検討したり、相続前の実家リフォームを済ませたり…、などの事例が数多くあります。
※詳しくは別記事「【沖縄の実家相続】被相続人(親)が生前にできる対策とは」や「【沖縄の実家相続問題】親の生前から心掛けたい対策とは」をご参照ください。
また沖縄で相続した実家を売却する時の税対策としては、3,000万円の特別控除の他にも「取得費加算」などもあります。
詳しくは別記事「【沖縄の相続】実家売却で取得費加算と特例控除、どちらが得?」にて後ほどお伝えしていきますので、どうぞ楽しみにお待ちください。
まとめ
相続した実家売却は3年以内が良い理由
●3,000万円の特別控除の税制改正がされた
・改正前→適用するのは同居家族のみ
・改正後→同居していない相続人にも適用●3,000万円で売却して適用した事例
・特別控除の適用なし→20.315%の課税として694万5千円
・特別控除の適用あり→まるまる非課税● 注意したい要件
・1981年以前に建てられた家
・2016年4月1日~2023年12月31日までの譲渡に適用
・相続発生から3年(の12月31日)までに売却
・1億円以下の売却ケースでの適用
・マンションは適用されない