離婚した不動産は売却できる?財産分与の方法と注意点
2020/11/16
離婚をすると不動産の財産分与で複雑になるケースは少なくありませんよね。
問題になりやすい離婚時の不動産ですが、一生に一度の大きな買い物ですから、買うときには「ここに生涯住もう」と考えて選ぶ人々もまだまだ多いです。
しかし、残念ながらパートナーと離婚することになった、というケースも現代では珍しくありません。離婚した場合、不動産はどうなるのでしょうか。
そこで今回は、離婚した時に不動産は売却できるのか、そして財産分与に関する注意点をお伝えします。
離婚を考え始めているが、不動産のことが気になっている方は参考にしてください。
離婚した不動産は売却できる?
財産分与の方法と注意点
離婚した不動産は売却できるか?
結論から申し上げれば、離婚してもしなくても不動産は売却可能です。むしろ財産分与の考え方からすれば、離婚時には不動産を売却する方法がシンプルになるので、おすすめです。
【 離婚時に不動産の売却がおすすめの理由① 】
★ なぜなら離婚の際、不動産のままでは夫婦で分けることはできませんが、現金にすれば分配がしやすくなります。
→ また、売却することで住宅ローンも解消できるので、その点からもおすすめです。
さらに押さえておきたいポイントは、住宅ローンの名義変更が難しい、という点です。
【 離婚時に不動産の売却がおすすめの理由② 】
★ もしも離婚時に不動産を妻に譲る形で残したとします。
→ この時、サラリーマンの夫から専業主婦の妻へ住宅ローンの名義を変更しようとしても、妻の収入が少なければ名義変更は認められないケースが多いのです。
このようなさまざまな事情から、離婚となった場合、不動産は分割できなかったり、名義変更が難しいなど、実務的な部分でスムーズにいかないケースも少なくありません。
その点、離婚時に不動産を売却してしまいお金に変えることで、分割もしやすくなるばかりではなく、法的な手続きの壁もなく、よりスムーズです。
売却は離婚後に実施
続いて、離婚時に不動産に関する財産分与の方法と注意点をお伝えします。
離婚での財産分与は不動産を売却した売却代金を、離婚の際に「妻と夫それぞれの貢献度」に応じて分配されることが特徴です。
1つ目の注意点は「売却は離婚後に実施」という点です。
【 離婚時に不動産を財産分与する注意点① 】
① 離婚後に不動産の売却を進める
→ もし、離婚前に不動産の売却をして財産を分けると、財産分与ではなく「贈与」になってしまいます。
贈与の場合、金額によっては贈与税の対象になります。特に不動産は動く金額が大きいですから、贈与税の対象になった場合と、財産分与として受け取った場合では、出る額が大きく違いますので注意をしてください。
【 離婚時に不動産を財産分与する注意点☆事例 】
★ 仮に1000万円を離婚前に夫からもらって、贈与税の対象になったとします。この時、「暦年課税」と呼ばれる課税方式で贈与税を支払うとすると、税率は40%となりますから、計算式は以下です。
→ (1000万円(贈与を受けた総額)-110万円(基礎控除額))×40%(※)ー控除額125万円=231万円
1000万円をもらったとしても231万円の贈与税が課税されますから、離婚時に不動産を売却したとして、均等に二等分したとしても、時にはさらに大きな金額が分割される可能性を考えると、かなりの税額です。
離婚時に不動産のローン残額はどれほどか
2つ目の注意点は「ローンの残額」です。
【 離婚時に不動産を財産分与する注意点② 】
★ 離婚時に不動産の住宅ローン残高が残っていたとして、売却によりその残高を賄うことができる場合には「アンダーローン」と言われ、利益はほとんどなくても、まずは借金がないので問題はありません。
→ けれども問題は「オーバーローン」です。売却代金が住宅ローンを下回ることをオーバーローンといいます。
※ オーバーローンの場合、そのままで不動産の売却はできず、不足分は預貯金を崩して埋めるか、次の不動産購入のローンに上乗せしなければなりません。
お互い、新たな人生のための資金にするつもりが、思わぬ追加出費になることもありますので、離婚時に不動産を売却したとして、ローンの残額には注意が必要です。
このように、離婚時の不動産の取り扱いには、売却金額が重要になります。ちなみに、離婚に限らず不動産の売却代金は全般的に、不動産会社の査定をベースに売主が算出する流れです。
【 離婚で不動産を売却する☆不動産査定 】
★ 不動産の査定額は不動産会社ごとに異なる可能性がありますので、必ず複数の不動産会社に査定を依頼するようにしてください。
→ 複数の不動産会社に査定依頼をした後、査定価格及び営業担当者との相性などから比較検討をして、媒介契約を結ぶことで、仲介をしてもらう不動産会社を決定します。
媒介契約を交わしてしまえば、後は仲介不動産会社が先導して販売活動を展開してくれるはずです。物件の良し悪しにもよりますが、売却までの期間目安は6カ月となります。
近年では不動産の個人売買も見られるようになりましたが、余計なトラブルを回避するためには仲介不動産会社を介した販売活動及び手続きが安心です。
【 離婚で不動産を売却する☆仲介業者 】
★ 不動産査定や仲介業者の選び方、媒介契約に関しては、別記事でもお伝えしていますので、コチラも併せてご参照ください。
・沖縄の不動産を売却する☆査定からの流れと基本の知識
・沖縄仲介業者の見極め方☆マイホーム売却のパートナー選び
・沖縄で不動産査定後の媒介契約☆注意ポイントと3つの種類
財産分与の請求期限
3つめの注意点は「財産分与の請求期限」です。
【 離婚で不動産を売却する☆請求期限 】
★ 財産分与には「離婚してから2年以内」という請求期限があります。この請求期限を過ぎてしまうと財産分与を請求することはできなくなる点には、注意が必要です。
→ タイムリミットがあることはしっかり覚えておいてください。
いかがでしたでしょうか、今回は離婚した不動産の売却と財産分与の注意点についてお伝えしました。
離婚した場合は財産分与という観点から、不動産は売却して現金化することがおすすめです。
しかし、離婚前に売却して財産を分けると贈与とみなされ、贈与税が必要になります。そのため不動産の売却は離婚後に実施する必要があるので、この点には注意をしてください。
不動産は動くお金が大きい分、贈与税として課税対象となった場合の金額は何百万となりがちです。
また、住宅ローンの残債が売却代金を上回る場合は不足分を預貯金で埋めるか、次の住宅購入のローンに上澄みする必要があります。
離婚しての不動産売却は思わぬ出費に繋がる可能性があることは覚えておいてください。
また、財産分与には2年という請求期限がありました。財産分与にはタイムリミットがあることもおさえておくといいでしょう。
離婚はできれば避けたい選択肢です。しかし、避けられなくなってしまった場合は様々な情報を知っていることが重要になります。
今回の記事を離婚後の不動産売却の際に参考にして、後々まで快適に暮らすための気持ち良い財産分与を進めてください。
まとめ
離婚した不動産の売却と財産分与のポイント
・財産分与のために不動産は売却がおすすめ
・不動産売却は離婚後に実施する
・オーバーローンの場合は追加の出費などが必要になる
・財産分与には2年というタイムリミットがある