【不動産売買のコツ】契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違い

2021/1/18

【不動産売買のコツ】契約不適合責任とは?瑕疵担保責任との違い
不動産売買において「契約不適合責任」「瑕疵担保責任」などの言葉を聞くことがよくありますよね。

売り主にとってはこの契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)に問われた場合、ケースによってはせっかく成立した売買契約も無効になってしまう危険性も孕んでいる重要な事項です。

けれども、不動産の専門家であればともかく、一般的にはこれらの言葉を何となく聞いたことはあっても、実は具体的な内容までは知らない売り主さんがほとんどなのではないでしょうか。

2020年4月に瑕疵担保責任に代わり施行された「契約不適合責任」では、不動産が契約内容に合わない事態が起きた時、買い主が売り主に追及できる責任です。

ちなみに、瑕疵担保責任は不動産の引き渡し後に想定外の欠陥が見つかった場合に、買主が売主に追及できる責任のことを言います。

もともと売り主にとっては重要な瑕疵担保責任でしたが、2020年4月の契約不適合責任への移行によって、より買い主にとっては有利な法律へと変わった一方で、売り主にとっては、より内容を把握して入念に進めなければならない法律になりました。

今回は、不動産売買のコツとして重要な契約不適合責任とは何か、瑕疵担保責任はとどのような違いがあるのか、についてお伝えします。

 

【不動産売買のコツ】契約不適合責任とは?
瑕疵担保責任との違い

 

欠陥を知った上での購入、契約後の欠陥も対象

欠陥を知った上での購入、契約後の欠陥も対象
売り主にとって瑕疵担保責任から契約不適合責任へと移行したとして理解しておきたいポイントは、以前よりも責任の範囲が広くなったことを挙げることができます。

特に、「売り主と買い主の間でどのような合意の元で購入したか」が、責任を追及する焦点のひとつでしたが、契約不適合責任においては買い主により有利な方向へと修正されました。

【 欠陥を知った上の購入でも追及アリ 】

☆ 不動産売買の契約において、不適合責任が瑕疵担保責任と違う点と言えば、まずは「欠陥を知った上での購入、契約後の欠陥も対象になること」を挙げることができます。

① 瑕疵担保責任の場合

→ 不動産売買の契約時点までに、家の瑕疵(欠陥)がすでに発生していたとして、買い主がその欠陥を知らずに購入してしまった場合、買い主は売り主にその欠陥に対する責任を追及できる内容です。

② 契約不適合責任の場合

→ 不動産売買の契約時点までに、家の瑕疵(欠陥)がすでに発生していたとして、買い主がその欠陥を売り主により告知され、知った上で、その不動産購入に踏み切ったケースにおいても、契約後の欠陥においても責任を追及できます。

そもそも「契約不適合責任」では、「不動産が契約内容に合わない場合に責任を追及できる」と言うより広範囲の文言が示されているため、2020年4月以前の「瑕疵担保責任」と比べると対象範囲が広くなると考えてください。

 

代金減額や補修の請求が可能

代金減額や補修の請求が可能
不動産売買の契約において、契約不適合責任が瑕疵担保責任と違う点と言えば、「代金減額補修の請求が可能であること」も挙げることができます。

【 代金減額・補修代金の請求が可能になった 】

① 瑕疵担保責任の場合

→ 瑕疵担保責任によって追及できる責任内容は、①損害賠償、もしくは②解除のいずれかのふたつのみです。

② 契約不適合責任の場合

→ より責任の請求方法も広範囲に広がる点が特徴となり、例えば①代金減額や、②補修の請求も可能となります。

つまり、瑕疵担保責任では損害賠償や契約解除と言った大局的な解決策しかありませんでしたが、契約不適合責任においては、瑕疵担保責任よりも追及できる責任内容が多岐に渡ると考えてください。

 

契約内容に合わない場合の解除が可能

契約内容に合わない場合の解除が可能
さらに契約不適合責任では、「契約内容に合わない場合の解除が可能であること」も、不動産売買における瑕疵担保責任との違う点です。

【 契約内容に合わなければ解除も可能 】

① 瑕疵担保責任の場合

→ 瑕疵担保責任にも「解除」の項目はありますが、そのための条件は厳しいです。

※ 瑕疵担保責任において解除が可能な条件は、欠陥が原因で契約目的の達成が難しい場合に限定されています。

② 契約不適合責任の場合

→ 一方、契約不適合責任のもとで責任追及にあたり「解除」を求める場合には、契約目的が達成できているか、達成できていないかは関係ありません

…このように、今回の契約不適合責任ではほとんど買い主側の立場に立って変更された部分が大きく、買い主は購入した不動産が契約内容に合わないと判断した場合、解約する権限があります。

 

売り主にとってポイントは契約書

売り主にとってポイントは契約書
このように買い主にとっては責任の追及範囲が広がり、嬉しい契約不適合責任への移行ですが、売り主にとっては中古物件の売買へのリスクが高くなるとも言えますよね。

その家で長らく住んできているのですから、どのような中古物件も新築同様に全く傷も故障もない家になる訳がありません。

ここで売り主が取る、契約不適合責任への対策は、現状における家の不具合や設備に対しての「契約不適合責任を負わない」とする記載を契約書に確実に記すことです。

【 「知らなかった瑕疵」はなくなる 】

☆ 今までの瑕疵担保責任に関しては、売り主が知らない欠陥(瑕疵)に関しては告知に対する故意がないとして、責任に問われることはありませんでした。

→ けれども今回の「契約不適合責任」に関しては、「知らなかった瑕疵」への免除がありません。

※ そのため、売り主は売却する不動産の現状を細かな部分までしっかりと把握して、契約書に細かく告知し、その不具合や欠陥に対して告知したとして、「この設備に関しては契約不適合責任を負わない」とします。

このような流れから、後々瑕疵が見つかった時には売り主が不利になるとして、売買契約前にお金を出してでも物件の点検(ホームインスペクションなど)を行い、欠陥や不具合を把握するケースが増えました。

※ ホームインスペクションに関しては、別記事「沖縄でインスペクションを売却前に行う☆安心して家を売るには」などをご参照ください。

 

権利を行使する期限は5年以内でOK

マンション売却の期間
そして最後に、「権利を行使する期限は5年以内でOKであること」も、不動産売買の契約不適合責任が瑕疵担保責任と違う点です。

【 権利行使の期限は5年以内 】

① 瑕疵担保責任の場合 → 権利を行使する期限は欠陥を知って1年以内まで。

② 契約不適合責任の場合 → 通知のみ契約不適合を知って1年以内まで、権利の行使そのものは5年以内まで。

…このように変更されました。

権利の行使そのものは5年以内にすれば良いとして、この変更も買い主側の権利が十分に守られていると言えます。

 
 

いかがでしたでしょうか、今回は売り主としては充分に注意をしたい、今までの瑕疵担保責任と契約不適合責任の大きな違いについてお伝えしました。

本文中でも何度もお伝えしていますが、今回の変更は主に買い主の立場に立った変更なので、売り主にとっては厳しい側面もある一方、「契約書に明記する」ことが対策として挙げることができます。

主な違いは、①買い主の善意無過失の必要性、②追及できる責任内容の幅の広がり、③契約解除の条件の緩和、④損害賠償の要件や範囲、⑤権利を行使する期限です。追及内容も多岐に渡るようになったので、小さなものから大きなトラブルまで考えられる点も特徴かもしれません。

また、契約不適合責任では欠陥を知った上での購入、契約後の欠陥も追及の対象になりますし、損害賠償や解除に加えて代金減額や補修の請求も可能になっています。

(ただし、契約書に明記した設備に関しては契約不適合責任の範疇になりません。)

そもそも契約に合わない場合に追及できる責任で、契約目的が達成できている場合でも契約に合わなければ解約ができます。

このように契約不適合責任は瑕疵担保責任よりも範囲が広いのですが、損害賠償の請求に売り主の故意過失が必須と言う条件もあるので注意をしてください。

まとめ

契約不適合責任と瑕疵担保責任の違い

・買主の善意無過失の必要性
・追及できる責任内容
・契約解除の条件
・損害賠償の要件や範囲
・権利を行使する期限

 

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