全国的にも沖縄でも実家を相続することになって、その扱いに悩む人々の声は多いですよね。30代・40代が平均的な相続年齢だった昔と違い、50代や60代で沖縄の実家を相続するケースが増えた今、移り住むにはすでに今の生活に慣れ過ぎています。
そのため居住目的で沖縄の実家を相続できず、空き家扱いにより何倍にも高くなる固定資産税や管理・維持費に悩むものの、売却もスムーズに進まないとの相談も多いです。
しかし反対に考えると、沖縄の実家を相続するであろう子ども達が充分に成人しているため、両親の生前に、後々問題にならないための相続対策も取りやすいのではないでしょうか。
今回は、沖縄の実家相続問題に対して、子ども達が生前にできる対策を、特に親ではなく子ども中心で進める事柄を中心にお伝えします。どうぞ参考にしてください。
【沖縄の実家相続問題】
親の生前から心掛けたい対策とは
沖縄の実家相続に多いトラブルの傾向とは
沖縄でも実家の相続に伴う相続人間のトラブルは多々ありますが、できるだけトラブルの少ない相続をしたいですよね。
全国的にも沖縄でも「実家の相続トラブルなんて、金持ちの起こす問題!」とする人々も多くいますが、相続財産が少ない家の方が、相続人の間でトラブルが多発しています。
【 沖縄の実家相続問題☆相続財産の少ない家こそ、トラブル多発 】
★ では、相続トラブルにより裁判所へ持ち込まれた調停案件の件数を、相続財産の総額5,000万円以上と、5,000万円以下で確認をしてみましょう。
(1) 相続財産の総額5,000万円以上 → 裁判所案件1,684件
(2) 相続財産の総額5,000万円以下 → 裁判所案件6,700件
※ 2013年司法統計調査より
このように相続財産の総額5,000万円以上の案件に比べ、5,000万円以下では3.97倍もの案件がこじれて裁判所まで持ち込まれています。
「家はそもそも5,000万円も相続財産がないよ」と言う方もいますが、これは沖縄の実家を相続した場合、その不動産評価額も含まれていることまで考慮してください。
現代は全国的にも沖縄の土地価格は上がり傾向にありますから、那覇市や観光エリアなど、地域によっては、昔の沖縄の実家でも相続時に査定へ出してみると3,000万円、4,000万円とそれなりの価値を持つ不動産財産も多いです。
そうなると1,000万円以下の預貯金であっても、充分に沖縄でも実家相続によりトラブルが起きる可能性は出てきます。
※ 沖縄の実家相続に多いトラブル傾向と対策については、別記事「【沖縄の実家相続問題】こじれるトラブルに見る共通点とは」でお伝えしています。
親と子どもが生前にできる対策とは
沖縄の実家で相続トラブルを防ぐためには、遺書を始めとしたさまざまな対策があります。
けれどもその多くが被相続人が中心となって行うべき対策で、子どもからはなかなか提案することができません。
ただ一方で、両親が積極的に相続対策を進める事例もありますので、親と子供でできる沖縄の実家相続対策をいくつかお伝えします。
【 沖縄の実家相続問題☆親子でできる相続対策 】
(1) 生前のリフォームや修繕作業
… 沖縄の実家を相続する場合、多くは相続後にリフォームを行い移り住んだり、賃貸に出したりしますが、生前に両親が測量を行うことで、相続財産の総額が少なくなり、相続税も安くなります。
(2) 土地の測量
… 沖縄の実家を相続する際、査定や評価額(相続税の物納など)を出すために測量は不可欠です。こちらもリフォームや修繕と同じく、生前に両親が出すことによる税金対策です。
(3) 遺言書の作成
… 相続人間の相続トラブルを避けるため、生前に両親に遺書を残してもらう方法ですが、遺言書と共にそれぞれに向けて、遺産割合の理由を添えた手紙も残すことで、感情的なわだかまりも少なくなります。
(4) 生前贈与
… 生前贈与でも贈与税は発生しますが、教育資金や住宅取得資金を援助した場合には非課税枠がありますので、これも上手に利用しましょう。下記3つの生前贈与が、後々の相続で役立ちます。
・ 暦年贈与 … 子ども名義の預貯金口座に毎年振り込む(110万円/年まで)
・ 教育資金贈与
・ 住宅取得資金贈与
リフォームをすることでより高い家賃で貸し出しができたり、売却ができる可能性はありますが、沖縄の実家を相続した時の評価額の観点から見ると、固定資産税のための評価額ですから、ほとんどのケースで高くなることはありません。
※ 沖縄の実家相続対策として被相続人ができる相続対策については、下記で詳しくお伝えしますので、コチラもご参照ください。
・【沖縄の実家相続】被相続人(親)が生前にできる対策とは
・【沖縄の実家相続問題】トラブル回避のため遺言書を残す
・【沖縄の実家相続問題】相続税を少しでも下げる生前贈与
沖縄の実家相続対策は繊細な問題
ただこれらの対策は全て両親が積極的になってこその内容です。そのため遺言書に至っては、全国的にも1割ほどの割合となります。
海外では子どもが終活を両親に勧める事例も多いですが、特に日本ではまだまだ、家族や親族間で死を扱うことはタブーとされる側面があり、ましてや子どもから両親へ伝えることは難しいのが現状です。
【 沖縄の実家相続問題☆親には必要のないこと 】
★ もしも両親とともに沖縄で実家の相続対策を進めるのであれば、被相続人(両親)の立場から見ると、相続対策には(特に経済的に)得をしない点は理解をしてください。
→ 被相続人としては子ども達の相続トラブルを案じてはいるものの、あくまでも亡き後に起こる相続に対して対策を取っているのであって、特に経済的に、生前生活に徳はあっても得にはなりません。
※ 親子間であったとしても、あくまでも両親は厚意として進めていることを理解し、感謝を持って物事を進めることがポイントになります。
よくドラマなどで生前に子ども達が遺言書を迫り、より問題を深刻化させてしまう流れがありますが、これは現実社会でも起こり得ることです。
沖縄で実家相続の権利を持つ兄弟間はもちろん、被相続人となる両親としても、「早く寿命を全うして欲しいの?」なんて思われてしまい兼ねません。
子どもが積極的にできる相続対策
では生前に子どもができる対策には、どのようなものがあるでしょうか。大前提として、両親が喜ぶことを考えてください。
反対に言うと、子どもが両親を喜ばせようと足しげく家へ通ったり、コミュニケーションを深めたことが、結果的に相続対策に繋がることもあります。
例えば、昔話に花が咲いて実家の土地にまつわるトラブル(浸水したなど)が露見することも多いです。この場合、後々沖縄の実家を相続する際、評価額を下げる要因になります。
【 沖縄の実家相続☆子どもができる対策 】
(1) コミュニケーションを良くとり、話を聞く … 両親とコミュニケーションを取る時には「傾聴」を心掛けることで、思わぬ対策を取ることもあります。
(2) 家族と一緒ではなく、個人で気軽に帰省する … 大人になり結婚して家族ができると、ついつい家族で帰省を検討しがちですが、両親としては子どもと話がしたいことも多いです。1対1の対話が密なコミュニケーションにも繋がります。
(3) 自分史や家系図作りを手伝う … 両親の人生をまとめる自分史や、家をまとめる家系図作りは後々の相続に役立つばかりではなく、両親とのコミュニケーションも密になり喜ばれます。
(4) 両親が心地よい環境を作る … 老後の暮らしが快適になるよう実家を掃除しながら、両親の趣味のものやコレクションは飾ったり、住みやすいようリフォームを進めたりする内容も有効です。
両親の趣味やコレクションを飾るなどを進めた結果、沖縄で実家を相続した後には両親の記念館にするケースも増えました。
また、生前にリフォームをした時点では相続対策としての意味合いではなくとも、実際に沖縄の実家を相続する時には相続税の節税にもなります。
また家系図を両親と作ることで、思ってもいなかった相続人の存在が露見することも多く、家系図や自分史まで行かずとも、アルバムの整理などをしながら両親や家の歴史を知っておくことで対策ができるトラブルも多いです。
いかがでしたでしょうか、今回は沖縄で実家を相続した時に見受けるトラブルを避けるため、被相続人(両親)の生前に進めておきたい対策をいくつかお伝えしました。
また沖縄の場合は実家の相続によって付随して起きる、トートーメー(先祖代々位牌)や門中墓の継承なども深い問題です。
将来的に門中墓を継承しなければならない場合には、両親の代から親族とともに今後の管理や維持について話し合う機会は設けておくと安心かもしれません。
今では小さな門中では民間霊園や寺院などに永代供養を依頼し、合祀墓に改装して、将来的な継承の負担を軽減する選択も増えています。
これらも門中の長である両親が生きているからこそ、親族で話し合うことができる案件ですので、早い段階から意識して進めると、より安心です。
まとめ
親の生前からできる相続対策とは
・相続財産の総額が低い家ほどトラブルも多い
・両親にとって相続対策に得はない●両親と共に進める相続対策
・生前のリフォームや修繕作業
・土地の測量
・遺言書の作成
・生前贈与●子どもが進める相続対策
・コミュニケーションと傾聴
・個人でこまめに帰省する
・自分史や家系図作りを手伝う
・両親が心地よい環境を作る
(記念館やリフォームなど)