不動産査定はどのように行われるの?参考にしたい3つの基準
2021/1/1
不動産の査定額は、これから不動産を売却しようとする際に、まず気になる項目ですよね。多くのケースで不動産売却の最初の一歩は「査定」ですし、一般的にこの不動産査定額を基準にして、販売価格が決まり、売却価格にも影響してきます。
不動産査定は、「その不動産がどのくらいの価格で売却できそうか」を、不動産会社に算出してもらうこととなり、「査定額」はその金額です。
不動産の査定価格は実際に売却できる価格ではないのですが、不動産に関する色々な情報を基に算出する相場価格となるため、販売価格や買い主との交渉の基準になります。
このような理由から、不動産の価格を検討する上で大きな目安となるので、効率的に不動産を売却するためにも、理解してから進めた方がスムーズです。
そこで今回は、不動産査定はどのように行われるのか、参考にしたい3つの基準をお伝えします。どうぞ参考にしてください。
不動産査定はどのように行われるの?
参考にしたい3つの基準
現時点で新築だった場合の価格を元に査定する「原価法」
不動産査定で参考にしたい基準の一つが、現時点の新築価格を基本に査定を行う「原価法」です。
【 不動産査定の3つの基準①原価法 】
★ 「現時点の新築価格」と言うのは「再調達原価」で、査定したい不動産を今もう一度ゼロから建築した場合にかかる費用のことを差します。
→ 下記が原価法の計算式です。
● 「再調達原価÷耐用年数×残存年数」ですが、ここで再調達原価は「総面積×単価」、残存年数は「耐用年数-築年数」で求めた数値を当てはめることができます。
この計算式を使えば、再調達原価から築年数に応じて低下した価値を考慮した査定が可能です。
但し、残存年数で考慮しなければならない「耐用年数」は、建物の造りが木造・軽量鉄骨造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造のどれかによって以下のように変わってきます。
【 不動産査定の3つの基準☆耐用年数 】
★ これから売却する不動産の造りによって、下記のように耐用年数が変化しますので、この耐用年数を計算式に当てはめてください。
・木造:22年
・軽量鉄骨造:27年
・鉄骨造:34年
・鉄筋コンクリート:47年
ここで注目したいのは、作りによる耐用年数の違いではないでしょうか。木造か鉄筋コンクリートかで、耐用年数が25年も変わってくる訳です。
…では実際に、計算式を当てはめてみましょう。
【 不動産査定3つの基準☆原価法の事例 】
★ 例えば、総面積が120㎡で1㎡辺りの単価が20万円、築10年の鉄筋コンクリートの家を原価法で査定したとします。
・ 再調達原価は「総面積×単価」ですので、120㎡×20万円=2400万円
・ 残存年数は「耐用年数-築年数」なので、47年-10年=37年
→ 「再調達原価÷耐用年数×残存年数」の計算式に当てはめると…、
● 2400万円÷47年×37年 = 1889.3万円 …です。
ちなみに、不動産査定においてこの「原価法」は1棟売りマンション、築年数の多い戸建を不動産鑑定したり、リフォーム後に売却したりする場合などに使われることが多い不動産査定法です。
条件の似た物件の取引事例と比較しながら査定する「取引事例比較法」
不動産査定で参考にしたい基準と言えば、条件の似た物件の取引事例を基準にする「取引事例比較法」も挙げられます。
売却実績の豊富な不動産会社であれば、過去に似たような条件の物件を取引した事例もあるかもしれません。
そのため「取引事例比較法」の不動産査定法では、似たような条件の物件の取引価格に、以下のようなことを考慮して査定価格を求めていきます。
【 不動産査定3つの基準☆取引事例比較法の基準 】
・交通機関や公共施設、商業施設が近くにあるなどの地域要因
・接面道路の状況や地盤の弱さ、崖地、リフォームの有無、建物の状況(建築年月、間取り、設備、メンテナンス状況)などの個別的要因
・時期によって変動する相場を考慮した時点補正
・相場よりも高い価格の買い進み、低い価格での売り急ぎなど、個人的な事情を配慮した場合の事情補正
…などなど。
不動産査定において取引事例比較法は、主に居住用の不動産を売却する場合に使われることが多いです。
そのため、立地条件が良く住んでいる頃から住みやすさを実感していた不動産であれば、取引事例査定法に基づいた査定額は、比較的高値に算出されるかもしれません。
ただし、今回お伝えする不動産査定の3つの基準である、①原価法②取引事例比較法③収益還元法のなかでも、売り主が個人では事前に算出しにくい側面があります。
近隣の売り出し物件の情報を数多くリサーチすることで、ある程度の予想を立てることはできますが、それぞれに条件も異なることが多く、それぞれの不動産会社によって比較する事例も異なりますので、不動産査定額にも振り幅が生じやすいです。
取り引き比較法による不動産査定額については、素直に不動産会社に相談した方が良いかもしれません。
そして、複数の不動産会社に査定依頼をして相談をしながら具体的な査定額を比較検討することで、自身の不動産の相場が見えてきます。
将来的に予想される収益から価値を計算する「収益還元法」
さらに不動産の査定法としては、将来的に期待できそうな予想収益から価値を割り出す「収益還元法」も、不動産査定で参考にしたい基準です。
【 不動産査定3つの基準☆収益還元法 】
★ ここで査定額を決めるポイントとなる「将来的に期待できそうな予想収益」は下記の計算式で算出します。
① 直接還元法 → 不動産査定額= 一定期間の純利益 ÷ 還元利回り
② DCF法 → 不動産査定額= 一定期間で期待できそうな純利益の現在価値 ÷ 将来の売却価格の現在価値
ここで売り主が自分で計算をする際に注意をしたいポイントは、「純利益」の項目です。ついつい家賃収入だけで計算をしがちですが、家賃収入から管理にかかるメンテナンス費用など必要経費を差し引きした利益を当てはめてください。
…また、この収益還元法では専門的な用語も出てきますよね。
【 不動産査定3つの基準☆「還元利回り」とは 】
★ 「還元利回り」は投資金額に対して、年間でどのくらいの家賃収入があるかと言う割合を差しています。
ちなみに、収益還元法は賃貸マンションのような賃貸用の集合住宅を、売却する場合に使われることが多い査定法です。
いかがでしたでしょうか、今回は不動産査定はどのように行われるのか、参考にしたい3つの基準をまとめてみました。
不動産査定の基準には、①現時点の新築価格を基本に査定する「原価法」、条件の似た②物件の取引事例を基準にする「取引事例比較法」、②将来の予想利益から価値を割り出す「収益還元法」があります。
①原価法は1棟売りマンションや古めの戸建などに、②取引事例比較法は居住用不動産に、③収益還元法は賃貸用集合住宅に多く使われる査定法です。
不動産の査定基準が気になる方は、まずはこれから売却する不動産のタイプに使われることが多い査定法を参考にしてみると良いでしょう。
事前に知識を付けておくことで、不動産会社に査定を依頼する際に気になったことを確認しやすくなります。
★ 不動産査定を依頼してから売却までの流れは、別記事「沖縄で不動産査定から売却☆引き渡しまでの流れとポイント」などでお伝えしていますので、コチラも併せてご参照ください。
まとめ
不動産査定の3つの目安基準とは?
・現時点の新築価格を基本に査定する「原価法」
・条件の似た物件の取引事例を基準にする「取引事例比較法」
・将来の予想利益から価値を割り出す「収益還元法」