沖縄では不動産相続が多いものの、正確に分配できないためトラブルにもなりやすいですよね。
一次相続では父親/母親がそれぞれ実家に住み続ける解決法がほとんどですが、両親とも亡くなった時の子ども達による二次相続では、特に問題になるケースが多い傾向にあります。
昔の沖縄では同居家族が相続をすることで解決する事例が多くありましたが、昨今の沖縄では相続発生時、すでに子ども達それぞれが独立していて、なかには遠い本州で居を構えているケースも多いためです。
そこで増えた解決策が実家(不動産財産)の共有名義ですが、トラブルが多いのも現状にあります。今回は、そんな沖縄の不動産相続で増えた共有名義について、その問題点や注意点を概要とともにお伝えします。
【沖縄の実家相続問題】
共有名義での解決はトラブルの元?
沖縄で共有名義による相続
沖縄では実家の相続に共同名義を選ぶケースが増えました。以前と比べて同居する兄弟がいる世帯が少なくなったことがあります。
高齢化社会により両親の寿命も80歳・90歳と長寿化が進むなかで、すでにマイホームを建ててしっかりと居を構えている子ども世代が増えたことで、「今さらマイホームを売却して築年数の古い実家に引っ越しても…。」と考える人々も増えました。
【 沖縄の実家相続☆住む人がいない実家の相続 】
☆ 実家に住み続ける子どもがいない場合、下記のような解決法があります。
・実家を売却して現金化し、兄弟に分配する
・賃貸として転用する
・空き家として維持する
最近の沖縄では相続放棄による空き家問題が深刻化していますよね。沖縄の場合、相続放棄による影響は空き家ばかりではありません。個人墓地にお墓を建てる独特な風習があったためか、無縁墓地も増えています。
ただ全国的にも沖縄でも、相続放棄をしたとしても管理責任は残ることも知ってから選んだ方が良いでしょう。
空き家には維持費が掛かる
けれども空き家として維持するには固定資産税も掛かり、沖縄の空き家に高い相続税も掛かるとしてあまり勧めていません。
沖縄で相続した空き家になっていた実家も、多くの人々が管理費の高さで維持が難しく、売却する事例は多いです。
【 沖縄の実家相続☆空き家にはお金が掛かる 】
☆ 沖縄の場合は個人墓地の問題もありますが、居住者がいない実家を維持するには下記のようなコストが掛かります。
・居住用よりも高い固定資産税
・現金化されていないが、相続税が掛かる
・維持管理のためのコスト(業者依頼/自分で定期的に通う)
維持管理コストには近隣へ草木がはみ出さないなど、庭の定期的なメンテナンスや、築年数によっては定期的なメンテナンス・点検、修理修繕コストも必要です。
そうなるとマイホームを持っていれば自分達の住宅ローンもありますし、一人が全てを負担して維持するのは、あまり現実的ではありません。
なかなかすぐには売却できない
ただ沖縄では実家を相続時にすぐに売却する選択は少ない傾向です。思い出もいっぱい詰まっていて、「そんなすぐには売却できない」と言う心情的な理由があります。
そこで沖縄で増えた相続方法が、兄弟間での共有名義です。
【 沖縄の実家相続☆兄弟間での共有名義 】
☆ 3つの選択肢のなかでも「空き家として維持する」場合に兄弟間で共有名義にして、平等に分配しながら、平等に維持・管理への負担を担います。
実は空き家になった沖縄の実家を相続すると言うことは、プラスにならないばかりか、経済的にも肉体的にもかなりの負担になり得ます。
居住用ではないため固定資産税も高く、現金が入らないなか相続税も支払わなければなりません。空き家の維持・管理に定期的に訪れることも必要ですし、修理・修繕コストも掛かる訳です。
【 沖縄の実家相続☆実家の活用 】
☆ これらの負担を兄弟で分担して、両親の思い出が詰まった記念館として残したり、お正月や旧盆など、定期的に集まる場として使う沖縄の人々が増えました。
特に沖縄ではトートーメー(先祖代々位牌)を実家に残したまま、空き家として維持するケースが増えています。
共有名義の注意点
けれども沖縄の実家を相続する際に共有名義がベストな解決方法かと言えば、そうとも言えません。気ごころの知れた兄弟間での共有名義だけに、これがキッカケで争いが起きる事例も増えています。
【 沖縄の実家相続☆共有名義でのトラブル 】
☆ 沖縄の実家相続で共有名義トラブルには下記のような事例がありました。
(1) 修理修繕や建て替え、リフォームなどのタイミング
(2) 兄弟の一人が売却を望んだ
● 売却で意見が一致した場合
・リフォームをしてから売却するか否か
・急いで売却するかなど、売却のタイミング
(3) 実家を解体して更地にしたい兄弟がいる
・更地にして売却するなど
…などなどです。沖縄の実家を共有財産として相続することで、それぞれが自由に不動産財産を動かすことができません。それぞれに意見があるため、なかなか意見が一致せず、結果的にトラブルを引き起こします。
特に売却に至っては売却までは意見が一致しても、「すぐにでも現金が欲しい!」と売却額が安くなっても売り急ぐ兄弟もいれば、「買い叩かれたくない!」と慎重になる兄弟もいるなど、意見の不一致が多い傾向です。
共有名義でトラブルを起こさない対策
このように沖縄では実家の相続で共有名義には不安要素が多い一方、前述したように心情的にはすぐに売却して均等に分配…、ともなかなかすぐには割り切ることができません。
ですから、住む人がいない空き家になる沖縄の実家を共有名義で相続するならば、予め「〇年までは維持して、〇年に売却(更地にして土地を売却)」など、スケジュールを決めてしまう方法も一案です。
【 沖縄の実家相続☆スケジュールを予め決める 】
☆ そこでおすすめしたいスケジュールが、「相続後3年以内に売却」となります。
→ 実は、全国的に相続放棄による空き家問題が深刻化しているため、政府は空き家解消のために売却を後押しする政策として、平成28年3月末に「空き家の売却における3,000万円までの特別控除」を特例として制定しました。
今までも両親がパートナーを失った際に、家を売却すると3,000万円の特別控除が適用されましたが、平成28年の改正では子ども達による二次相続においても、売却時に特別控除が適用になった流れです。
ただしこの特別控除が適用するのは、相続発生後3年以内となり、兄弟間でスケジュールを決めるには良いきっかけになります。
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で実家の相続が発生した時、思い出が詰まった実家をなかなか売却できない場合に選ばれることが多い選択肢「共有名義」についてお伝えしました。
一度沖縄の実家を共有名義で相続してしまうと、その後の修理修繕やリフォームはもちろん、売却でもそれぞれの意見が一致せずに、期せずしてトラブルも起こしかねません。
もしも共有名義を選ぶのであれば、いくら兄弟間でも大人になってからトラブルが起きると、しこりも残りやすいですから、最初に今後の実家の取り扱いスケジュールを兄弟で決めて、共有名義にすると良いでしょう。
まとめ
共有名義の問題点
・実家をすぐに売却できない人は多い
・空き家の相続は費用が掛かる
・兄弟で共有名義にする選択
・意見が合わずトラブルも起きやすい
・予めスケジュールを決めておく
・売却するなら3年以内がベスト