近年、全国的には地震の頻度が少ない沖縄ですが、注文住宅に耐震性を求める声が増えています。
2021年7月には伊豆で土砂崩れが起きましたが、それ以前にもより身近な2016年の熊本地震など、他人事ではない災害を目の当たりにすると、これから沖縄で注文住宅を建てるなら、地震対策は万全にしたいですよね。
ただ沖縄で耐震性の高い注文住宅を建てるのであれば、地盤調査から始まり耐震性能の高い装置を組み込むなど、それなりのコストは掛かるため、予め予算計画に組み込む必要があります。
今回は、沖縄で耐震性能が高い注文住宅を建てる時の対策と、それぞれに掛かるコスト目安をお伝えします。どうぞ参考にしてください。
これから沖縄の注文住宅は耐震性!
地震に強い家のコスト目安
2021年現在の一般的な耐震性能
1981年以前に建てられた沖縄の注文住宅の場合、以降に施行された「新建築基準法」に適用していない建造物も多いため、対応修繕が施されていない場合は不安も多いですが、1981年以降は「新建築基準法」に基づいています。
【 沖縄の注文住宅☆新建築基準法 】
★ 新建築基準法により定められた新耐震基準は、1978年の宮城県沖地震を踏まえて改正された耐震基準です。
→ 地震の震度6強~7を目安とした耐震基準で、地震による損傷はあっても倒壊・崩壊をしないよう、従来の一次設計基準(許容応力度計算)に加えて二次設計(保有水平耐力計算)が盛り込まれました。
また2000年度には鉄筋コンクリート造りには対応していないものの、木造住宅に対してはさらに建築基準法の改正が行われ、地盤調査が義務付けています。
2021年7月に静岡県伊豆で起きた土砂崩れは盛土も要因のひとつと言われていますが、地震対策に地盤調査は不可欠です。弱い地盤は地震に弱く、補強工事を行わなければ、危険にさらされることになります。
まだ初期段階で地図などから地盤強度をチェックする方法については、別記事「沖縄の注文住宅☆自分でできる地盤強度のチェック要素」でもお伝えしていますので、コチラも併せてご参照ください。
地盤強度に対応した対策
ジャパンホームシールド株式会社で地盤サポートマップが提供されていますが、沖縄の注文住宅においても「どのエリアで新居を建てようかな…。」ほどの、最初の段階で活用するには便利です。
ただ将来的な地震の可能性に備えて本格的に耐震性の高い沖縄の注文住宅を建てようとする場合、施工業者に頼らずに自分達でも地盤調査を依頼するケースが増えました。
2013年東日本大震災以降、2016年熊本地震など続く予期せぬ大地震を目の当たりにして、沖縄の注文住宅でも耐震性能の高い家は優先順位の上位に上がっています。
【 沖縄の注文住宅☆地盤調査 】
★ 今、沖縄で注文住宅を建てる時には、簡易なスウェーデン式サウンディング試験(SWS試験)が一般的です。
→ 料金は一般的な沖縄注文住宅なら、1か所5万円~10万円前後で依頼できます。敷地面積によって料金は変わるため、広いほど高くなると考えてください。
この他にもスクリュードライバーサウンディング試験(SDS試験)やボーリング調査(標準貫入試験)などがありますが、このような表面波探査法はぐんと高くなるため、まずはスウェーデン式サウンディング試験を依頼してみてはいかがでしょうか。
沖縄の注文住宅では調査結果によって後々地盤工事を依頼する可能性もありますので、実績のある施工業者を選ぶとともに、依頼時には施工業者の補償制度までチェックしておくと、思いがけないトラブル時に安心です。
地盤が緩い時に施す改良工事と目安
沖縄の注文住宅で建設予定地の地盤が緩かった場合には、地盤改良工事をしなければなりません。地盤の緩い部分が地表からどれくらいの深さで発生しているのかによって、対策も変わってきます。
【 沖縄の注文住宅☆地盤の状態に合わせた改良工事 】
(1) 表層改良 → コスト目安30万円~50万円
・表層の浅い部分(目安は地表から2m前後)で地盤が緩んでいた場合に行う改良工事です。セメントで緩い地盤を固めます。
(2) 柱状改良 → コスト目安40万円~70万円
・表層改良よりも少し深め(目安は地表から2m~10m前後)に地盤の緩みが確認できた場合に行う改良工事です。柱の杭を丸く打ち込んで上部の建造物を充分に支える地盤に改良します。
(3) 鋼管杭改良 → コスト目安60万円~100万円
・地表から深い部分(目安は地表から10m以上)で地盤の緩みが確認できた時に行う改良工事です。深くまで鋼管を打ち込むことで建物の支えを強固にする工事で、多くの鋼管を深くまで通します。
※ 良好な強固な地盤が届く深さがどのエリアまでなのか(何mまで深いのか)によって、工事内容も変わってきますし、深さによってコストも上がると考えてください。
沖縄の注文住宅では地盤が強固な良好地盤の場合には「布基礎」と呼ばれる鉄筋コンクリートの基礎が一般的ですが、軟弱地盤が確認できた場合の基礎は「ベタ基礎」と呼ばれる鉄筋コンクリート部分が広い基礎や、このような杭基礎が撃ち込まれます。
ベタ基礎など、基礎工事については別記事「沖縄の注文住宅☆欠陥住宅に陥らない基礎工事の基礎知識」でもお伝えしていますので、コチラを合わせてご参照ください。
耐震性能を高める装置
1981年から新建築基準法が施行されて以降、新しい耐震基準に対応した新築住宅やすでに建てられた住宅でも修繕や建て替えによって、新建築基準法に対応します。
けれども1995年1月に起きた阪神・淡路大震災当時はまだまだ旧建築基準法に基づいた家も数多く残されていました。このような新建築基準法に対応していない住まいは「既存不適格住宅」と呼ばれていましたが、この既存不適格住宅の震災被害は甚大でした。
新しく建ててた住宅ほど被害を免れる結果となり、これは世間に耐震性能の重要さを知ら締めます。
【 沖縄の注文住宅☆耐震装置の導入 】
★ そこでニーズが高い性能が耐震装置の導入です。例えば、下記のような装置があります。
(1) 制震装置 → コスト目安50万円~100万円
・沖縄注文住宅の壁に組み込む装置で、地震を壁で吸収して柔軟に揺れを減らす仕組みです。
(2) 免震装置 → コスト目安250万円~450万円
・基礎と沖縄注文住宅の間で設置する装置で、左右に地震を逃がすことにより揺れ自体を建物へ少しでも伝えないよう、作られています。
その後、2013年東日本大震災や2016熊本地震など、度重なる震災を目の当たりにするなかで、沖縄の注文住宅でも「より地震に強い」耐震性能を備えた家を重視するオーナーが増えているのが現状です。
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄の注文住宅で近年は特にニーズの高い、地震に強い家を建てるための基礎知識として、地盤調査や地盤改良工事、耐震装置の概要を、それぞれのコスト目安とともにお伝えしました。
2021年には静岡県伊豆山で大雨による土砂崩れが起き、その要因に盛土が取り上げられていましたが、地震に強い家を目指す時に、傾斜地における盛土(もりど)や切土(きりど)などの造成地には注意が必要です。
盛土や切土を地盤としたエリアであっても充分に締め固めを行っていれば、長雨被害のない地域もありますが、充分にチェックをするか、できればより安心できるエリアへの変更も検討してみることをおすすめします。
※盛土や切土などの造成地については別記事「沖縄で注文住宅を建てる☆土地選びで避けたいチェックポイント」でお伝えしていますので、コチラも併せてご参照ください。
まとめ
地震に強い家を建てるコスト目安
・現在の耐震基準は地震の震度6強~7が目安●地盤調査
スウェーデン式サウンディング試験が一般的(5万円~10万円)●地盤改良工事
・表層改良 コスト目安30万円~50万円
・柱状改良 コスト目安40万円~70万円
・鋼管杭改良 コスト目安60万円~100万円●耐震装置
・制震装置 コスト目安50万円~100万円
・免震装置 コスト目安250万円~450万円